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『ほころび』 - 井上園子

Mikikiの2024年マイベスト邦楽アルバムで天野龍太郎氏が薦めていたのをきっかけに聞いてみた。

『三、四分のうた』を聞いて、「こりゃすごいのが現れたな」と少し面食らった。ギター1本で弾き語りをしているだけなのに、人間的な魅力が溢れ出るのを止められていない。ダダ漏れである。
アルバム全編を通して、フォーマット自体には斬新なところはほとんどない。むしろ、フォーク音楽の伝統的な形式に忠実に従っている。本人も様式化されたものに惹かれるとも語っており、様式が魅力を生むよい例となっている。

このアルバムの特徴は、スタジオ感を強調している点だ。アルバムジャケットやtiktokのショート動画がスタジオで撮影されているほか、サウンドも雑音を排除し、ギターとボーカルをクリアに録音している点が強調されている。
音楽作品を作るというよりはむしろ、正確に記録するという点が大事にされているのだろう。昔アメリカ大陸でブルースやフォーク音楽がフィールドレコーディングされて記録されていったように作られている。

バンドで演奏されたらどんな風になるんだろうと期待してしまう。


木津毅氏によるインタビュー

タワレコスタッフ16名が選ぶ2024年マイベスト邦楽アルバム


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