30年後、テレビの中に入ることができる
日経の「#30年後あったらいいな」コンテストに応募してみます。テレビ屋なので30年後のテレビについて。
もちろん、30年後にテレビがあるの?とかテレビオワコンしてるでしょ?
なんて事を言われてしまいそうですが、テレビはあると思います。少なくとも僕はこの業界を離れたとしても家の中にテレビは置いておきたいです。
タイトルの通り、視聴者はテレビの中に入ることができるのでは?って個人的に考えています。それがテレビの究極の形だとずっと思っているし、技術的にはそう難しくない段階まできています。
昔、テレビの世界に憧れて、多くのちびっこたちがテレビを分解して物理的にテレビの中に入ろうとしました。それでも真っ暗闇が広がるだけで「テレビの中に入る」ことはできなかったんです。
しかし、誰でもテレビの中に、そして現場に立つことができます。
テレビは「現場を目撃する」ことです。トークの現場、スポーツの現場、ニュースの現場。僕たちがたどり着けない現場にカメラがいってくれ、テレビの前の人も「あたかもそこにいる」ような錯覚を覚えて多くのことを知り、楽しくなれるのです。
若い人がテレビを買う理由の一つに「寂しいから」というものがあります。暗くて誰もいない家に帰り「ただいま」と言っても誰からも返事がない。そんな一人暮らしの生活の中で、テレビをつけると「寂しさを紛らわせる」ことができます。
現場を目撃し、現場にいる気になれるからです。
たとえテレビ画面を真剣に見ていなくとも、芸能人のトークや音楽を聞いてるだけで「1人じゃない」とか「みんなといる」ような感覚になれます。子供の頃、留守番ばかりしていた僕にはよく分かる話なのです。
実際、今のテレビの一つのトレンドは「みんなでやってる感じ」です。テレビの前の人を共犯者にします。
池の水全部抜いてみた、イッテQ、ポツンと一軒家などはテレビの前の視聴者もあたかも出演者たちの一員になって一緒に楽しんでいる気にさせるコンテンツです。
僕はこの流れがずっと続いていくし、これからのテレビの核になってくんじゃないかと思っています。いかに視聴者を巻き込んだようにさせるかが大事になってくる時代です。
その意味で、30年後、視聴者はテレビの中に自由に入ることができるようになります。
今でも観覧席といってテレビのスタジオでは一般お客さんがスタジオを観覧していますが、僕が言っているのは観覧席ではありません。
スタジオの中に座れます。トーク番組だったら自分がスタジオの中央の椅子に腰掛けてトークを聞けるようになります。
サッカー中継だったらピッチの中でサッカーを観戦できるようになります。
VRやARという言葉もありますが、テレビを一つ買うだけで、芸能界の世界に入り込むことができ、番組の中に実際に入り込めるのでは?と思う次第です。
そうすればよりテレビの中の内容を臨場感持って楽しむことができるし、なにより、自分が主役になることができるんですね、テレビ番組の中で。
現場に入り込み、あたかも自分が出演しているような体験をテレビは味あわせてくれるはずです。
これでテレビを解体しなくとも、テレビの中の世界に入り込むことができ、よりテレビ番組を面白く体験することができるはずです。
昔、テレビを解体していたちびっこたちがテレビの現場に入り込むことができたら、夢があるなーと。でもテレビはいつだって夢を与えるものですよね。