無垢を武器に、閉じた世界を開く。ナイーブだが真っすぐなロッカー、デビッド・ボウイ。
生放送中も構わず、黒人アーティスト差別に正面切って怒り、「朝目が覚めたとき、そこが京都の禅寺だったら」と思いつめるほど京都を愛する。
そんなすこぶるナイーブで真っすぐなロッカー、デビッド・ボウイ。
若いアーチストに向けたボウイのこのインタビュー(0:56)。
「他人のために働こうとするあまり、自分の中で始まっていたはずのものを忘れたら、君はかえって社会と共存できない」
その語り口はあたたかくも、言葉は手厳しい。他人に媚びず自分の鮮度を保つのだ、とそれは自分に言い聞かせているかのようだ。
最後のくだり、ボウイが気をつけよという「安全な場所」っていうのは、自分が腐敗し始めるところ。
自分の安住の地から少し先、地に足のつかないようなスリリングな緊張、恐さを感じる状態になるところこそが実は最適地。
そこは、自分の殻が破られて新たな自分が次々現れる場所。
自分を新鮮無垢にしておける勇気が、閉じようとする世界を切り開く。
ことはアートに限らない。
2002年9月22日 Berlin, Max Schmeling Halle / ”Heroes” 「誰だって一日だけならヒーローになれる」まるで演説。
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