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キュレーションへの問いかけと発見 ワタリウム美術館『エキシビション メーカー』感想
キュレーション。美術展などにおいて、展示作品の選別や構成を行うことを指す。私たちが見る美術展は、キュレーションされた結果のものである。
キュレーションの手法についてはあまり詳しくはないが、よく見られるのは類型化とストーリーだ。
似たようなテーマの作品を近くに並べて展示されることが多い。例えば風景画なら風景画、油絵なら油絵を集めて展示する、1人の画家の回顧展であれば同時代の作品を近くに配置するといった調子だ。こうした展示のメリットは、何よりわかりやすさにある。それぞれ作品が比較のしやすく、時代の流れもつかめる。
今回の展示は、そんなキュレーションについて問い直すことがテーマになっている。
ここから先は感想とともに、既存のキュレーションについて私がどんな課題を感じ、今回の展示ではどのようにして課題の解消に挑んでいたのかを書いていこうと思う。
類型化から逃れる
美術展に行ったときにある一角を見て「この辺りの作品はこんな感じの作品だな〜」とわかった気になることがある。このとき、作品をまとまりで見てしまって、個別の作品の特徴を見落としてしまう。
この展示は、章ごとのくくりがかなり緩いというか、どのような意味を持ってこの章に配置されたのか考えながら見るような内容になっていた。あらかじめ「こんな感じの作品だろうな〜」というような先入観なしに作品に入ることができた。
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ゆるやかなつながりで並ぶ作品
無関係に作品を陳列しているのではなく、言語化はできないものの、ゆるやかに作品同士が繋がっているように感じた。他の展示作品を見たことで、一度見た作品をもう一度見た時の印象や考えることが変わってくるように思えた。いつもの展示をスムーズに回る歯車だとすると、そこから少しずれているからこその発見のある展示だと思った。
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抽象画や銅版画などなかなか普段難解と思われるようなジャンルの作品にも補助線を引くような展示だったと思う。
まだ始まったばかりなので機会があればどうぞ。それでは。