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介護の現場から学んだ、コミュニケーションのコツ

こんにちは、基弘会編集部の山本です。
本日は、私達介護のお仕事をしていると必ず出てくるキーワード「コミュニケーション」について、私なりの見解をお話ししていきたいと思います。

私はよくご利用者やご家族の方に、介護の仕事をしていることについて「大変な仕事だねぇ、偉いねぇ」と言って頂くことがあるのですが、そんなときは、このようにお応えしています。
「いえいえ、ご利用者様と楽しくお話ししているとお給料が頂ける、とっても素敵なお仕事なんですよ!」と。


私にとって介護のお仕事とは、ご利用者が1日を楽しくその人らしく過ごして頂くことを、専門知識を持つプロとしてサポートするお仕事だと思っています。
だから身体的なサポートをするだけの仕事なのではなくて、ご利用者とコミュニケーションを取りながら過ごす中で、支援の手段として身体的なサポートが含まれているのです。
つまりコミュニケーションはこの仕事のメインであり、一番楽しいところなのですが、これが苦手という方も少なくありません。

かくいう私も、昔はコミュニケーションが苦手なたちでした。
今でこそ人とお話しするのは大好きですが、それでも面白い話題をポンポン出しては場の主役になるような、そんなお話し上手の人気者ではありません。
ですが、そんな人間でも、介護のお仕事を通してコミュニケーションのコツを知ったことで、だんだんと苦手意識が無くなり、それを楽しく感じられるようになりました。
会社や家庭でも、日常生活ってコミュニケーションの積み重ねですよね。
私が介護の現場から学んだコミュニケーションのコツをご紹介していく今回のふふふ。
どうぞ、最後までお付き合いくださいませ。]

私のコミュニケーション失敗談

まず、私がこの「コミュニケーション」というものを意図的に取る必要があった場面は、介護の資格取得を目指した学生時代にさかのぼります。
介護現場で、基本の「き」として行うコミュニケーション。
『介護は高齢者の方のパーソナルやプライバシーに深く関わっていくお仕事だから、ご利用者とコミュニケーションをしっかり取って、信頼関係を作りましょう!』
と教科書ではこう教わるわけです。

そしていざ、介護の現場実習に行くと必ずと言っていいほど「ご利用者とコミュニケーションを取ってください」という課題が出されます。

これが、学生の私をとても悩ませました。

ただでさえ苦手意識のあるコミュニケーション。
しかも初対面の高齢者の方を前に何を話して良いかがわからず、ただただ弾まない会話を強いられる時間にしかできなかったのです。

親しい友人と話が弾むのは、共通の体験からくる話題やテーマが豊富にあるからこそなのですが、まだ相手の人となりが判らない時に、しかも年齢差もかなりある高齢者の方を前にして、そのテーマを見つけることが難しかったんですね。

だから高齢者の方へ一方通行の声掛けばかりしてしまって、お相手からのお話をお聞き出来なかったのです。つまり、聞き下手だったんです。
そうすると会話が弾まないので私の表情も曇ってしまって、余計に会話が弾まない悪循環…。あぁ懐かしい、ほろ苦い思い出です。

さぁ、そんな失敗談から逆算で考えると、コミュニケーションのコツが見えてきたのではないでしょうか。

まずは笑顔で!

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私は日常、いつも笑顔でいるように心がけています。笑顔は、それだけで相手の方から声をかけてもらえたり、心の距離が縮まりやすくなったり、丸儲けすることしかありません。
笑顔でいると、自然と気持ちも元気になり、心なしか声量も大きくなります。
そんなの当たり前だよ、とお思いでしょうか?
でも、意外とずっと笑顔をキープするというのは難しいものです。
しかし、私は笑顔が良い連鎖を生んでくれているというのを実感しているからこそ、自然に実践できているのかな、と思います。
その証拠に、よく「いつも元気だね~」と言ってもらえます。
つまり笑顔は、大切なコミュニケーションの入口なんです。

結局、「経験」が話題の手数である

次に、どんなテーマで会話を行えばよいか。
いろんな研修でよく言われ、ご存知の方も多いかもしれませんが、「木戸に立て掛けし衣食住」は会話のテーマの覚え方として有名ですよね。

「き」…季節・気候
「ど」…道楽
「に」…ニュース
「た」…旅
「て」…テレビ
「か」…家庭
「け」…健康
「し」…仕事
「衣食住」

このあたりのテーマが当たり障りなく世間話を広げてくれるので参考にしつつ、お互いの共通事項を探っていくというものなのですが、結局は「ニュース」を知らなければ話もできないし、「旅」に出なければ旅の思い出は語れないものですよね。
学生の頃の私は、そんな経験値が少なすぎてテーマ選定に悩まされたわけですが、年齢を重ねるにつれ、友人との色んな遊びや体験を通して引き出しが増え、自然と話題のテーマが広がるようになりました。
つまり、さまざまな経験を積んで自分の引き出しが増えればお相手との共通事項も増えやすいという事になります。
また、自分は経験したことでなくても、遊びでもなんでも、自分の興味関心が薄い分野を知ろうとする行動こそが、コミュニケーションの幅を広げることになります。
知らない分野の本を読むのも良いですよね。
例えば、このマガジン「くらしのふふふ」は、様々なテーマで執筆されますので、このマガジンを読んで頂くだけでも良いのではないでしょうか(笑)。

「傾聴」スキルの獲得が聞き上手への道!

介護の教科書でコミュニケーションの上で一番大切だと言われているのは「傾聴」です。
「傾聴」とは、「耳を傾けて熱心に話を聞くこと」と定義されています。相手を尊重し、相手のために聴く姿勢を持つことで相手からの信頼を獲得できる大切なコミュニケーション技法です。
つまり相手が「ちゃんと話を聞いてもらえた」と満足感を得ることが「傾聴」であるので、主体は自分ではありません。
それではどうすれば、相手が満足する傾聴が出来るのでしょうか。

ひとつ、私の知っているかんたんなコツをご紹介しますね。
それは、相手の発言を「オウム返し」で返すこと。

相手が言われたことをそのままお返しするコミュニケーション手法です。
相手の発言内容を確認するようにオウム返しで答えることで、しっかりと傾聴の姿勢を相手に示すことができます。相手が言ったことをそのまま返す形でもいいですが、出来れば自分の言葉に置き換えて頂くとなお良しです。
ただし会話のなかでやりすぎると、逆に不快感を与えてしまうので、ご注意ください。
そうやって傾聴する姿勢をコミュニケーションにうまく取り入れることで、私との会話に相手が安心感や満足感を感じてくださり、話題が弾むコミュニケーションの好循環が生まれてきます。コミュニケーションを苦手に感じている方は、ぜひ試してみて下さい。

コミュニケーションが豊かになると暮らしも豊かになる

いかがでしょうか。
仕事や学校、家庭でも、暮らしにはコミュニケーションに溢れています。
普段、自分が何気なくしているこの行動を言語化してみると、案外奥が深いものだなと実感します。
もちろんコミュニケーションは介護の現場だけでなく、すべての人間関係に不可欠なもの。そして、私たちの暮らしを豊かにしてくれているものでもありますね。
ちいさなコミュニケーションを、大切にしていきたいものです。

Text by 山本郁子(基弘会編集部/デスク)

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