
弘前レンガ倉庫美術館 どうやってこの世界に生まれてきたの?展 感想
現代美術ばかりが並ぶ展覧会で、映像作品、絵画、立体作品が同数くらいずつあった印象。

ジャナイナチェッベの作品を見ていると、絵画と映像インスタレーションによって、溺れるという感覚の非日常性に気がつかされた。溺れるという概念は身近にあって、例えば川に飛び込めば味わえるだろうし、例えば風呂に頭の先まで潜れば擬似的に体験できる。それでも実際に味わうことは限られている。作品の主題ではないかと思うけど、そんなイメージをしながら鑑賞していた。
ミカロッテンバーグの作品は、色とりどりのガラスや様々な浮き輪やおもちゃなど、とにかく素敵な色彩に、無表情で作業する人の対比が印象的だった。

この美術館を訪れたのは2回目だけど、やはり広々した展示空間が魅力だと思う。
どれくらい広々としているかというと、奈良美智が高校時代に仲間と作り上げたというロック喫茶を再現して展示できるくらい。


『言葉をせおう』という作品は「人はみなそれぞれのカンバンをせおう」と書かれた看板を背負いながらフラフラ歩く映像。労働していると、ずっと看板みたいなものを背負ったまま生き続けなきゃいけないなとか考えていた。もはや素朴といえるくらい捻りのない作品だけど、だからこそ刺さる人には刺さる言葉だなと思った。



工藤麻紀子の絵画は初めて意識して見たけど素敵だなと思った。周りの穏やかな風景と、侘しいといえるくらいの食事。それでも幸福感を感じる雰囲気が良かった。

どうやってこの世界に生まれてきたの?というのがこの展覧会のテーマだったけど、この世界に生まれた後に囲まれている美について考えた展覧会だった。それでは。