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【エッセイ】豊かに与える人になりたいのだよ(900)
学生時代の先輩というよりは友達の2学齢上のUちゃんという人がいた。
風貌が完全にオタクなので私と同じくハロプロ好きかと思って好きなアイドルを聞いたら「そんなんおれへんわ!」ってキレながら言われたのも良き思い出である。
彼は先見の明があったのか?得意分野はそれしかなかったのか?で工学部情報知能学科に属していた。
高専からの編入が災いしてか大学院を落ちて別の大学院に行ってしまった。
少し話をしているとイラッとくるところがある、まるで私のような人間だった。でも私は彼のことが好きだ。なぜだろう?多分似ているからだ。
さて。彼には彼と全く同じ顔の姉がいた。彼の結婚式で初めてちゃんと見たが同じ顔だった。
彼はこどもの頃からPCが得意だったらしい。そして姉は全くと言っていいほどPCの知識がなかったそうだ。立場上、当然のことながら彼は姉に全てのPCの設定をさせられていて嫌だったという。
「ほんま詳しいと思ってなんでもさせられる。嫌やわ。そう言うのははっきり断った方がいい。でないと全部やらされて疲れるだけや」
彼はよくそう溢していた。その言葉は私の心の奥底にも留まり、しばしば思い出すことがあった。
つい最近そのマインドを利用して頼ってくれる母を傷つけたことがある。
確かにそんな側面もあるかもしれない。皆の頼みに耳を傾け過ぎていれば、際限がないかも知れない。
しかしふと気づいた。人は支え合って生きているのだ。
Uちゃんの考え方は傲慢だ。自分の技術が優れていて姉のために使うのはもったいないと思っているのだろう。だからそんなことが言えるのだ。
彼は間違いなく姉にPCの設定をする以上の恩を受けていたはずである。
私だって母から取るに足らないスマホの設定以上の溢れる以上の愛を与えられて来たにも関わらず、なぜそんなクソくだらない「いい加減に自分でやってや」などと恩知らずなことを言ってしまったのだろう。
その原因は自らの過大評価である。PCやスマホの知識があることなど、母性や美味しいご飯を作れる才能に比べればミジンコほどの価値もない。
だから。私は惜しみなく無償でこの素晴らしき我が知性を披露し続けようではないかと思うのだよ、諸君。(なんかごめん)