インドアなあなたでも山×○○で自分だけの特別な時間を作れる
この記事を書いている時点ではまだ梅雨空の毎日ですが、これから訪れる夏、特に秋にかけてぜひおすすめしたいこと、それは山での活動です。あえてハイキングと書かなかったのはわけがあります。山を起点にした、様々な楽しみがあることを今回の記事ではお伝えします。
日本にはこれだけの「山」があります
そもそも、なぜ山の話題を出したのかというと、僕がここ一年ほど、ハイキングについて感想などを聞かれることが多いということがあります。ちなみに、僕は年間だと10回あるかどうか、山に行くことを楽しむようになってまだ10年も経ってないくらいです。
頻繁に行かれる方からするとひよっこのような者ですが、おそらく僕が休日を利用して行ってきたあとの週明けが、とても清々しく爽やかな雰囲気をまとっており、その山行の話を楽しそうにするからなのか…ごく小さな観測範囲ではありますが、昨今の世情も相まって、自然に接する活動のひとつとしてハイキングに興味を持つ人が増えてきたのかなと思っています。
山というと特に都市部にお住まいの方はわざわざ遠出をして…というイメージを持つ方もいるかもしれません。
”日本山名総覧(武内正著 白山書房刊)によると、2万5000分の1地形図に載っている国内の山の数は1万6667。単純に47都道府県で割ってみると、平均で354もの山が各県にあることになります。”
日本山岳会-親子で楽しむ山登りより引用
とあるように、山は実は都会とはいえどそう遠くない場所にあるものです。地図にも名前がない、いわゆる「裏山」「里山」も足すと、もっと多くの山があることになります。登山口まで交通の便が比較的良い山もたくさんありますので、ちょっと山に登ってみようと思ったら色々検索してみてください。はじめての方は、”初心者向け”といった文言を検索キーワードに入れることも忘れずに!
山でできるいろんな活動
山の目星が着いたら早速準備をしましょう。どんな装備が必要か?はここで触れずとも紹介しているホームページや書籍がたくさんありますので特段触れません。
僕がこの記事で一番伝えたいこと、それは山×○○(○○はあなたの趣味や嗜好が入ります)の活動です。
例えば、僕はここに「料理」「執筆」「映画」が入ります。
一つ一つ説明していきましょう。多分「映画」は??となった方もいるのではないでしょうか?
わたしが実践した山×○○
まずは「料理」から。これまた山登りを趣味にしている方にとっては自明のことだと思うのですが、山で食べるご飯はとても美味しいのです。カップ麺でも山で食べると家で食べる何倍も美味しく感じる、と言われるくらいです。(現に僕はリフィル式のチキンラーメンをよく持参してます)
*リフィル式…詰替え用。スーパーにあるようなカップ付きだと荷物もゴミもかさばるため、クッカーと呼ばれる山用のカップに入れて食します。
僕はかつてはそれだけで満足していましたし、まだ山に登ってない方はぜひそこからスタートを…と思いつつ、その次として、山でちょっぴり調理をしてみることをおすすめします。特に、料理を趣味としている方におすすめしたいです。
写真はテント泊の際の夕食時のもの。山岳用のバーナーと網を使い、チーズやしいたけを焼いています。山岳用バーナーはお湯をわかすためにあるととても便利で、今でもカップ麺好きな筆者の必須品です。
※テント場のルールに則り、ゴミ類は持ち帰っています。
山は当然自宅のようなキッチンも設備もありません。山用の調理器具はありますが、当然他の荷物との兼ね合いで、自宅の調理器具をフルセットで持参することはできません。調味料や具材も然り。そんな制限された環境で、何を残し、何を諦めるのか?その駆け引きがとてもおもしろいのです。
僕は市販のキムチと豚肉を用意*し、山の上で炒めるだけの豚キムチを作るのが好きなのですが、家で同じ作り方をするよりもこれまた何倍も美味しく感じます。
*筆者は保冷剤を用意の上持参しています。野菜や肉類については十分取扱に注意してください。
次は山×執筆。そう、実はこの記事の一部も山で骨子を書きました。別にその時は執筆といえどパソコンを持参したわけではなく、普段の手持ちのスマートフォンで執筆しました(のでその様子の写真がありません。。。)
今は手持ちのスマートフォンでも立派なメモツールがあり、執筆するには十分な機能を持っています。しかし、人によってはシンプルにノートとペンを持参するのもおすすめですが、手間であればスマホで十分です。
作家の人が町を離れて自然豊かな旅館に隠遁して缶詰の執筆活動を行う…それと同じようなものです、というと言い過ぎでしょうか。通常の感覚であれば、せっかく旅行先にいるんだから、一日旅館にいるなんてもったいないと思うでしょうか。
最近ワーケーション*という言葉もあります。非日常であったり、普段とは違う環境だからこそ、発想系のしごとやクリエイションには脳の良い刺激になります。普段シンプルに登山を趣味としている人が一味違う体験を持ち込んだり、もしくは企画のお仕事をしている方におすすめです。(でも、はじめて登る方は、まずは純粋にハイキングを楽しみましょう!)
*ワーケーションとは、「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語で、観光地やリゾート地でテレワークを活用し、働きながら休暇をとる過ごし方です。
最後は山×映画。字面だと一番わかりづらいかと思いますが、読んで字のごとく、山で映画を見ます。それはスマートフォンでもタブレットでも構いません。※イヤホン等必須です
せっかく山に登っているのに、素晴らしい景色や鳥の音色もあるのに、映画?なんともったいないと思った方も多いと思います。ここでの山×映画には大きく2つの意味があり、
①山の頂上(目的地)で映画を見る
②山に登る前に映画を見る
です。
①は前述のとおり変な光景に見えるかもしれませんが、実は、キャンプの世界では野外で映画鑑賞というのは近年それほど珍しいことではないのです。森林にスクリーンを設置し、プロジェクターで鑑賞するイベントも実施されています。自然の中で映画を見る体験は、結局のところ映画館で見ることと似た没入感を与えてくれます。
ここで伝えたいのは、山ならそうした特別な体験を自身の意思のみで気軽に「選択」できることの素晴らしさです。当然休憩スペースや頂上など人の迷惑にならない場所や準備をすることは前提ですが、気持ち良い空気と景色を抱きながら見るお気に入りの映像は、登山による心地よい疲れとともに特別な時間となるでしょう。
それでもやはり山で見るのは違和感がある方は、②がおすすめです。例えば映画を見たあとって、何か世界の見え方が変わったように感じませんか?エンドロールの後の言葉にならない気持ちのまま家を出て、そのまま山に入ると、自分の存在や世界の広さ、自然の豊かさなどが普段以上に身体に染み入っていくこと間違いなしです。
山は様々な体験価値を増幅させてくれる
ここまで書いて僕が一番伝えたかったこと、それは山はいろんな体験の価値を増幅させるブースターになりえるんだということです。
特に最後の映画の話しのように、必ずしも山“で”行わずとも、その前後の体験と組み合わせることでも、山に入ることは、その過程の自然深く分け入るプロセスに私達の感覚や感性を研ぎ澄ませる効果があるように思います。それは、決して定量的に数値化できるものではありませんが、人によってはとても大きな意味を持っていると思います。
僕は、残念ながら仕事が忙しくなるほど山に行く頻度は下がってしまうのですが、一方で、そういうときほど時間をつくって山に行き何かをかけ合わせた体験をすることで、自分のストレスや自分自身の社会の立ち位置など、広範な思考の棚卸しをさせてもらっている気がします。これは家で自分の趣味を行う場合や、オートキャンプとも少し違う体験だと思っています。
人によって時間の作り方や山×○○があると思います。シンプルに山の活動を突き詰めても○○には野鳥、植物観察、ジョギング(トレイルランニングと呼ばれる分野です)など生涯の趣味になりえる内容がいっぱいです。でも、実は自身がすでに町や家で実践している趣味を山登りと掛け合わせることでも、新しい感覚の扉が開かれるかも?ということが、今回一番に伝えたいことでした。
今回の記事では一般論としての登山についてや注意点についてはあえて触れていません。既に世にプロによる良質な情報がたくさん出ているからです。料理も仕事も検索すればでてきます。
ただ、今回の記事のように、山×○○について、必ずしも登山の間に限らずとも、自身の好きなことや趣味を組み合わせることは、殊更記事にせずともやっている人はやっていることだったりします。近年アウトドアのブームの流れで、家にこもってはいけない、自然ではスマホから離れよう、等色々な考えが出ていますが、0-100の話ではなくグラデーションなのだと僕は考えています。自分自身が快適であり自然と町、そして家とのベストな関係性をつくることが何より大事だと思っています。
そんな時、山はもっとそのグラデーションに寄り添ってくれる存在であることが、今回伝われば良いなと思い執筆しました。登山はオートキャンプ以上に安全や危険も多いことも当然ありますが、より多くの人が自分自身を見つめ直したり趣味の別の楽しみを見出すような、そんな経験につながれば良いなと思っています。
Text by アババ(フリーランス:企画デザイナー)