親鳥は産まれたばかりの卵を突かない
昔見たカンフー映画の話。
強くなりたいと願う少年が、早く技を教えてくれと嘆願する。
しかし師匠は「お前にはまだ早い」と言い放ち、来る日も来る日も炊事洗濯などの雑用ばかりさせる。
あるとき少年が暴漢に絡まれたとき、明らかに以前よりも身体の動きが良くなっていることに気付く。暴漢の攻撃を上手にかわすことが出来るようになっていたのだ。
その様子を見た師匠は、ようやく少年に技を教え始める。
「なぜ今になって教えてくれるのですか?」と問う少年に
「あの時、お前は準備が出来ていなかったからだ。」と答える。
そんな話だった気がするが、古今東西このような師匠と弟子の話はいくつもある。
親鳥は、産まれたばかりの卵をいきなり突いて割ろうとはしない。卵の中の雛が大きくなって、自ら出ようともがいた時に、初めて外からつつき始める。これを「啐啄同時(そくたつどうじ)」というらしい。
特に子供と親に限った話でもない。
カンフー映画のようなスポーツの世界でも、上司と部下の大人の世界でも。そして僕らのやっているファシリテーションの世界でも意識したほうが良い言葉だ。
相手が受け取れる準備ができていない時に、それを提供しても意味がない。
受け取る内容によるが、心や身体、スキルなどの受け入れ準備ができているかを様子をうかがっておくことが大切だ。
親鳥は焦ってはいけない。卵の内側からコツコツと鳴る準備のサインに耳を傾けることが大事だ。
きっと卵から音が鳴るときが来ると信じて。
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