一年後につなぎたいものを、本気で考えてみた #NDT48
どうせ過ごすのなら、未来を思い、自分で行動をおこす48時間を。
このツイートから開催が決まった、2020年4月11日(土)〜12日(日)の48時間でなにかつくるイベント。オンラインで14人が集結しました。
テーマは、「2021年4月11日」。
それぞれが個人制作に励んだ48時間を、常時ライブ配信。できあがった全員の成果物を、一冊のZINE(手づくりの雑誌)にまとめるプロジェクトです。
48時間のダイジェスト動画はこちら(movie by タニショーゴ)。
私は14人の同世代にインタビューし、初めての動画編集と、YouTubeのチャンネル作成からの動画アップにチャレンジ。
一気にたくさんの人にインタビューするのも、インタビューを動画でアウトプットするのも、あらゆることが初めてづくしでした。結果がこちら。
クオリティーはあれですが、自分がつくりたいもののために手を動かし、その隣に各自の制作を頑張る仲間がいた48時間は、とうとかった。
おかげで、「未来を思いながら一人分のアクションをおこすこと」と「手を動かして、願いを込めた表現を世に出すこと」の意味をもう一度信じられた。ここからまた、はじまるんだろうな。
というわけで、関わってくれたみなさんへの感謝を込めて、ここに振り返りを置きます。これも、2021年4月11日に読めたらいいね。
手を動かすことの意味を手放しかけていた
ここ最近、ぶっとばしたいことが多かった。
何よりも、何もできていない自分の弱さをぶっとばしたかった。
だから、ぶっとばそうと思った。
と、自分で自分を奮い立たせられたわけではなくて、情報の波に飲まれ、気づけば溺れていたのがここ最近だった。消費し続けるのって、きついんだったわ。
このタイミングで、シェアハウスの同居人が不在。自分も外に出ない。固有名詞を知っている人類と全く物理接触しない日々。
こういうとき、事実として実感することがある。一年半暮らしてきた滋賀の、家族も親戚もいないこの町内に、自分のセーフティーネットはないのだと。ただの事実が、このときはちょっときつかった。
オンラインMTGはいつもどおり入っていたけれど、この電話で初めて「しんどい」って言えた。
何もやりたくないのか、何もやれないのか、とにかく手を動かせなかった。あいにく、仕事も減り始めていた。じわじわと社会との接点が消えていく、これはとても残酷なことだと思った。
自分が手を動かして、それで何になるのか。つくりたいもの、何だったんだっけ。やりたいこと、見つけたはずなのに。
一人分のアクションの意味とか、手を動かして世の中とつながることだとか、私がぎりぎりでも信じておくべき意思表示の手段にすら、もやがかかり始めていた。
そんなとき、この前書き上げた原稿の主役、さの兄が動き出していた。
展開の速さよ。
もう、飛び込まない理由はなかった。
それでも、未来を思うことからはじめたい
4月11日(土)0:00、48時間がはじまった。ライブ配信をスタートし、参加できる人でキックオフ。
まずは企画意図と、テーマ「2021年4月11日」に込めた思いを聞くところから。以下、きくちのうろ覚え。
さの兄「なにかつくっていないと、頭がおかしくなりそうだった」「こういうタイミングで、ものをつくることの意味を信じたい」
タニ先輩「こういう人がこう考えていた、って記録を残したい」「先のことを考えたい」
次に、それぞれがつくりたいもののアイデアを出し合った。私は、この企画じゃなければやらなさそうなことをやろうと思っていた。だから「文章じゃない何か。動画とか」みたいな話をした。
その後は各自で考えるタイム。私がシャワーを浴びながら思いついたのは、インタビューだった。周りにいる人たちの「今」と「未来への願い」を聞いてみようと決めた。
ひさしぶりに「こんなことをやりたい」が頭をぐるぐるして、眠れないくらい楽しかった。
11日(土)の7時台。タニ先輩が朝ごはんの八宝菜を食べられなくなるくらいに話しかけ続ける私に、「周りの人のそのままの言葉を残せるの、いいですね」みたいに言ってくれた。
インタビュー対象は、これから一緒にやっていきたい同世代に決めた。
最近考えたことから、「何を一年後に残したいか」をぼやぼやと考えた。
参加メンバーに宣言。そして友だちへのオファーの文章を作成。
■ なんでやりたいと思ったか
個人的なあきらめられないこと、執着、願い、嫉妬、やりたいこと、好きなものも、きっと誰かの幸せにつながるアクションの原動力になるから、めちゃくちゃとうといなと思っています。
そして今この瞬間の物語は、残さなければ永遠に失われてしまうんだよね。
だから、みんなが今この瞬間に考えていることと、超個人的な原動力を残して、一年後に届ける願いと祈りのタイムカプセルにしたい。
一年ぶりに連絡した人もいたのに次々にOKしてくれて、途中でオファーストップ。(だから今回声をかけられなかった人もいます、また声かけるね)
結果、オファーした14人全員がOKしてくれた。よくわからない連絡だから断られると思っていたのに。人によっては普段より仕事が忙しかったのに。
協力してくれたのは、中高の同級生、中高時代からの他校の仲間、フリーランスの仕事仲間、滋賀に引っ越してから出会った全国各地の友だち。付き合いの長さは、1ヶ月から10年以上まで。
年齢は、24〜30歳に。公務員、大企業勤務、ベンチャー勤務、フリーランス。なんなら、オンラインでしかしゃべっていない友だちもいる。
共通しているのは、ざっくり同世代であること、そして私が「一緒に未来を向けそうだ」と勝手に思っていること。
1人目のインタビューが11日(土)の15時に入り、急ぎやり方を考え、みんなの手書き文字と動画を残すことにした。質問は2つ。
1問目:2020年4月11日の今、いちばんしたいことは?
2問目:2020年4月11日の自分から、一年後の自分に伝えたいことは?
ぜんぶがわからなくて、ぜんぶが変わっていく今だからこそ、その人の変わらない部分が見えるんじゃないか。そう思って、この2問にした。
一人じゃ苦しかったら、手を取り合って
というわけで、インタビューリレーがいざスタート。
こうありたい、これをあきらめたくない、こういう未来を描きたい。
そういう個人的な願いや祈り、一人分のちいさな希望のともしびって、大きな流れに消されそうになったり、ともし続けることを自分であきらめそうになったりすることもあると思う。
でも、他の同世代が必死に守っているともしびに元気をもらえることもあるだろうし、14人分のともしびを集めたら簡単には消えない大きな炎になる。
そんな、一人分のちいさな希望のともしびを消さないでいられるきっかけを届けたい。
毎回こう伝えるところから始まったインタビュー、その後はそれぞれ全然違う時間になった。
すでに何ヶ月もリモートワークをしている人、リモート数日目の人、出勤したくなくても出勤しなければいけない人。
不安、怒り、もどかしさ、つらいこと、最近落ち込んだこと、日常の発見、仕事の意味を信じられるようになったきっかけ。
大切にしていること、今の時間の使い方、見えない未来、それでも心にともしておきたい希望。
ウイルス起因の話だけではない。ただ、もう過去と今は違うことだけは、たしかだった。そして、理想を描くことからしか始まらないよね、とも。
中高の友だちのインタビューでは、最初から最後まで泣いた。いま何もできなくて、心が折れそうと言っていた。「でもね、最近やりたいと思ったことがあって、ちょうどきくちに相談しようと思っていたの」。最高だ。
「なんでみんな自粛してくれないんだ」と思っていた話も聞かせてくれた。でも全く違う仕事をしている人の話を聞いて、それぞれが最善の選択をしているのだろうと思えるようになった、と。
今回のことで、想像力を少し広げられたんだって。想像力を手放す流ればかり見ていた今、真逆の話を聞けた。
昨今の情勢とは異なる理由で、追い込まれている友だちとも話した。仕事が忙しいのは知っていたが、私の想像をはるかに超えていた。
タクシーに乗っている間だけ寝て、着替えに帰ってまた出社。「死にたくなることのほうが多い」と彼は言った。「生きていてほしい」と私は言った。
ぎりぎり生きていたその友だちが、私が最近書いた職人さんの記事を読んで、「世界を変えるのはすごく小さなことで、自分の仕事にも意味があるんだ、と信じられた」と言った。さすがに泣いた。
「世界を変えるのはとてつもなくハードだけれど、不可能じゃない。最近、そう思えるようになった」と彼は言った。そう信じる、私も。
そして私がやりたいことを話したら、「たしかに、そういうことが生きていく支えになるね」と言ってくれた。私はあなたに本当に生きていてほしいし、そのために私が渡せるものがあるなら、いっぱい渡したいんだ。
他にも、ずっと笑う回もあり日常の楽しみを教えてもらう回もあり、宝もののような話をたくさん聞かせてもらった。久しぶりだろうとオンラインだろうと、こういう話をできる友だちがいてうれしかった。
そして全く想像していなかったのだけれど、「声をかけてくれてありがとう」「話せてよかった」と言ってもらえた。私が巻き込んだことに、お礼を言ってもらえるなんて思わなかった。
もしかしたら、みんなと一緒なら私もできることがあるのかもしれない。私がつなげられる縁があって、それが一人の明日に続くきっかけになるのなら、自分が動く意味が、きっとある。
そう信じられた、総計13時間のインタビューだった。
結局、誰かに希望を届けたくて始めたこの企画で、誰よりも私が希望をもらったみたい。すごく元気になった。
手を動かし続ける48時間がくれたもの
家のなかを物理的にダッシュし続けた14人インタビューを終え、ZINE用に写真をまとめ、初めての動画制作にチャレンジ。ぎりぎり時間内に提出して、48時間終了。
打ち上げが楽しかったし、ライブ配信を切った静けさはさみしかったし、でも未来へのたしかな手応えがあった。
一緒に手を動かせる人がいたから頑張れて、つくる喜びを分かちあえた。手を動かすことの意味を、もう一度信じられた。
そして、これからやりたいことの一歩目になった。以下が、今回挑戦したことリスト。
① 仕事でインタビューする機会のない人にインタビューする
② インタビューをテキスト以外の方法で残す
③ 初めての動画編集
④ SNSを公開では使わない友人たちも含めて、一緒に動きたい同世代で何かをする
⑤ これからやりたいことを、一緒にやりたい人に話す
⑥ もう一緒に組めないかもしれないと思った中高の同級生となんかやる
⑦ 人を仲間だと信じる
いちばんは、自分が本当にやりたいことに協力してくれる友だちがいたことと、「あなたと一緒に未来を向きたい」と言葉で伝えられたことなんだろうな。
今いちばん、一年後に届けたい言葉
というわけで、できあがりました。今の自分がいちばんつくりたくて、一年後に受け継ぎたいもの。
場所も職業も所属も年齢も関係なく、すべて比較する必要なんて一切ない、私にとって大切な一人ひとりの願いです。
■ 1問目:2020年4月11日の今、いちばんしたいことは?
■ 2問目:2020年4月11日の自分から、一年後の自分に伝えたいことは?
協力してくれたみんなが動画を見て、「参加できて本当によかった」「他の13人に会いたくなった」と言ってくれてうれしかった。
最後に、協力してくれたみんなに送ったお礼を。
私のやりたいことに協力してくれて、こんなときでも一緒に前を向いて未来の話をできる最高の友だちが、自分の周りにいてくれている。
誰かに希望を届けたくて始めた企画、誰よりも私がめちゃくちゃ元気と希望をもらいました。心から、ありがとう。
私は人生の先輩たちにたくさんのものを受け取っているからこそ、今回声をかけた同世代のみんなと一緒に、未来を向いていけたらいいなと思っています。みんなに無理のない範囲で、また何かやりましょう。
きっと、おもしろくて可能性が詰まったことをできると思うんだ、私たちは。
今回を経て、私がやりたいのはこういうことなんだ、とあらためて思った。
オホーツクから帰ってきて見つけた、自分のやりたいこと。それは、全然違う属性にいる同世代をつなぐこと。
お互いの「わからなさ」を乗り越えて、同じ方向の未来を向くきっかけになるように、まずは縁をつなぐこと。その次に、できれば一緒に何かをやってみること。
大きな集団で分断を乗り越えようとすると強烈な反発が生まれることを去年知ったけれど(泥沼の記憶)、個人だったらきっと、「界隈」を乗り越えられる。所属も肩書きも関係なく、あなたとわたしでつながれると思うんだ。
今回一緒に動いてくれたみんなが、私のやりたいことの意味を、そしてそのやりたいことをきっと実現できる、と信じさせてくれた。
まだまだ一緒にやりたいことも、一緒にやりたい人もたくさん思い浮かぶから、またやりましょう。
これからも一緒に、「こうありたい」からはじめていきたい。ありがとう。
私を含め参加メンバーの未来への思いが込められたZINEは、以下のnoteから購入できます。特に主催2人の文章は、何度読んでも心ふるえてしまう。限定販売だそうです、よかったら。
Special Thanks ☻
■ 運営
企画:タニショーゴさん、さのかずやさん
#NDT48 のタグ考案:蝦夷丸さん
■ 協力
まえだ、つちだにえる、のんちゃん、はやと、こまっちゃん、なおちゃん、えいふう、きくち氏、かえでちゃん、べっちょ、ぐっちゃん、R.T、なかこーさん、こな太郎
■ 本当にありがとうございました
みんながいたから楽しかったです#NDT48参加メンバー、話しかけ続ける私にやさしくしてくれた初対面タニ先輩、ここに至るすべてのご縁をくれて感謝したいのに感謝を全然伝えきれませんどうしよう!!!!!さの兄
さあ、つくるぞ〜〜〜!
言葉をつむぐための時間をよいものにするために、もしくはすきなひとたちを応援するために使わせていただこうと思います!