北斗珈琲のおじさまに教わった美味しいアイス珈琲の楽しみ方
こんにちは、基弘会編集部デスクの山本です。
そろそろ気温が上がってきて、冷たい飲み物が欲しくなってきましたね。。
我々基弘会編集部が大好きな珈琲も、アイスで楽しみたい季節の到来です。
今回は、基弘会がいつも珈琲を仕入れている老舗珈琲店「北斗珈琲」(大阪市住之江区)のおじさまに、アイス珈琲について教えて頂きましたのでご紹介していきます。
アイスで飲むときの豆の選び方
基本の珈琲は、ドリッパーを使ってハンドドリップで淹れていきます。
このドリッパーですが、ドリッパーもメーカーによって少し形状が異なります。
代表的なメーカーとしては「ハリオ」や「カリタ」、「メリタ」あたりが主流です。
「カリタ」のコーヒーメーカーは穴が3つ空いているのに対し、「メリタ」製のドリッパーは穴が一つ。ハリオも穴が一つで、円すい形をしています。
なぜこのように色々な形状のドリッパーがあるかというと、おじさま曰く、国や地域によって好まれる豆の曳き方や炒り方が違うため、それぞれの国の嗜好によって変化したのだとのこと。
穴が多いほうがそれだけ珈琲がしたたり落ちるスピードも速くなり、穴が一つだと落ちる速度が遅い=ペーパーの中で長く滞留するということになるので、使用する器具ひとつとっても濃度に変化をつけることができたりします。
豆の煎りが浅く、大きく粗く曳いたような珈琲豆を使用するときは、ゆっくり抽出する一つ穴式を、深入りで細かく曳いた粉は抽出も速いので3つ穴のドリッパーを使用すると良いそうです。
また、ホット珈琲用の豆とアイス珈琲用の豆の違いは、アイス珈琲の豆のほうが深煎りだということです。
それは、アイス珈琲は冷やして氷を入れて飲むことが多いので、少し濃いめの炒りでしっかりと珈琲の苦みや旨みを抽出するためなんです。
ホット珈琲用の豆でもアイス珈琲で楽しむことは出来るそうなのですが、煎りが浅いぶん物足りなさを感じるかもしれません。なので、やはりこだわるならば、ホットとアイスでは豆から変えるほうがよさそうです。
珈琲豆を入れる
さて、話を本筋に戻します。
いよいよドリッパーにフィルターペーパーをセットし、珈琲豆を入れていきます。
珈琲豆は1杯分がおよそ10ℊを基本として考えます。
メーカーのドリッパーを購入すると、付属のメジャーカップがついてきます。
しかし注意すべきはこのメジャーカップ、例えば「メリタ」製は1杯8g、「ハリオ」や「カリタ」製は1杯10gの分量で作られており、微妙に違うんです!
なんということでしょう!
つまり、1杯分=メジャーカップ1杯だと思い込んでしまうと出来上がった珈琲が思いのほか薄くなってしまう事があるのです。
さらには豆が深入りか浅煎りかにもよって豆の体積が変わります。
深煎りになればなるほど体積が軽くなるので、10g用のメジャーカップで入れた1杯が10gとは限らないという、この何とも言えない誤差に要注意なのです。
ではどうすれば良いのでしょうか。
アイス珈琲用と称して販売されている珈琲豆は深煎りで、ホット珈琲用の中煎りの豆に比べてやや体積が軽くなっているので、珈琲豆を気持ち多めに使用するのが失敗を減らすコツだそうです。
例えば4杯分の珈琲を立てるときは、メージャーカップ4杯(10ℊ×4)=40gに、もう1杯分を余分に追加しましょう。
そうすることで、「豆が少なすぎて薄くなってしまった美味しくないアイス珈琲」という最悪の事態が避けられます。
ドリップしていく
沸かしたお湯を、口先の細い水差しからゆっくり注いで行くのですが、まずは湿らせる程度に豆の中央あたりにお湯を落とします。
この工程を「蒸らし」といいます。
蒸らす時間は30秒~1分くらいが程良いとされています。
お湯で珈琲豆を湿らせると白い泡が表面に浮かんできくるのですが、これが珈琲の灰汁で、この灰汁を浮かす作業をするのが「蒸らし」の工程です。
2湯目は珈琲の中心当たりに円を描くように、粉のふちを5㎜ほど残しておくイメージでお湯を入れていきます。
するともこもこっと珈琲が表面張力のように膨らんでくるのですが、粉のふちにお湯を落さないようにお湯を入れることで、「珈琲の壁」が出来て、お湯の中で珈琲の粉が上手く滞留するのだそうです。
豆の表面に浮いた白い泡が沈んでしまわないように、お湯を継ぎ足していきます。
抽出した珈琲が目的の量まで落とせたら、まだドリッパーにお湯が残っていても最後まで落とし切らずに終了します。
最後まで落としてしまうと表面の白い泡に出てきた「灰汁」や「えぐみ」が入ってしまうので、注意しましょう。
ホットと異なるアイス珈琲のひと手間
ホット珈琲の場合はこのまま20分以内に味わっていくのですが、アイス珈琲はさらにここからひと手間かけていきます。
それは「急冷」です。
常温のまま自然冷却していくと、珈琲に乳白色のような濁りが出てしまいます。
この濁りの原因は珈琲豆の渋味成分「クロロゲン酸」です。
クロロゲン酸は高温で抽出されたときは透明なのですが、温度が下がってくるとカフェインと結合して、白い濁りが発生するのだそうです。
それを防ぐために冷たい氷水を張ったボールにサーバーごと浸して「急冷」をして、クロロゲン酸とカフェインが結合するのを防ぐのです。
そうすることで濁りもなく、すっきりした珈琲ができます。
加糖のアイス珈琲がお好みの場合は、急冷前にグラニュー糖を加え、溶かしておくと良いですよ。
さぁアイス珈琲を飲もう
アイス珈琲をドリップした!
急冷した!
ではさっそく飲んでみましょう!
…と行きたいところですが、まだ飲んではいけません(笑)
アイス珈琲にかける最大の手間。
それは、半日~1日、冷蔵庫で寝かせること!
急冷後すぐはまだ味がシャープというか、コーヒーの味わいが「若い」のです。そこで、冷蔵庫で寝かせておくことで味がこなれて「円熟」した味わいになるのです。
このあたりはお好みですが、珈琲のプロたる「北斗珈琲のおじさま」に教えて頂いた美味しいアイス珈琲は、前日にドリップ・急冷し、冷蔵庫で1晩寝かせたもの。
明日のお楽しみのために、今日にひと手間をかけて頂いて、美味しいアイス珈琲をご堪能下さいませ。
最後に
今回、改めて北斗珈琲のおじさまから美味しいアイス珈琲の楽しみ方について教えてもらいましたが、本当に珈琲豆への愛にあふれた素敵なおじさまでした。
私たち基弘会編集部は北斗珈琲さんの珈琲を日々楽しませていただいているわけですが、もしかしたら珈琲店さんによって、淹れ方のコツなどが少し異なる部分もあるかもしれません。
それは、そのお店で取り扱われている珈琲豆が一番美味しく頂ける方法だったりするからです。
これからが夏本番。汗をかいたあとの冷た~いアイス珈琲も、クーラーの効いた部屋で飲むいつものホット珈琲も、両方を美味しく味わえる素敵な季節です。
あなたのお気に入りの1杯を、ぜひ見つけてみてくださいね。
Text by 山本郁子(基弘会編集部/デスク)
#基弘会 #アイス珈琲 #北斗珈琲