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横横のアイスコーヒー【エッセイ】一四〇〇字

ある真夏の朝、マクドナルドのモバイルオーダーでアイスコーヒーを注文した。

それはアイスコーヒーの容器に入ったホットコーヒーだった。駐車場に車を停めたまま注文と受け取りができる便利なサービスである。通勤途中だったが時間に余裕があったので店にクレームの電話を入れた。

持ってきたクソバイトとは別の社員だか店長だかと思しき店員が新しいアイスコーヒーを持ってきた。「こんな熱々のコーヒーをアイスコーヒーとして提供して気付かずストローで飲んだらどうするんだ?危ないだろう!」というようなことを強めの口調で抗議した。怒り気味の表情の乏しいおっさんの私に店員は低姿勢ながらもよせばいいのに反論をし出しやがった。

「お客様、氷抜きのオーダーをされていたのでぇ。マックのアイスコーヒーは氷抜きの場合、そのまま提供するんですぅ」

「でもこれは熱すぎでしょ!触ってみてください!」(アツアツのアイスコーヒーのカップに入ったホットコーヒーをモミモミする威嚇をしながら)

「開店直後でたてたてでしてぇ〜」

『はぁ??たてたて?ヨコヨコはあるんか!!(心の声)』(このヨコヨコはのちにこの出来事を妻に愚痴った時に彼女が戯けて発した言葉である)

モバイルオーダーではアイスコーヒーはブラックと氷抜きをカスタマイズ画面で選べる。いつもブラックを注文する。どうやらそのタップする画面のボタンを間違えたようである。

ブラックコーヒーを飲むようになった経緯は特殊だ。話の途中だがその話を聞いて欲しい。

一般家庭にPCが少しずつ普及しはじめ、インターネット黎明期の1996年。高校一年生だった。当時から肥満体型でいつもデブだのなんだのと揶揄されていた。今はそんなことを言われても全く気にならないがまだ少年だったので深く傷ついていた。私をデブとバカにするカスどもは全員死ねばいいと思っていた。

そんな時、隣人がおそらくネットで出回っていたのであろう「国立病院ダイエット」という今ではただの似非科学情報とわかる怪しいものを教えてくれた。悔しくて痩せたい私はわらにもすがる思いでそれを母の協力の元、二週間続けた。それをすると体質が変わって痩せやすい身体になるとのことだった。

腹が空いて腹が空いて、晩空きっ腹を抱えながらダイエットが終わったらロッテリアのリブサンド(バーガーショップが近所にロッテリアしかなかった)を食べることを心待ちにして眠りについた。今思えば当時の自分にはとてもかわいそうなことをした。食べ盛りで身体を作らなければならない時期にそんな酷いカロリー制限をするなど、脳を含めた全ての臓器に悪い。

結果は言わずもがなリバウンドだ。

そのメニューにブラックコーヒーが毎食のように含まれていた。おそらくカフェインの脂肪燃焼効果を期待してだろう。それからである。コーヒーに砂糖もミルクも入れなくなったのは。話が逸れまくった。元に戻そう。

今朝早く、次女と朝マックをしに行った。長女が今日から修学旅行で早朝に送り届けねばならず、次女もついてきたのでその帰りについでに寄ったのである。

ふと数ヶ月前のことを思い出し、開店直後のこの自宅近くのマクドナルドも、氷抜きのアイスコーヒーをオーダーしたら、あの大阪の八○のクソヘボ店員しかいないマクドナルドと同じようにヨコヨコならぬタテタテ熱々アイスコーヒーを出しやがるか試してみた。

結果。冷たくはないが粗熱はとった常温ほどのアイスコーヒーだった。やっぱりあのマクドナルド外環○尾店はクソだったのである。

それがわかってよかった(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾聞いてくれてありがとう。

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