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いつもそこに、映し出されるもの

今日の琵琶湖。

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いつもは琵琶湖の東側、今日は西側から。東と西じゃ、ぜんぜん景色が違うんだ。今日は色も違うように見えた。

西から見ていると、今住んでいる長浜市が目の前に広がって嬉しくなる。自分が普段動いている場所を山にも登らずに一望できるなんて、意外とそんな場所はなかなかない。

眺めていると、あそこにはあの人が住んでいて、あそこにはあの人が、そういえばあの人は元気かな、と顔が思い浮かぶ。市をまるごと抱きしめたくなる。南北40kmだけれど。

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琵琶湖を見ていると、いつも滋賀で過ごしてきた時間が頭をよぎってセンチメンタルになる。今日だって港でうっかり泣きそうになった。

初めて琵琶湖を見たのがもう2年前。その半年後に誰も知り合いのいなかった滋賀に引っ越してきて、それから本当にいろいろなことがあった。

たくさんの人に出会って、愛を注いでくれて、たくさんの人が私にとってすごく大切な人になった。

一緒に過ごす人が違えば、時間の使い方もお金の使い方も変わる。必然的に、自分自身も気づけばずいぶん変わってきたんだと思う。

笑って泣いて、いとおしい思い出たち。

いつも、近くにはこの大きな湖があった。

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辛いことは、なかったはずだ。覚えていないだけかもしれないけれど、「引っ越して辛かったことはありますか?」と聞かれても、本当に思い浮かばない。

ただ、もしかしたら。だーれも知らないこの土地で仕事もないのに引っ越して、触れたことのなかった文化を知って、たくさんの人と出会って。

私、ちょっとだけ頑張ってきてくれたのかもしれない。引っ越してから初めて、今日そう思った。

だから琵琶湖と向き合うたびに、感情があふれかえるのだろうか。私のカメラロールには、琵琶湖の写真が並んでいる。

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自分の手には宝ものがあることを思い出させてくれるから、琵琶湖を一人で眺めている時間が好きだ。

そして、こんな大海に舟を浮かべて漕ぎ出していった先人たちのように、ここからもっと遠くに遠くに行ってみたくなる。冒険をはじめたくなる。

そう、ここからはじまるんだ。


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