第42回小矢部作家展の写真作品について
令和元年11月2-10日の日程で「第42回 小矢部作家展」がアートハウスおやべに於いて催されており、そこに足を運んできた。
同展に出品されていた写真作品があまりに低レベルで酷かったのでやむなしと思い、ここに批判を記す。異論などあると思うが、コメントいただきたい。
「宙」
21世紀美術館のあのオブジェは誰もが興味を抱くだろうし、
そのように作ってある。
しかし、既にあるその魅力を表現できているとは言い難い。
不思議さや量感を出すならもっと構図を調整すべきであろうし、
背景の市役所を入れ込んだのも邪魔でしかない。
リアルな再現を意図しているとも思えない画角だし、
何がしたいのか疑問だ。
あのオブジェの別の魅力を表現したいなら
そこに注視させるような仕上げや撮影がある筈だし、
観光に来てたまたま撮った写真という感じに見える。
(それにしては構図が整いすぎているけれども)
既存の写真を逸脱することも先鋭化することもできていない、
誠に中途半端な作品だ。
「peaceful」
平和という概念的な物事を託すには
一枚の写真として単純すぎるし具体的すぎる。
また、水鳥の穏やかな姿を表現するというのなら
あんなにぎらつく色は使うべきではないのではないかと思う。
解像度が低く水鳥の姿を鮮明にとらえられていないのも問題だ。
しかし、一番ひどいのは背景への配慮の無さだ。
素敵な整然とした街並みも見せたいのなら絞らなければいけないし、
水鳥を浮き立たせるのなら開かなければいけない。
こんなに硬いボケのレンズで中途半端なボケ感としてしまったことは、
画面全体へ気が配られていないことの証左だと見ていいと思う。
「おわら踊り」
おわら踊りであることは見ればわかるだろうし、
そんなことをタイトルで言ってしまうのは無粋でしかない。
詩的感覚の欠如を疑う。
典型的なおわら踊りの写真にみられるポーズであり
新鮮さが全くないのみならず、
画面の端に入っている帯状のものが邪魔で仕方ないし
不自然に傾いている。
暗くて眠くてノイズもひどい。
惨憺たる作品と言うほかないと思う。
2019/12/07 菊池あき