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あいたい人

時々思い出す あいたい人

何か問題があると
思い出す あいたい人がいる

彼女は小学校高学年の頃の同級生で
いつも笑顔で とても可愛い女の子だった

なんで仲良くなったかは忘れたが
とても仲良くなった時期があり
彼女の家に一度遊びにいったことがあるのだか
その家は社宅と言いながらお茶室もある
日本家屋の大豪邸で(推測だが、お父様はメガバンクの支店長か
大企業の支社長クラスだったのではないかと思う)

彼女と同じ笑顔の可愛い 若くて優しそうな女性が 手作りのお菓子を出してくれ
彼女がご両親のことを 「お父様」「お母様」と呼んでいたことに驚いた
その後、もっと驚いたのが 一緒に街に文房具を買い物に行った時
(当時の私たちの最先端のお出かけはダイエーで文房具を買うことだった)
その道中で見た洋服を指差し
「これ素敵、今度お母様に作ってもらおう!」
と無邪気に話してくれたこと

そう、彼女のお母様は 若く、可愛く、優しく、お菓子作りが上手で
その上 彼女のお洋服もほとんど手作りできる
スーパー良妻賢母であったこと

とにもかくにも いなかのいけてない私とは
まったく世界の違う彼女であったが
一心に愛情を受けてきたためか
その笑顔を見ているだけで
こっちまで明るい気持ちになり ウキウキしてしまう
そんな今までの人生で出会った一番素敵な女の子だった
(これは今でも変わらない)

そんな彼女が卒業式で 挨拶をすることになった(いわゆる答辞)
突然の大抜擢に 彼女は緊張していたはずだ
後から分かったことだが 卒業式後に彼女は引っ越すことになっていて
それを知っていた先生が 地方の小学校での思い出にと考えたのかもしれない
もちろん彼女以上にふさわしい生徒がいなかったこともあると思う

卒業式の練習時 彼女の挨拶はというと
日頃の彼女の コロコロと鈴の音のような
可愛いくチャーミングな声ではなく
男っぽく やや怒鳴っているような 声でなされ

なんでだろう?
私はお気軽に おせっかい心が発動して

ねえねえ いつもと全然違うよ なんかちょっと偉そうに聞こえるから
いつも通りに言えばいいのに
言い終わらないうちに 彼女は大号泣してしまった

その後の記憶はあまりないのだが
彼女は私がそういう前にもいろいろな子から
なかばやっかみもあり、批判の声にさらされていたようで

思い詰めた彼女は先生に
挨拶を辞退したいと申し出たようで

その後、その原因が私であると受け取った
先生に呼び出され、一方的に叱られてしまい

何が何だか分からず
幼かった私は自分の好意をそんな風に受け取った彼女にがっかりしてしまい
その件以降、口を聞かなくなってしまった

時々彼女が何か言いたそうな目をしてこちらを見ていることがあったが
頑なに拒否をしていると 卒業式になり

彼女は緊張して震えた声ではあったが
でもしっかり最後まで挨拶し
そして引っ越していってしまった

あの時はごめんね
って言いたいのではなくて

分かってたよ
あの時いろんなプレッシャーで 辛かったんだよね
だから先生にもう辞めたいって言ったんだよね
私のこと告げ口する意味じゃなかたってことは
100も承知だったよ

と言いたいのでもなくて

引っ越しするって聞いてなかったよ
知っていたらもっと遊びたかったし
その後の住所も聞きたかったよ

なんでケンカなんかしちゃったんだろう
私のばかばか

一番の親友だったのに
ケンカしても仲直りできると思っていたから
ツンケンしてたのに

大好きだったのに
近所のお姉さんが持っていて欲しくて仕方がなかった
ラブチェリーの人形より
モンチッチ、名犬ジョリーのぬいぐるみより
ずっとずっと大好きだったんだよ


いつかまた会いたいね

心から思っています








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