[ねこのピカ]新たながん
ピカ、今日は通院日でした。
2週前に投薬した抗がん剤のロムスチンはよく効いてくれ、翌週のレントゲン検査では胸の影は見事に消失し、再びの“寛解”という状態になった。
よかった。
あとは、どれだけこの薬を続けられるか、というところ。
血液検査では白血球が著しく低下していたが、これは薬が反応している証拠でもある。
ただ、白血球の低下=自己防衛能力がほぼゼロ。健康時なら駆逐できる菌やウイルスなどから感染症になったり、敗血症など別の病気のリスクも高くなるとのこと。
とくに高熱が出ていないかしっかりみてあげてください、と抗生物質を処方され、一週間、自宅で毎日服用した。
そして今日。
この一週間、食欲は相変わらずムラがあるけど、猫じゃらしでよく遊んでいたし、ぐったりとすることも具合が悪そうな様子もなかった。
土曜日の深夜に、一度だけ吐くような仕草をしたけど、ごはんもあまり食べていなかったせいか、何も吐かなかった。土曜日は窓辺で随分と長い時間熱心に毛繕いをしていたから、毛玉が溜まって吐きたかったのかな?とも思った。(とはいえ、ピカはこれまで毛玉を吐いたことはない)
相変わらずごはんは残しているのに、このところピカの体重が増えているのが不思議に思いつつ、とはいえ体重が戻ってきていること自体は嬉しく、そもそもごはんの量が多すぎるから残すのか?でも明らかに一日分には足りてないはずだけどな?と、適正量を先生に相談しようかとは思っていた。
今日病院で体重を測ったところ4.72kg。
先週の計測時の体重は4.56kg。
ごはんもあまり食べていないことを考えると、一週間で異常な増え方をしている、と先生。
もしかしたら腹水が溜まっている可能性があるとのことだった。
ということで、検査をすることになった。
(自宅での毎日の計測では先週ごろからすでに4.65kg前後あったので、病院での計測時のズレでは?くらいに思っていた。でも、この差があったからこそ検査に至れたので結果としてよかった)
「ピカちゃん、あまり元気がないですね」と先生が言っていた。
診察のとき、改めて1日のごはんの推奨量について、先生に相談しようと、
「ネットで調べても130kcalと書かれているところもあれば、200というところもあって全然違って」と言ったら、「そうですよね〜」と共感はしてくれたけど、はっきりした量は答えてもらえずだった。
そして、再び診察室に呼ばれて、エコー検査の結果。
お腹の脂肪にまぎれて、やはり水が溜まっていた。私はエコーを見てもよく分からなかったが、先生曰く、いわばその脂肪と水の入り組み方が汚いというか、すごく変なのだという。
さらには、お腹のあたりのリンパが腫れているとのこと。
一方、血液検査では、先週ガクンと下がっていた白血球の数値もかなり回復していた。感染症などの心配は少しは減るとはいえ、裏を返せば、抗がん剤が効いていないとも言える。抗がん剤がよく効いていたときには、あんなに数値が上がらないと心配していたというのに。
2週前の抗がん剤が、胸部の腫瘍には効いていたのだけど、また新たなところに発生したということは、この抗がん剤がもう効かなくなっている、ということになる。
これまで使ってきた3種の抗がん剤の排泄経路ではもう効かなくなっているたため、また違うタイプの、第4の抗がん剤を導入する事になるということだった。(薬の名前を失念したので思い出したら書きます)
2週前に再発がわかったとき、今使っている薬がダメだったらもう方法がない、と聞いて愕然としていたのだけど、まだ使える薬があったことに少しだけ安堵した。
だけど、おそらく、これが使える最後の抗がん剤。この薬のリスクとしては、これまでの抗がん剤のように排出されにくく、体に蓄積されてしまうものであること、また心臓が弱いと心臓への影響があるらしい。でも、中毒を起こすような量を投与しないし、事前にしっかり心臓の検査をします、とのことなので、進めてもらうことにした。
さらなる腫瘍が見つかったのはものすごくショッキングな事だった。でも、この長期の通院で仲良くなった、同じリンパ腫で治療中の猫さんの飼い主のお友達が、診察が終わった後も心配してずっといてくれてたから、すごく心の支えになった。本当に助かった。ありがとう。
心臓の検査が終わり、3度目の診察室に呼ばれて検査結果が伝えられた。心臓の動きには問題がなかったので、抗がん剤の投薬を決めた。
同時に、おなかのリンパの腫れの部分の細胞を調べた結果も、やはり懸念していたリンパ腫ということで確定との事だった。
点滴での投薬になるため、ピカさん半日入院。
12時ごろに病院を出て、一人でボーッとしたままいつも帰り道に通る公園に寄った。ピカがいないと体が軽くて、ここに一人でくるのが不思議な気分だった。
帰宅後も何か食べる気にならず、暑くて喉が乾いていたのでアイスを食べた。
でもなんか食べなきゃと思って、お菓子を食べた。
高校生の頃からずっと好きなお菓子、1箱食べ切る途中で、もういらない、って思うの初めてだな〜なんてぼんやり思った。
なんだか何もする気が起きず、体がだるくて眠気が襲ってきて、横になったけど寝るにも寝られず1時間ほどうとうとして、お迎えの時間が近くなったので起きた。
夕方約束の17時、病院へピカを迎えに。
受付に告げて待合スペースに座って待っていたら、先生がキャリーバッグに入ったピカを連れてきた。
思ったよりも元気そうなピカの顔を見てすこし安心した。
ごはんの食べる量が少ないので、カロリーと栄養価の高い子猫用のフードをあげているけど大丈夫でしょうか、と念のため気になっていたことを聞いたら、それは大丈夫とのこと。
1日の摂取量目安についてはもう一度聞いてみたけど、今回も明確な解は得られなかった。とにかく、食べなくなってきてるから、食べられるだけあげて大丈夫、という感じだった。
それと、ごはんをあまり食べなかったのは、腹水で圧迫されて苦しかったからでしょうか?と先生に聞いたら、
「いや、そうじゃなくて、痛いんだと思います」と。
そうか、痛いのか…。私の胸がくるしくなった。
この一週間はさほど不調な様子もなかったから、まさかこんなことになっているとは、分からないものだなと思ったことをポツリと言ったら、「今日もピカちゃん元気なさそうだったんで、病院きて、元気ないなって時は、何か見つかってしまいますね・・」と先生が言った。
ピカも病院にいて疲れただろうし、いつもの公園は素通りだけして早くおうちに帰ろう、と思っていたのだけどワンコの散歩に紛れてベンチで猫さんを囲んでいるおばさま達がいたので、思わず足を止めて声をかけてしまった。
茶色い猫さんで、飼い主さんのお友達の膝で抱っこされて、なでなでしてもらって気持ちよさそうに目をつぶってた。
聞くと、8歳の男の子だそうで、うちが女の子だと知ると、恋人候補が見つかったわねえ〜なんて楽しく盛り上がった。
ほんの数分おしゃべりして、別れを告げた。
ピカは家に帰ってキャリーから出ると、いつものように玄関から廊下をのしのしと歩いてベッドに乗って、外を見て、缶詰をあげたらすぐに食いついた。
でも途中で食べるのをやめて、ウロウロ。
しばらくして、また、食べる。いつもそんな感じだ。
病院を出る時帰り際に確認したら、病院にいる間はおしっこをしなかったそうで気になっていたけど、私がちょっと30分ほど買い物に出て戻ってきたら、これは、おしっこの匂い・・やっぱりしていた!
夜はうんちも出て、一安心。猫のうんちに小躍りして喜ぶ日がくるとは思わなかったな(笑)
そして、ピカはどうしているかな、と部屋を覗くと、ベッドの上のトンネルの中から、どどーん!とこちらを見ていた。
ラスボスの風格で、まじでどどーん!と頭の中で効果音が鳴った。
思わず吹き出して笑った。
ピカといると、可愛くておかしくて、毎日笑いが絶えない。
それは、闘病中だって変わらない。
生き物は、遅かれ早かれ、いつか死んでしまう。
それは、どうしようもないことだ。
だから、いなくなる日を憂いて悲しんでいるよりも、私が楽しそうに笑っているほうが、ピカも安心して過ごせて、そしたら元気で暮らせる日が少しでも伸びるんじゃないかって本気で思ってる。
ピカは病気だけど、今、まだ目の前にいる。
その幸せを噛み締めて、毎日笑って過ごしたい。