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機動戦士ガンダムジークアクスがやばい
※この記事はネタバレ有りで書いています。
わたしはネタバレを一切食らわずに映画館に行けた大変幸運なガンダムファンです。
もしまだ本作を見ていないガンダム好きの方がいたら、絶対にこの記事を読まずできるだけネタバレを踏まないうちに急いで映画館へ行って本作を見てください。
企画が発表されたときから、スタジオカラー制作で鶴巻監督、庵野脚本のガンダムと聞いて楽しみにしてはいた。けれども、友達から「これ早く映画館で先行観た方がいいやつじゃね」と誘ってもらうまで、幸運なことに一ミリもネタバレを踏まずにいたわたしは、「えーどうせ4月に本放送始まるんだし、それからでもよくね?でもせっかくカラーが手掛けてるんだし、スクリーンで観るのに否やはないですが…」みたいなフンワリした気持ちで1月22日に観に行って、本当に本当に衝撃を受けた。
スタジオカラーのロゴのあとサンライズの「ぴょ~ん」ってハロがジャンプするロゴが出てマジだぁ感慨深いなあとか思ってたら、次に入ってきたナレーションがもうあれじゃないですか。親の声の次に聞いた永井一郎さんの声で今も脳内再生余裕の、あのフレーズ。
(え……あ、なる… 宇宙世紀軸ってことかぁ…)
(でもこのBGM、このナレーション… あまりの再現度の高さ…)
(単に宇宙世紀だっていうだけじゃない「何か」を感じる…)
とかなんとか考えているうちに「Beginning」のサブタイトルが出たときあのタイトルコールのBGMが鳴って、(これ…!これ、ファーストガンダムじゃん!!!!)と急に確信して叫びだしそうになるけど頑張って堪える。ここは映画館なので。家なら叫んでた。
横スクロールで映り込むザクのモノアイ… コロニーに忍び寄り、ハッチを開けて中の様子を確認していくザクの群れの中に、その場にいるはずのない赤い機体を見つけたときにゾクゾク…と震えが走る。えっ えっ 赤いザクってシャア以外乗ることないよね??(本当に何の前情報もないので大混乱している)
そもそもこれってファーストの開幕にそっくりなんだけど??新作ってファーストのリメイクだった!?!いやでも第一報が出たときのビジュと全然ちがう…違う上映館に間違えて入っちゃった??ジオリジンとか観に来たんだっけ??(大混乱)
ていうかこのときシャア居たっけ…いやいないよな。ジーンが「シャア少佐だって…」って言ってるとき近くにシャアがいたらおかしいもんな。でもいる。
エッ まってこのガンダム新作、シャアとか出てくんの?
そこから口をポカンとしているうちに始まるシャアのガンダム無双。無双というけど実際行われる破壊はアムロが乗ったときより全然少なくてテム・レイも酸素欠乏症にならないで済むし、フラウ・ボゥのお母さんとかも多分みんな存命だし、でもホワイトベースの艦橋だけピンポイントでブスッとやっちゃうから可哀想なパウロ艦長さんはここでも戦死。そのまま収奪されるガンダムと木馬。
ええ… すげえ、歴史改変だ… ていうかこれ、ジオン勝っちゃうのでは?(名推理)
よく分からないけどとにかくすごいものを見せられている、という気持ちでずっといた。正史上おそらく最もホワイトベース隊に被害を与えたのが最初のジーン無双だとは(冗談半分に)思ってたけど、それをやるのがジーンからシャアに代わっただけでこれほど歴史が動くとは…。
そこからはもう夢中で、早い、早いよ…!と心で悲鳴を上げながら物語を追った。展開が早いし、台詞にも画面にも情報量が多い!一度観ただけでは数分の一の要素しか浚えていないと思う。けどだからこそ初見時の感動は、ものすごかった。頭の中が、大好きな宇宙世紀0079のあたらしい情報で埋め尽くされていく喜び。
多分ガンダムが好きな人なら一度は考えたと思う「あのとき、もし」を本当にガンダム公式シリーズでやる、というのがすごい。一年戦争で起きた出来事(特に木馬周り)の改変は、二次創作するのですら憚られるレベルのアンタッチャブルという印象がこれまでにあった。でも考えてみたら「やっちゃいけない」という法律なんかないのである。本当の歴史ですら改変して楽しんでしまいがちな人種のオタクたちが、架空世界の戦史をこれまでほとんど弄らずに45年も過ごしてきたのである。(寡聞にして浅学な)わたしの知る限りにおいては『ギレンの野望』でしか描かれていないと認識している。しかしよく持ったな、45年も。宇宙世紀という発明、すげえ。
しかしその宇宙世紀の歴史改変に、最初に踏み込むのがカラー・庵野脚本というのはむべなるかなの感がある。恐らく富野御大がやらないのであれば他の誰にもできず、その大鉈を振るう権利を持つ人間はごく一部に限られる(とオタクたちは勝手に思い込んでいるので、もしどこかの馬の骨がやったとしてもあんまり受け入れられなかったに違いない)。庵野さんはそのうちの一人、というかもはや「彼でなくてはいけなかった」のだろうな、という気がする。その脚本力、だけでなく名前の持つ説得力、も味方してこそ、視聴した全オタクが映画館の椅子の上で「庵野、やりやがった~~~!」という叫びと笑いを必死に堪えることになったのだろう。監督は鶴巻さんだけど、やっぱり前半の1年戦争部分が、この物語の肝といっていい部分だと思うので。
それにしても、このタイミングまで本当に一切ネタバレを見ることなく映画館で全部を浴びることができたというのは本当に自分は類稀なる幸せ者だと思う。同行した二人(と、その後飲み会から合流したガノタの友人)は、全員タイムラインでネタバレを踏んでしまっており、わたしの普段見ていたタイムラインが忍たまで埋まっていたことにまことに感謝するばかりである。が、それがゆえに「えーどうせ4月に本放送始まるんだし、それからでもよくね?でもせっかくカラーが手掛けてるんだし、スクリーンで観るのに否やはないですが…」などという軽い期待しか抱かずにいたわけで、もし友達が誘ってくれなければきっと映画館には行っていなかっただろうし、そのうち本放送までの間に何らかの形でネタバレを踏んでしまっていただろうから、やっぱりこのタイミングで観られたというのは圧倒的幸運でしかないのである。ありがとうな…
この記事は書かないと居てもたってもいられないから書いているだけのやつなのでガチの考察をするガノタに見つかったら袋叩きにされそうで怖いんだけど、でも今後の展開予想というか、あの人は今どうなってるんだ!?とか、このキャラは出てくるのかな?とか、考えないわけにはいかない。
というか、ジークアクスに限らず一旦「ガンダム、歴史改変解禁したってよ」となれば、今後「この世界線も見てみたかったよね?」みたいな感じで、たとえばランバ・ラル生還ifとか、あのときもしホワイトベースがルナツーのサラミスに邪魔されずにシャアの乗るムサイを撃てていたら…とか、いろんな想像世界のガンダムシリーズ展開があり得るわけで、そういう意味でもワクワクしてしまう。けどまあ、一旦ジークアクスの話に戻そう。
今回の先行公開分だけでいえば、1年戦争からたった5年しか経っていない世界で、その5年間の繋ぎ役になっているのがシャリア・ブルこと緑のおじさんである。彼がいる以上、この先もなんらかの形で旧作のキャラクターが登場するであろうことは期待して差し支えないだろうし、実際先行公開分だけでもカムランさんが登場している。カムランはパンフレット(豪華版)の説明によれば「婚約者がいたが結婚には至らず破談に終わった」とあり、この短い文章だけでもオタクはハチャメチャに興奮できてしまう(ブライトがいなくともミライさんとはダメになっちゃうんか… でもこの世界線ではミライさんの父君はご存命かもしれず、もし親の意向で婚約関係にあるのだったらやっぱり彼女側の強い意志で拒絶されたのだろうから、彼女はこちらでもまた、ブライト以外の誰かと恋仲になっているのだろうか…なんていう具合だ)ので、いずれテレビ放送が始まればそのようなキャラの登場・匂わせの台詞だけでどんだけ毎週考察祭りが捗るのだろうと思うともうワクワクが止まらない。別にキャラが出てこなくとも、「こんにちは、おいそぎですか」「べつにいそいではいませんよ」のやりとりだけで、ミ…ミハル~~~~!!と泣きそうになれるし、その合言葉、ジオンはまだ使ってるんだ…と喜べる。鶴巻監督の掌の上でゴロンゴロン転がれる。
もうこれを書き終えたらいい加減日常に戻りたいのだが、こんなに悲鳴を上げてもまだジークアクスのことが頭を離れない。自分はこんなにファーストガンダムが好きだったのだなあ…と再認識するとともに、オタク友達とファーストの振り返りをしつつ、楽しんで本放送を待てることがとにかく嬉しいし楽しみだしで、やっぱりガンダムは最高だぜ。
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