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東京都現代美術館『ホー・ツーニェン エージェントのA』感想 時の流れにいかにして向き合うか

東京都現代美術館の企画展『ホー・ツーニェン エージェントのA』を見てきた。
ホー・ツーニェンはシンガポールを拠点として活動している作家で、作品は全点が映像作品。
短い映像作品と30分〜60分の作品が複数あり、全部見ていなくても3時間近くかかった。


テーマのひとつはシンガポールを中心とした東南アジア。自国の歴史とともに、イギリスや日本とも絡み合う複雑な関係を再構成していく。時の流れに埋もれているような歴史を、なんとかして掘り返そうという試みを感じる作品だった。西洋人はバッファローの革で人形を作ったが、自分たちをトラの生まれ変わりだとする人たちにとってはバッファローはトラの天敵であり、人間とは正反対であるという話はなんだか印象に残った。

もうひとつのテーマは時間。自分と周りは同じように時間が流れていると無意識に考えてしまいがちだけど、例えばズレていく時計にとっての時間とは?確率で崩壊する放射性核種にとって、人間と同じような時間の感覚で寿命を考えられるのか?我々はどう足掻いても進んでいく時間についてどう向き合っていくべきなのか?
あらゆる角度から時間についてこれでもかと考えさせられる展示だった。

映像作品たちは再生が終わると最初に戻り、ループしていく。美術館の映像作品なら当たり前のそんな光景も作品の一部にしているように感じた。
ひとつ感じたのは、私自身が日常的に大量のアニメを見てきたことで、日本的なアニメじゃない海外風としか言いようのないタッチの作品にどこか抵抗みたいなものを感じてしまうなということだった。どちらが優れてるとかいうもんでもないはずなんだけど、なかなか慣れるのも難しいしどうしたもんか…
時間に余裕を持ってどうぞ。それでは。

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