【代表インタビュー】SUPPONDができるまでと事業に込めた想い
「SUPPONDってどんなサービスなの?」
「SUPPONDを運営している菊地さんってどんな人なんだろう?」
そんな疑問にお答えするべく、今回は株式会社goose up代表の菊地さんに、特別にインタビューさせていただきました!SUPPONDのサービスや菊地さんの素性が気になっている方は必見ですよ〜!
最初は薬局を経営するつもりだった
ーーまずは自己紹介からお願いします。
菊地 将和です。薬剤師の資格を持っていて、現在は株式会社goose upを経営しています。
広島県の出身で、大学に進学するのを機に福岡に引っ越しました。大学卒業後は、30店舗規模のチェーン薬局で3年ほど働いた後、在宅医療に特化した薬局で8年間勤務しています。
もともと独立願望があり、5年前に独立しました。
ーーありがとうございます。読者の方は薬剤師さんが多いと思うので、そもそも菊地さんが薬剤師を目指したきっかけについてもお伺いできますか?
中学生、高校生のときに理系科目が得意で、とくに化学が好きでした。母親から「化学が好きなら薬剤師になったら?」と言われたのがきっかけで、薬剤師という職業を知ったんです。
そこから薬剤師について調べてみて、自分の強みを活かせるおもしろそうな職業だなと思って、高校1年生のときに薬剤師になることを決めました。
ーーたしかに、自分の得意を活かせそうな職業ですよね。独立願望があったとのことで、高校生のときから将来は自分の薬局を持ちたいと思っていたんですか?
いえ、新卒で実際に働き始めた後に、このまま働き続けていたら自分がどんなふうになっていくのかがなんとなく想像できてしまって。
薬剤師の仕事って、基本的にはルーティンワークじゃないですか。私は飽き性なので、何かちょっと違うことがやりたいなと思うようになったんです。
もともと安定よりも変化を好むタイプなこともあって、経営のほうが楽しいのかなって考えたんですね。そこから、どんどん独立願望が強くなっていきました。
だから社会人1年目のときから、店舗の収益ってどうなっているんだろうとか、技術料はいくらなんだろうとか、空いた時間で計算していました。
自分が薬局を経営するんだったら、どれくらいの利益が残るのかが気になって。
ーーもう経営する気満々だったんですね。
そうですね(笑)。親も含めて、周りに経営している人がいなかったので、自分で勉強するしかなかったんです。
だからインターネットでいろいろ調べながら、まずは自分の店舗がどうなっているかを計算していました。
ーー当時は、独立するなら薬局を経営しようと思っていたんですか?
薬剤師で独立するなら、薬局が一番現実的かなあと思っていました。当時は医薬分業がすでに飽和状態だったので、どんな薬局なら生き残れるかとかも調べてたんです。
そしたら、「在宅」っていうキーワードが出てきて。当時はまだ、在宅医療をやっている薬局なんて聞いたこともありませんでした。
だから在宅医療に関する情報をインターネットで調べたり、卸さんに情報をもらったりしながら、自分でもいろいろ勉強して、実際に自分がいた薬局で始めようとしたんです。
でも、当時は常勤の薬剤師が自分しかいなくて。他店舗からの応援も頻繁にもらえる状況ではなかったから、私が外に出られなくて断念しました。
ただ、やっぱり自分の中では在宅を勉強したい気持ちがどんどん強くなっていって、転職しようと決めました。
ーーそれで、在宅に特化した薬局のほうに。
そうなんです。紹介会社の方に「福岡で一番在宅に取り組んでる薬局ってどこですか?」って相談したら、「それはもうきらり薬局しかないですね。」って言われて。
当時まだ2店舗しかなかったのに、紹介会社の方がそこまで言うのを不思議に思ったんです。で、とりあえず面接に行って社長とお会いしました。
実際に社長とお話しして、すごく衝撃を受けました。私は漠然と、将来的に在宅医療は絶対必要になるだろうとは思っていたんです。
でも社長は、もっと具体的にカラーで将来を描けている感じでした。
当時2011年の時点で、「2025年には団塊の世代が高齢者になって、超高齢社会になる。社会が在宅医療を求めるようになるから、今から在宅に力を入れてやっていくんだ。」って言われて。
そんなこと考えている経営者がいるのかと衝撃を受けて、条件とか何も聞かないまま即決しました(笑)。
ーーなるほど。在宅医療に強い薬局で独立しようと考えていたのが、きらり薬局さんに転職した理由だったんですね。
それもあるし、実際に独立しようとしたときに、独立に必要なコネクションがないなと思っていたのもあります。
私には医療関係の親族がいるわけでもないし、当時はM&Aとかも知らなくて。外来でやるのは難しいのかなって思ってました。
在宅だったら、介護施設とかがたくさんあるから、施設に営業をして処方箋をもらうことはできるのかなって。だから面接の時点で、将来的に独立するつもりであることは社長に伝えていました。
ーーそうだったんですね。でも結局薬局を作ることはなく、今の会社を経営することにしたのは、どういった経緯で?
私がきらり薬局に入社した当時、3店舗目のオープニングスタッフとして採用されたんですね。そこは門前の病院やクリニックがない、在宅専門の薬局でした。
実際にやってみて、やっぱりすごくしんどかったんです。外来のほうが相当効率がいいんだなっていうのをすごく感じました。
結局きらり薬局には8年間いて、後半の5年間はエリア長をやっていたんですよ。で、会社の売上管理表とか人員配置とかをいろいろと経験していく中で、薬局経営がそんなに簡単なものではないことも痛感したんです。
こんなにハードな業務をこなしても、これくらいの利益率なんだっていうのを目の当たりにしたときに、薬局経営の選択肢が遠のいちゃいましたね。
ノープランで起業、薬局のニーズを探った
ーー実際に経験してみて気づいたんですね。退職するときは、SUPPONDの構想はすでにあったんですか?
いえ、ノープランで起業しました(笑)。私がきらり薬局に入社した当初は社員数が30人もいなかったんですけど、8年間の間に200〜300人くらいの規模まで成長してて。
運営の仕組みもいろいろと変わっていったんですよね。大企業になるうえでは仕方のないことですが、どんどんルール化されていくのを感じたときに、私がここにいる意味ってあるのかなって思ってしまって。
薬局運営に必要な業務は一通り経験させてもらって、これ以上いても時間がもったいないって思うようになったんです。
私は環境に身を置いてから頑張るタイプなので、とりあえず逃げ道がないところに自分を置こうということで、何もなかったけどとりあえず独立したって感じでしたね。
当時のきらり薬局では、在宅医療に特化した薬歴のシステムみたいなものも自社開発していて。私が企画から運営までほぼ1人でこなしていたんですね。
だから最初は、薬歴のシステムを自分でも作って販売しようかなとも考えていたんです。ただ、きらり薬局が薬歴システムを販売し始めるって話を聞いて。
在宅をやっている薬局なんてまだほとんどなかったから、競合になったところで売れる件数がすごく少なくなってしまうじゃないですか。
だから断念して、やることなくなっちゃったなっていうのが起業のスタートでした。
ーーすごい決断ですね......。なかなか真似できないと思います。
ほかの人には全く勧められないですね(笑)。まあでも、がむしゃらにやればなんとかなるんだなっていうのは思いました。
とりあえず何もなかったので、退職して起業しますっていう話をいろんな方にあいさつさせてもらったんですね。
そうしたら、薬局を経営している知り合いの社長さんから、「人が足りないから助けてほしい」って頼まれて。
その薬局は1店舗しかない個人薬局で、正社員も1人しかいないから休めないと。で、社員さんが休みの日に月2回くらい来てほしいと言われました。
そこで時給の話をしたときに、4,000円でどうかって言われて。そんなにもらえるの?と思ったんですよね。派遣会社に頼むってなっても、会社としては5,000円くらいかかるんですよ。
でも薬剤師の時給としては2,000〜2,500円じゃないですか。だから4,000円で入ってほしいって言われたときに、純粋にいいなと思ったんですね。
で、薬剤師の助っ人みたいなのって、個人薬局ではニーズあるんですかって聞いたら、すごくあると思うよって話をされたんです。
普段から、社員さんが病気になったらどうしようとかっていう不安は結構あるって言われて。私は今まで複数店舗ある薬局にしかいなかったから気づかなかったんですけど、個人薬局って応援体制が取れないんですよね。
だから個人薬局向けの応援薬剤師みたいな仕組みが作れたらおもしろいなって考えたのが、SUPPONDのきっかけでした。
始めた当初は薬剤師が自分しかいなかったけど、応援で入ってくれる薬剤師さんを紹介できるようになったら、たくさんの薬局さんに喜んでもらえるんじゃないかと思ったんです。
個人薬局って全国の半数近くを占めるので、市場としても結構大きいんじゃないかなって。
ーーまずは独立してみて、実際にニーズを聞いてサービスを考えたって流れだったんですね。
そうですね。ニーズを取り入れた事業でいうと、今はSUPPONDだけじゃなくて、薬局向けのコンサルもやっています。
在宅を始めたい薬局さんだったりとか、すでに在宅を始めている薬局さんの業務改善だったりがメインですね。
ーーなるほど。今は2つの事業をされているんですね。ちなみに、SUPPONDを利用するメリットはどんなところですか?
メリットは、薬剤師と薬局の両方にあると思っています。薬剤師さんについては、まずは単価が高い。社会保険に入れないデメリットはありますが、正社員に比べると圧倒的に収益が上がりやすいです。
もう一つは自由度で、正社員よりも働き方を自由に選択できます。極論ですが、週7日で働きたい人もいれば、週2〜3日で働きたい人もいますよね。
実際にサービスを利用してくださっている薬剤師さんからも、自分のライフスタイルに合わせて働けるっていうのは、一番喜ばれているポイントかなと思います。
薬局さんにとっては、時期による忙しさのばらつきや社員さんの有休消化など、シフトに関するいろんなお悩みを解決できるのが大きなメリットです。
たとえばパートさんを雇うとすると、繁忙期だけ来てもらうこととかってできないじゃないですか。
あとは、パートさんはどうしても子育て中の女性が多いこともあって、夕方の時間帯や土曜日の人員確保が難しかったり。
でもフリーランスであれば、たとえば平日の午後から来てもらったり、土曜日だけ来てもらったりすることもできます。
常に自分と向き合いながら、よりよい社会を目指す
ーー薬局さんにも喜ばれますし、薬剤師の活躍の幅もどんどん広がりそうですね。菊地さん自身はSUPPONDを運営していて、どんなところにやりがいを感じていますか?
やっぱり喜ばれることですよね。薬局さんからも、薬剤師さんからも喜んでもらえるのが嬉しいです。
薬剤師さんに関しては、私が一人ひとり面談をさせてもらって、しっかりと責任を果たしてくれる方を薬局さんに紹介しています。
とはいえ、正社員よりも断然高い時給を薬局さんは支払っているわけです。
それでも、「優秀な薬剤師さんを紹介してくださってありがとうございます。またお願いします。」って言ってもらえるんですよね。
それが一番嬉しいです。薬剤師さんも、正社員より高い時給をもらっていることに申し訳なさを感じる部分もあるみたいなので、薬局さんが喜んでくれていたことを伝えると薬剤師さんにも喜んでもらえますね。
ーー双方に喜んでもらえるって、すごく素敵な事業だなと感じました。菊地さんはご自身の事業を通して、どんな未来を作っていきたいですか?
抽象的ではあるんですけど、私と関わったみなさんが、より良くなっていったらと思っています。社名のgoose upは、「より良くする」という意味なんです。
だから、薬局さんも薬剤師さんも、今よりも良くなっていくところを私が支援したいって思っています。
具体的な課題は、地方にももっとフリーランス薬剤師を広めることです。フリーランス薬剤師の方が都市部に集中しているのもあって、なかなか地方の薬局にサービスが行き届いていなくて。
たとえば半年とか1年とか期間を限定して、フリーランス薬剤師さんに地方の医療を手伝ってもらいたいなと思っています。
ーーたしかに、地方は都市部よりもさらに医療人材に困っていますもんね。最後に菊地さんにとって、仕事とはなんですか?
難しいですね......。「自分と向き合うこと」かな。仕事って、楽しいことと辛いことの幅がすごく広いんですよ。プライベートだったら、辛いことってあえてやらなくてもいいじゃないですか。
けど、仕事はある程度成果を出すためには、辛いことも含めてやる必要があるんですよね。その辛いことが現れたときに、一番自分の感情が出ると思うんです。「休みたい、サボりたい」みたいな。
そういうときに自分が試されるというか、一番自分と向き合っている時間だなって思いますね。今やるかやらないかっていう葛藤の瞬間が一番辛くて、一番生きている感じがします。
だから仕事がなくなっちゃうと、生きてる感じがしないんじゃないかなって思います。仮に無限のお金をもらったとしても絶対に仕事はすると思う。
仕事でしか味わえない喜びがあると思うし、自分が苦労してやったことを誰かに喜んでもらえるっていうのが、自分にとっては一番の報酬なんじゃないかなって思うんですよね。
そういう意味では、仕事って人生にとって一番大事なものかもしれないとも思いますね。
ーー菊地さん、今日はありがとうございました!
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