たっこちゃん、齢ほぼ80歳 #44 おばけが怖いほぼ80歳
高齢の母(たっこちゃん)のことを書いています。
ひとりで夜を越さなくてはいけないときは、朝までそこらじゅうの電気をつけて、テレビもつけっぱなしだと聞いたのはうん十年もむかし。
何が怖いのかと尋ねたら「どろぼう」だと言っていたたっこちゃん。
「うちには何もとるものないやん、笑」
と言う私に
「そんなん、泥棒はうちの事情は知らんやん」と言い返していたのに、ずいぶんと後になって実は怖いのは泥棒ではなくおばけだと告白された。
たっこちゃんは曾祖母から受け継いで、多少霊感はあるようで不思議な体験もしている。
小さいおじさんだって見た。
ただ幽霊そのものは見たことはない。それでも怖いようだ。
私も怖い。
たっこちゃんはピラミッドだの中国の兵馬俑だの古墳だの発掘モノに興味があって、そういったテレビ番組を観ることが大好きだけど、夜、ひとりだと怖くて観られない。怖い映像が出てきたら途中でチャンネルを変えざるを得なくなる。
「兵馬俑は土やん」って言ったら
「あれもな、数が多いと気持ち悪いで」って。
ミイラや人骨、兵馬俑……「死」を連想させるものが怖いのかもしれない。
「でも生きた人間が一番怖いけどな」。
そりゃあそうです。