ネタバレいっぱい海神再読第二十一回 五章1.白沢登場
あらすじ:元州州宰の白沢が宣戦布告にやってきた。
●白沢
六太誘拐の十日後。王宮。元州州宰、院白沢登場。さくさく上帝計画を説明する白沢。会話のテンポが良くて楽しい。
「では冢宰をやろうか」と尚隆が言ったのは斡由に向けてだけど、五百年後は白沢が冢宰してるんだよね。この三人の関係性、好き。
白沢)百花の競うをお目にかけまする
貴方は女遊びをしてりゃいいと愚弄して挑発する台詞。真面目な白沢じゃなくて斡由がシナリオ書いたんかな(更夜のもそうだったりして…)。稽古とかもしたんかな。
●尚隆は何故天意を試そうとするのか
尚隆に勧誘されて断る白沢。抜刀し喉元に突きつける相手に言いきる。
白沢)小官の君は元伯でございますれば
常世には血筋を尊ぶ風習はない(というか血筋がない)んだから、斡由は七十年の実績で評価をもぎ取ったんだよね。「元伯にも申し分がございます」の申し分てのは治水妨害の件だな。
尚隆)あえて天意を試そうというなら好きにするがいい
尚隆は自分が天意の定めた正しい王である事について、納得してるんだろうか?ならなんで気が向いたらとか立場上とか韜晦するような物言いをする?
そもそもこの謀反は天意を試す為のものなのか?
白沢にとっては治水という問題解決の為のもの。斡由にとっては…そういうつもりもあるかもだけど元州を手離したくないがメインだろう。天意試しに一番拘ってるのは尚隆では?
尚隆)天意を踏み躙って喧嘩を売られれば買わざるをえん
元州からしたら、治水妨害という形で喧嘩を売られてるのは自分たちなのでは?
斡由はともかく白沢たちは尚隆が治水やってれば謀反には加わらなかったと思う。奏上で理由説明を求めても答えてもらえなかったし。それでも自分の命令は天意だから、臣下は無条件で従うべきと尚隆は本気で思ってたんだろうか?
治水がされてないせいで大水害がおきて民が大勢死んだら、天意は尚隆を離れるかもしれない。それが常世の理。何故尚隆はそんな試しをしてる?
その試しに民は大人しく付き合うべきだと本気で思ってる?
この章の尚隆は天意を背景に逆賊を断罪する強権的な王として振舞いながら、その役を演じてる様でもある。
尚隆は何故そんなことをしてるのか?
鍵は治水妨害政策と、尚隆の過去…小松尚隆にあると思う。
海神は表層では六太の物語だけど深層では尚隆の物語で、尚隆は美しい台詞を並べてカッコよく振舞える人だけど、その下に深く傷つき悩み多い姿が見えるんだ。それを書き表したくて長々書いてるのかも。
●後の展開の前知らせの台詞
尚隆)延麒を返せ。ならば温情を下して自刎させてやると斡由に伝えよ
尚隆、こんな事言ったんだ。斡由に伝えさせちゃったんだ。後で言うんじゃなかった、くそーとか思ったんじゃないかと思う台詞。ひょっとしたら八章2での斡由の行動を後押ししちゃったかもしれない台詞。八章2でまた説明します。
【ちょっと一言】
海神再読も中盤となり、●付き小見出しについて一言。同じ小見出しが何度も出てきてるのにお気づきでしょうか?私的には海神を読み解くキーワードなんです。
●尚隆は何故、漉水の治水の裁可を下さなかったのか。
●麒麟誘拐事件
●麒麟と血の穢れ
以上の小見出しはこれからも出てきますのでご了承ください。