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三角比【エッセイ】六〇〇字

先日、高校生の娘にLINEビデオ通話で勉強を教えていた。深いわけがあって娘とは離れ離れで(単身赴任中、週一は帰っているが)。数学の三角関数だった。

高校のちょっとした数学くらい覚えていると思ったが覚えていなかった。少しだけ悔しい気持ちになる。仕方がないので僅かに覚えていた三角比の考え方を教えておいた。

三角比をなぜ勉強しなければならないか?までは学校の授業では多分教わらない。中には教えてくれる優れた先生もいるかもしれないが。学校の授業で教わることは実はすべて今の日本の社会に必要な知識と深く密接に関わっているのだが、そんなことに気づけたのは大人になってからである。

たとえば、前述の三角比は建築の分野のまさに基礎の基礎の部分で非常に重要な意味を持つことを長く建築業界で働いていたおじから聞いた。おじによると面積はすべて三角形に分解して計算するとのことだった。

他にも小学校でだけ習った面積の単位aアールは農業で常用されている面積の単位だし、デシリットルは血液検査の成分はほとんどが100㎖あたりの数値を基準として考える医療の分野につながっていくのだ。

少し前、辞めていったできる上司が最後の挨拶で「人生はつながっている」と仰っていた。

人生は本当につながっていると思う。いいと思う記憶も悪いと思う経験もすべて今の自分を作っているのだ。良きも悪しきも受け止めた時に人は一歩前進できるかもしれない。

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