往年の名レース~マイルCS編~
今週はマイルCSが行われます。
アイドルホースと言われるソダシが出走することによっても注目されることになってます。
2016年藤田菜七子騎手がデビューして、その抜群のルックスからアイドル的な人気になり、その後にデビューした女性ジョッキーも、なかなか達者な技術を持っており活躍する時代になってきた。
今村聖奈騎手を筆頭に私は永島まなみ騎手にも注目しています。
女性だけあって、身体の柔らかさから馬への当たりが見てて心地よいとゆうか、勝負どころから追い出す時のしなやかさが素晴らしい。
そういう意味で現在来日中のドイル騎手は小さい体で力強く追う往年の「柴田政人」を思い出しました。
柴田政人というジョッキーは、師匠の高松三太調教師に「悔しかったら加賀武見を越えてみい!」と言われ、アローエクスプレスの鞍上から降ろされダービーを勝つまで19回の挑戦を経て第60回のダービーをウイニングチケットとのコンビで勝つことになったんです。
「60回のダービーを勝った柴田ですって世界のホースマン達に伝えたいです」的なことを言ってたインタビューは印象に残ってます。
のちに、日本の競馬にかなりの影響力を残すことになったトニービンの産駒で最初に名を馳せたのはこの馬でしたね。
同期には、桜花賞オークスを勝ったベガ、天皇賞馬サクラチトセオー、ハーツクライの母アイリッシュダンス、そしてノースフライトなど初年度から物凄い産駒を送り出し、この後の輸入種牡馬の繁栄に一躍を担った種馬でした。
その初年度産駒として産まれたのが「ノースフライト」です。
前記にもあるように、今では表舞台で女性が活躍できるようになったJRAですが、かつては閉塞的な男社会で活躍していたのが「石倉幹子」厩務員でした。
当時、ノースフライトは「ふーちゃん」という呼び名もそこそこ定着していて、石倉厩務員と二人三脚で頑張っているのが度々メディアに紹介されていました。
ただ本人は主材を受けない職人気質な方だったかと思います。
さて、そのノースフライトですがデビューは3歳になってから桜花賞も終わった5月でした。危なげなく勝ち次走も勝って2連勝、秋にはエリザベス女王杯のトライアルは賞金的に出られず、古馬相手の府中牝馬ステークスに挑戦し快勝。距離不安だったエリザベス女王杯でも2着に健闘して注目を集めることとなったんです。
暮れの阪神牝馬特別では、堂々の1番人気に推され勝利。還す刀で京都牝馬ステークスも勝ち、牡馬相手の初の重賞になったマイラーズCでは後のJCホース、マーベラスクラウンも破り三連勝で安田記念に挑むことになる。
安田記念はこの年外国馬解放2年目でヨーロッパからスキーパラダイス、サイエダティ、ドルフィンストリートという一流馬がこぞって来日しスキーパラダイスの鞍上に武豊が決まっていた。
ノースフライトはエリザベス女王杯以来となる角田晃一を背に後方から力強く抜け出しGIを勝ち取りました。
この安田記念で、4着だったのが1歳年上のサクラバクシンオーです。
サクラバクシンオーはクラシックトライアルのスプリングSには間に合ったのですが惨敗、陣営は早々とスプリント路線に照準を定めクリスタルCで重賞制覇、年末のスプリンターズSにも出走し6着、翌年も確実に力をつけて2度目の挑戦でヤマニンゼファー、ニシノフラワーを破りGI制覇を成し遂げて最早スプリント界には敵はいなくなって安田記念に出走してきました。
2頭は夏は休養に充て、サクラバクシンオーは毎日王冠からの始動。
後の天皇賞1、2着馬など、かなりのメンバーが揃ったレースで唯一59kgを背負い先行して1.44.6のレコードの中4着に頑張りスワンSに向かいました。
ここで、安田記念以来のノースフライトとの2度目の対決になります。
叩き2戦目で1400ということもありサクラバクシンオーが1番人気に推されノースフライトが2番人気。
当時は、外国産馬が日本で圧倒的な力を示しておりここでも快速馬エイシンワシントンが、超ハイペースで引っ張り2番手追走からノースフライトを退けて、日本初の1分19秒台を叩き出しました。
ノースフライトが次走で引退を表明しており、最後の対戦となったマイルCSを迎えます。
本番ではマイルということもありノースフライトが単勝1.7倍の1番人気に支持されサクラバクシンオーは3.3倍の2番人気。3番人気の3歳フジノマッケンオーが10倍台なので2強ムードという感じでした。当時マイルの府中牝馬ステークスを勝ったホッカイセレスや京成杯でヒシアマゾンを打ち破ったビコーペガサスなど決して弱いメンバーではなかったかと記憶しています。
レースは外枠からサクラバクシンオーが2番手につけて直後にノースフライトがマークする形で流れていきました。
直線先に抜け出したサクラバクシンオー、ここで、満を持して外に持ち出したノースフライトがマイルでは貫禄勝ちでマイルGI春秋連覇という形で引退の花道を飾りました。
この後、サクラバクシンオーは引退レースのスプリンターズSで圧倒的なレコード勝ちでこの年の短距離界は2頭で総ナメすることになるんです。
当時、競馬を覚え立てだった私はかなり興奮しながら観戦していました。
数あるライバル列伝がありますが、この2頭をトップに挙げてくる方も決して少なくないはずです。
サクラバクシンオーは引退後グランプリボス、ショウナンカンプ、ビッグアーサーという3頭のGIホースを送り出し、ノースフライトは産駒のミスキャストが天皇賞春の勝ち馬ビートブラックを送り出しました。
ノースフライトの子孫から長距離のGI勝ち馬が出てくるのもまた競馬のロマンですね。