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【エッセイ】再会(500)

父はオーディオ愛好家である。好きなジャンルはもちろんクラシック。家には巨大なステレオセットとアンプは2台、CDプレイヤーはどでかい。レコードプレイヤーもある。私と上の弟(弟がふたりいる)は父の影響でクラシック音楽にハマり中高の部活はブラバンだった。妹と一番下の弟はクラシックに一切の関心がなかった。こうも真っ二つに分かれるものだろうか。どうやら絶対美を許容するか否かは脳の構造が大きく影響すると思われる。

さて、30年前、父のもとに贔屓にしてるレコード屋から「The Moon」というクラシック音楽集のサンプルCDが届いた。美しい曲がたくさん入ったそのクラシック音楽集は到底買えそうにないくらい高価だったので上の弟とそのサンプルを何度も聴いた。大人になって購入しようと思ったら絶版になっていた。大変残念だった。ネットオークションなどでも見つからない。

その中でも特に美しいピアノ曲があった。題名は忘れてしまっていたがメロディは記憶の中で輝き続けていた。

今朝、ラジオ深夜便の聴き逃し配信を聴いているとその曲が流れたのである。

「ナカムラユリコさんのファンタジアです」

昔愛していた片思いの美少女に、彼女は当時のままの姿で再会したような感動だった。


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