見出し画像

4大支出のひとつ居住費。「持ち家」と「賃貸」はどっちが得?

こんにちは。経営コンサルタント/ファイナンシャルプランナーの横山です。

マイホームを購入した方が得か、賃貸の方が得か。考えたことがある人は多いのではないでしょうか。
しかしよく聞くこの議論に答えは出せません。なぜなら将来にわたっての金額の予測がつかないからです。

例えば将来の住宅価格や賃料、住宅ローンの金利を考えてもインフレで高くなるかもしれませんし、人口減少によって空室が増えて賃料が大幅に下がるかもしれません。
遠い未来の予測を正確にはできないので、どっちが得かという答えは、その時になるまではっきりしないのです。

損か得か購入の是非を検討するよりも、それぞれのメリットとデメリットがあるので、買いたいなら「購入」、買いたくないなら「賃貸」とシンプルに考えればいいのではと思います。

それぞれのメリット・デメリットを理解する

ただ、平均寿命は基本的に伸びていくので、定期収入が年金だけになった時のことを考えると、老後は家賃を払い続けなければいけない「賃貸」の方が経済的な負担が重いといえます。
仮に65歳で退職し、85歳まで生きるとして、賃貸と持ち家の費用を比較してみます。
ここでは住み替えにかかる費用は考慮せず、単純に賃貸なら家賃と更新料、持ち家であれば固定資産税(マンションの場合は毎月の管理費と修繕積立金)で概算します。

賃貸の場合、家賃8万円なら20年間で合計1920万円、2年に一度、更新料(家賃1ヶ月分)がかかる契約なら、8万円×10回で80万円となり合計で2000万円程になります。

一方、持ち家の場合は、住宅ローンを完済していれば、毎年必ず支払わなければならないのは固定資産税だけになります。年間10万円程度で20年でも200万円ほどになります。
ただし、定期収入がなくなる定年までに完済していなければ負担は重くなるので、定年前の完済を目指したいものです。

マンションは管理費と修繕積立金を毎月支払う必要があります。築年数が経つほど高くなり、70㎡なら合計で月2〜3万円と住宅ローンを完済していても月に3万円、20年間で720万円と固定資産税を支払う必要があります。

それでも賃貸の方が支払額が多くなるので、相応に資金を用意しておく必要があります。


賃貸はデメリットばかりではない

賃貸派にとってのリスクは、高齢者は物件が借りづらくなる可能性がある点です。

UR賃貸などは、高齢者向けに賃貸を貸し出す支援制度などがありますが、収入が少なく、健康不安が大きい高齢者は特に単身者だと入居審査のハードルが高くなります。

老後も賃貸を続ける場合はお金の面でリスクはありますが、状況に応じて臨機応変に転居できるメリットもあります。

家賃の安い郊外に転居したり、子どもが独立したら、今よりコンパクトな間取りの物件に転居して賃料を下げることもできます。
子育て世代であれば、自治体によっては手厚い補助金があったり、将来は「空き家バンク」を使って地方の数十万円の格安の物件を購入するのもいいでしょう。

賃貸にしろ、購入にしろ様々なメリットとデメリットを比較して自分にあった選択をすることが大切です。

横山様文面挿絵データ_アートボード 1

思わぬアクシデントも

それでも私自身でも父が亡くなった時の教訓があり、個人的には「持ち家が得」と考える経験があります。

父は自ら事業を行い、その会社が所有する建物を自宅としておりました。58歳で経営者としてはバリバリの時に膵臓癌となり、発症からわずか7ヶ月で他界してしまいました。
父の死後、会社を整理して、残された母は賃貸暮らしを余儀なくされました。

この時、もし両親が持ち家(個人所有)で生活していれば、たとえ住宅ローンが残っていたとしても、住宅ローンに付保されている団信生命保険がおりて住宅ローンが完済となり、母の住む場所は確保できたということです。

将来の収支だけではなく、夫婦で生活している以上は健康状態の変化によりリスクも盛り込んでおく必要があることを忘れてはいけません。

次回もそういった事態に備える上で必要なお金の考え方や貯蓄の仕方についてのテクニックをお伝えします!

Text by 横山 健(経営コンサルタント/ファイナンシャルプランナー)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?