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やっと活かせた看護の知識

来週末、大学院にてパフォーマンスがある。
9月からリハーサルが始まり、これまで毎週練習してきた。
パフォーマンスは、大学院生だけではなく色々な学部の学部生も混じっている。今回のパフォーマンスはダンス関連の学部だけでなく、生物関連や経済関連など色々な学部に在学する学生が出演するので、まあなんと自由でアメリカらしい。

看護の知識が役立ったのは、この舞台で友達になった演劇学部の大学生のアメリカ人Tちゃんの傷のこと。
数日前の初めての舞台でのリハーサルにて、右膝をテーピングでぐるぐる巻きにしてリハーサルに来た。
振付をした先生も一緒に踊るダンサーも驚いて、「何があったの?骨が折れたの?」と尋ねると、Tちゃんはこう言った。

「先週転んだの。転んだのはいいんだけど、皮膚が剥がれてたから、すぐ治ると思ってキズパワーパッドずっと貼ったの。でも段々痛くなってきて、緑色の液体も漏れてきてるの。どうしたらいいかわかんないから、テーピングで巻いてとりあえずリハーサルに来た!放っておけば、多分来週には治るから大丈夫だよ!心配しないで!」
とのこと。

しかし、
(…ん?ちょっと待って?痛い…?緑色の液体…?)

今年3月まで看護学生をして、4月から病院で働こうとしていた私は、知識を持っていてよかったと思うと同時に、すぐに「感染徴候あり」と判断。

リハーサルが始まってしまったので、Tちゃんに、「リハーサルが終わったらすぐに膝を見せて」と声を掛けておいた。


リハーサルが終わり、Tちゃんを椅子に座らせ、患部を見てみることに。
テーピングを少し剥がすと大きなキズパワーパッドが貼られていたが、キズパワーパッド越しでも分かるほど、滲出液が緑色になっていた。キズパワーパッドが貼られている周囲も腫脹している。
臭いもあり、やはり完全に感染してしまっていると判断できる状態だった。

「怪我をしたのはいつ?」
「いつから緑色の液体と臭いは出ていたの?」
「キズパワーパッドを貼って何日くらい経ってる?」
「お風呂は入ってた?」

次々と質問をしていった。
そして、キズパワーパッドは怪我をしてから5日間は貼ったままだという。お風呂にも入っていたが、ボディーソープが傷口近くから流し切れていたかどうかは分からないとのこと。

確かにキズパワーパッドは湿潤療法ではあるけど、疼痛が出てきた時点で感染かも、と疑ってほしかった。
その日は夜遅く、すでに21時を回っていたため、大学に設置された学生クリニックも空いていない。

私:「ガーゼなんて家にないよね」
Tちゃん:「ないねー」
そんな話をしていると、リハーサルを見ていたアドバイザーが近付いてきて、「上にガーゼあると思うから持ってきてあげる。他にいるものはある?」と聞いてきた。
化膿しているので、これ以上は何もできない。考えているとアドバイザーがガーゼを持ってきてくれたので、リュックから清潔な袋を出してガーゼを入れ、そのままTちゃんに渡した。

私:「とりあえず家に帰ったら、すぐにテーピングとキズパワーパッドは外して。それから流水で傷口を洗って。痛いだろうから、このガーゼを当てて水が傷口に直接当たらないようにして、しばらく水を流し続けてね」

私:「それから、洗い終わったらガーゼを当てて、患部じゃないところにテーピングでガーゼを固定しておいて。乾燥したらあとで痛くなるから、ラップにプツプツ穴を開けて軽くでいいから巻いて寝て。そしたらガーゼが丸まって布団に擦れないと思う。
朝一で病院に行って先生に診てもらって。絶対に放置しないでね。」

Tちゃんは「はーい。分かったー。」と答えた。それから、「なんでそんなに詳しいの?」と聞いてきた。

すると横からアドバイザーが、「🍎は日本の看護師免許持ってるんだよ。だから安心して大丈夫。とりあえず言う通りに明日の朝病院に行きなさい。」と話してくれた。
周囲の友達も思わず、「えぇ…すごい…そんなクルクル回るダンサーなのに看護師なの…そんな人見たことない…」と驚きつつ、キラキラとした目で見つめて言ってくれた。

すぐに判断できる知識があってよかった、看護に行って良かったと思えた。
それも、英語で説明しないといけなかった。看護を英語でできるようになろうと、出国前に勉強していたのが役立った。良かった良かった。


Tちゃんとは明日、通しリハーサルで会うことになっている。
無事病院で診てもらい、患部の経過は良好になっているだろうか…。

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