【エッセイ】異世界のようなところに行った(600)
先日、異世界のようなところに迷い込んだ。
週初めは単身赴任先に向かう日である。早朝3時半に起きて4時に家を出発する。なので月曜日はとっても眠い。
その日は仕事を終えて少し疲れていた。
通勤には南海高野線を使っている。東洋一のディープスポットである南海電鉄なんば駅周辺の大阪ミナミエリアをいつも通過していてとても嬉しい。
渋谷や新宿や池袋など、なんばの足元にも及ばない。
昨日はとっても疲れて眠いし、551の豚まんも食べたいし、特急りんかんに乗った。
なんばはターミナル駅なので少し待てば必ず座ることができる。
だが、特急は520円でフカフカシートと座る向きが電車の進行方向であることが快適で、疲れている時はよく使う。
平日に身を寄せている実家の駅のひとつ手前の停車駅で急な睡魔に襲われて眠ってしまった。
ふと目を覚ますと最寄駅から電車が出発するところだった。
次は和歌山の「林間田園都市」ってふざけた名前の駅まで止まらないのだ。騒いでも喚いてもどうにもならないので静かに林間田園都市まで向かった。
林間田園都市で降りて、反対側のなんば駅方面のホームに向かう。
そう。そこがまるで異世界なのだ。ホームにはもちろん誰もいない。反対側のホームにも人はいない。
だんだんと不安になってくる。ジブリ映画「千と千尋の神隠し」の行きしかない電車みたいにそのうち顔のない運転手の操縦する電車が来るんじゃないかと妄想する。
しかし。やって来たのは普通の電車だった。残念。