乃木坂27th「ごめんねFingers crossed」について

The worst is not, So long as we can say 'This is the worst.'
シェークスピア『リア王』第4幕第1場より

26th表題曲を酷評したのがまるで昨日のようですが、乃木坂46は確実に前に進んでいるのでファンも前を向くしかありません。
先日ラジオで27th表題曲「ごめんねFingers crossed」が解禁され、先程MVも公開されましたね。
MVで心変わりする可能性に期待していましたが、端的に言えば「話にならない」という日本語がぴったりです。

無感情

前作「僕は僕を好きになる」は賛否の分かれた楽曲で最終的に歌詞とMVの助けを大いに借りたと私は考えています。
ところが27thに至っては「良い」「悪い」などといった感情すら起きませんでした。流れている間終始頭は空っぽ。
ネットを見れば「26thと違ってほとんど否定的な意見がないし、久しぶりの良曲!」といったコメントが多くありました。
(好き嫌いはひとまず置いときます。好き=良いではありません)
否定的な意見が少ないのは良い曲だからではなく、良いと思った人以外が何も書き込んでいない(書き込むことを思いつかなかった)からではないでしょうか。あくまで私の推測です。
乃木坂は人気グループなので低評価の嵐になることは考えにくいものの、肯定派の熱意もあまり感じられませんでした。特に話題が重要なこのご時世でこれは悲しいです。まだ「酷い」とあれこれ言われているうちが良かったのかもしれませんね。
聴き手を刺激しない楽曲は死んだも同然だと思います。駄作だと言う元気すら残っていません。
「僕は僕を好きになる」について考えていた頃が懐かしいです。

遊びに徹したMV

乃木坂メンバー、カーレースに挑戦!
レッツゴー!突っ走れ!
WOW WOW WOW!
動画のブラウザバック対策でお馴染みの細かいカットで目が疲れました。情報量がおかしいです。
最近の人間は集中力がないので再生回数を稼ぐためにはやむを得ないのかもしれませんが、限度を超えています。逆に飽きました。
(ファンは何度でも止めて何度でも再生しますし)
かっこいい、新しいは受け入れます。
世界観の設定、特設サイトの開設など、MVに対する情熱も認めます。
しかしこれは。楽しい…のでしょうか?
以前の「僕僕」の時も触れましたが、MVに頼る前提の曲であることが見え見えです。それも今回は曲の解釈を深めるのではなく、曲とは別の面白げなコンテンツを空中に放り投げただけ。
MVまでもが特典に成り下がった瞬間です。
何もクオリティが低いのが悲しいのではなく、天下の乃木坂46が最もやる必要がなさそうなことを最近では平気にやっているのが何よりも悲しいです。
(「今、話したい誰かがいる」聴いてきます)

「YOASOBI感」について

解禁に伴い現在大ブレイク中のユニットYOASOBIに曲の雰囲気が似ていると感じる人が多かったのか、「YOASOBI感」というワードがTwitterでトレンド入りしていました。
確かにどこかに駆けていく(?)ような疾走感、ピアノ、唐突な高音などYOASOBIに通じる音楽的要素も多く散見されました。
まあ「I see...」や「Route 246」の前例もあったことから(YOASOBIと同じソニーですし)こんな曲が選ばれても仕方がないと思います。
多めに見たい、と言いたいところですが表題曲が他のアーティスト(しかも若手)に似ていると言われるのは(戦略のうちという可能性も否定できませんが)乃木坂ファンとして悲しい限りです。前述の「聴き手が刺激されていない」証拠なのかもしれません。
第一メロにもアレンジにもボーカルにもYOASOBIの大きな魅力のひとつである緊迫感がなく、「本家」に鼻で笑われそうなクオリティです。
ちなみに私はあまりYOASOBIが好きじゃないです、念のため。
特にボーカルは(前作同様)歌の練習をする時間が足りなかったのか生田さん(not幾田さん)や久保さんなどを除いて全く水準に達していません。
いつまでも衛藤さんや桜井さんを探してしまう私もいけないのですが。

タイトルで謝ってくれているようなので28thに向けてファンとして
I'll keep my fingers crossed!

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