親知らずの抜歯と全身麻酔の注意点
これから親知らずを抜く人、全身麻酔をかけて手術する人に参考になる情報かもしれませんが、逆に不安になってしまう情報も含むので閲覧する人はご注意願います。
①親知らず(第三大臼歯)埋没抜歯
みなさん、親知らず生えていますか?あごがしっかりしている人ならば生えてきてもしっかりと他の歯に影響もなく問題なく過ごせると思いますが、歯茎の中に埋没している、他の歯を押し続け悪影響を与える場合があります。
私のアゴは華奢な方で、親知らず4本ほど生えてきましたが、大学時代一本抜いて、あと2本は小さいもので社会人になってから虫歯治療と合わせて簡単に抜いていたと思います。残りの右下の親知らずは歯茎に埋没しておりアゴの骨に食い込み、斜めに生えていて隣の歯を押し付け、少しだけ口に出てきて隙間から食べかす、雑菌が入り、よく腫れて疼くことがありました。
抜きたいにも、普通の歯科では抜くことは困難で、大学病院で全身麻酔を行って手術をして抜く必要があると言われていました。なので、できれば騙し騙し過ごしたかったのですが、腫れて痛くなることも多くなり、単身赴任から自宅へ戻ってきて落ち着く前に、親知らずを抜いてしまうと決心しました。
②手術が必要
かかりつけの歯科から大学病院を紹介され、色々と説明を受けましたが、まず手術は3ヶ月後!ということで結構待つことになりました。レントゲン写真を見てわかるように、大きな歯がアゴの骨まで達して埋没しており、斜めになっています。そして、神経がこの親知らずに絡みついていて歯を抜く時、神経を傷つけて唇を動かすのが不具合になるかもしれないと説明を受けました。
また、アゴの骨も少し削って抜く必要があるかもしれず、その場合は歯を抜いた後プレートで固定して、しばらく経ってからそれを取り除くためにまた全身麻酔をかけて手術が必要とのことです。
うーん。結構難しい手術なんだなあと感じました。だからといってこのまま親知らずを放置しておくと、隣の歯を押し続け、変な痛みや歯並びが悪くなり、雑菌が入り込み歯の周りやアゴの骨も溶かしていってしまう危険性もあるので、ここは手術をして抜くしかありません。
③手術前
そして、3ヶ月後、手術前日に入院し食事制限と水分補給、麻酔をかけるための事前調査のため、トイレに行くたびに尿をとって量を測定しました。麻酔の量を計算するためですかね。
いわゆる普通の病院食でした。夕食後はOS-1のみ飲んで他の飲食は禁止です。
また、電気メスを使うため、足にアース線を貼るためシャワーに入る時、すね毛を片方剃りました😁。
当日、若干のだるさ微熱があるものの特に手術に影響はないということで、手術を決行しました!当日、手術中足に血栓ができないようにC-WXのような圧縮ソックスを履きます。
手術用着を着て髪の毛を束ねるネットを被ってツレに見送られて手術台へ。
手術台に横たわり、点滴セット、先生から「はい、こちらを吸うとすぐに眠りに入りますよ」と麻酔吸入器を口に当てられると、もう記憶がありません。最後に見た風景は手術台の照明です。多分、口の中をゴリゴリドリルやノコギリメスで作業をしていたのだと思いますが、全く記憶にはありません。
死ぬ時って、多分こうなんだろうなと今思うとそう感じられました。その時は夢は見ていません。麻酔は目が覚めますが、死ぬ時はこれが永遠に続く感じなんでしょうか。
④手術後
かかりつけの歯科の先生は母校の先輩医師が手術を行なっているところを見学していたようです。大体手術は2時間ぐらいかかりました。目が覚めると鼻から胃までチューブが入っていて、手術中、血が胃へ落ちて固まらないように吸い上げていたようです。また、尿道にも管を入れられて尿を採取されておりました。頬には氷嚢が当てられていました。
麻酔が切れると喉にチューブが入っているのが痛くなり、取り外してもらいました。立ってトイレに行けるようになって、尿道チューブも取り外してもらいました。
手術は大成功だったようです。親知らずに絡んでいた神経もあまり傷つけず、アゴの骨も特に削ることなく抜歯できたようです。これで、プレートをつける必要がなくなり、取り外しの手術も不要になりました!
こいつが、入っていた親知らずです(グロ注意!)。
上下ぱっかんとカットされていて、まだ鮮血がついていて赤くて鰹節をまぶした梅干しのように見えました😁表面はざらついて、いかに極悪非道な形をして周りの歯や歯茎、骨にダメージを与えていたのがわかります。
術後は流石に口、歯の部分は痛いです。頬は膨れ上がり、食事も流動食です。でもその日の夕食ははあまり食べられなかったと思います。
歯ブラシは使えず、水洗ジェット機を使いました。
翌日、やや微熱がありチューブのせいで喉に痛みを感じていました。ご飯も流動食から三分粥、ペースト状のものに変更です。
⑤血液検査の異常
手術後の傷口の化膿を防ぐための抗生物質を点滴で入れるため、このように手にはプラグが装着されたままです。また、定期的に血液検査も行われました。そこで、CPK値が以上に高いことがわかり、精密検査を行う必要となりました。CPKはクレアチンフォスフォキナーゼの略称で、心筋、骨格筋、平滑筋などの筋肉に含まれる酵素で、これが血液に漏れ出すと、何らかの細胞がダメージを受けている指標になるということです。
まあ、手術後でアゴや口の中の細胞が障害を受けて一時的にCKP値が高くなったんじゃないかな?なんて考えていたのですが、心筋梗塞の疑いもあったので、心電図を常時つけることになりました。
そして、2回目の血液検査後、いきなり「総合病院に転院してくださいと」と連絡があり、急いで荷物を取りまとめ、なんと救急車で歯科専門病院から市の総合病院に移送されました!
自分自身は、まあ術後のだるさぐらいな感覚で、心臓が痛いとかクラクラする、気持ち悪いなどの症状は全くありませんでした。
⑥総合病院緊急入院
家族も総合病院に駆けつけ、「パパ死んじゃうの?」と子供達が心配していたのを覚えています。
その後は、救急病棟の一室(複数部屋)に寝かされ、点滴、ホルター24時間心電図をつけられ、ひたすら安静にしておりました。ただし、CKP値を下げるため点滴で生理食塩水をどんどん投与しているのでトイレが近く、点滴の管やホルターの配線を絡いながら移動するのが大変でした。
自分自身はなんとも感じないので、横になっている時も暇で、昼のあまり面白くないテレビを見ていたり、図書館で借りておいたつまらない本を読んでいました。夜は、病棟が病棟なので、うめき声や嗚咽が深夜も響いており、なかなか寝ることができませんでした。ここは、携帯・ネット利用もできません。
こんなところで、もう何日も過ごすの?と思いましたが、一応基準値にまでには下がらなかったのですが、順調にCKP値が下がっているということで、入院後3日後に退院することができました。
⑦異常値の原因は?
結局、何が原因でCKP値が上がったのかは不明です。基準値は40-250単位/リットルのところ、私は9000単位!まで上がっていたので、そりゃあ歯科医師もびっくりでしょうね。
麻酔時に使用する鎮静剤のプロポフォールが稀に横紋筋融解症を引き起こすとも言われていて、それが疑われましたが果たしてどうなんでしょうかね?一時期小児科で多量に投与して子供を死なせた医療ミスや、あのマイケルジャクソンもプロポフォールのオーバードーズで死に至ったとも言われています。
なので、色々な問診票を書く時や予防接種のとき、このことを説明しなくてはいけないのでとても面倒くさいです。今回のワクチン接種のときも問診で説明しましたが、医師からは全然問題なし!と言われてしまいました😁。
⑧その後対応・手続き
その後生命保険の申請がとても面倒くさかったです。病院が2つに別れたこと、各々の入院期間は短かったこと(トータルで5日間ですが、2日、3日に別れたこと)医師の信書を書いてもらうのに時間がかかったこと、それを受け取りに何度も病院に足を運んだことなど、、、。
結果的には抜歯自体は問題なく成功で、時々を歯磨いているとき、口からよだれが垂れてきてしまうことぐらいしかありません🤤。それとは別に、寝ている時歯を食いしばっているらしく、歯がすり減ったり痛くなったりしています。また寝ている時舌を噛む時があり、それも抜歯の影響なのかなあなんて思っていますが、ストレスが溜まっているとそうなるらしいですね。
その後、数回大学病院に術後の検査など行いましたが、特に異常なし。麻酔医師より「今回の件、学会報告したいけど良いですか?」「はい、その学術論文できたら見せていただけますか?」「はい」とのことでしたが、それ以来何も連絡はありません。
また、かかりつけ医師の病院にも定期検診に何回か行ったのですが、「親知らず抜かないといけないね??」なんてとぼけたこと言っているので、折を見てかかりつけの歯科は変えることにしました!
まあ、結果的には今問題なく過ごせているので、手術を担当してくださった医師には感謝です。バタバタと転院してしまったので、ありがとうが言えなかったのが残念でしたが。
この話は10年前のことで、やはり全身麻酔手術となると体力を使うので、まだ若いうちがいいかなと思い抜歯を行いました。
たかが親知らずを抜く、全身麻酔をすることでも、こんなに危険を伴うことなんだと思い知りました。
これから、親知らずを抜歯する方、全身麻酔をかける方の参考になればと思います。
そういえば、抜いた歯って魔女の使い魔に似ているね!
少しでもお役に立てられ、気に入っていただければありがたいです!