のんちゃんの不思議な力
のんちゃんには不思議な力があるんです。
これはのんちゃんがきこちゃんと結婚してから気がついたことなんです。
きこちゃんが仕事から帰ってきて、あっちこっち痛いよぉって、のんちゃんに揉んでもらいたくってすりすりしてくることがあるのです。
でものんちゃんは、きこちゃんが、ここ、ここって言ったところではない場所をモミモミしだすのです。
どうしちゃったんでしょう?
意地悪しているんでしょうか。
でも、のんちゃんがモミモミしていると、だんだんきこちゃんの痛みが和らぐようなのです。
のんちゃんは、ちょっと前から、きこちゃんの本当に痛いところがわかるんだそうです。きこちゃんが主張する場所とは違うところから「痛いよぉー」っていう声が聞こえてくるような気がするんだって。
実際には、きこちゃんが本当に痛いところと同じ場所に痛みが出るらしいのね。
最初のうち、きこちゃんに不思議な力があって、のんちゃんにその痛みを痛み分けするのか、のんちゃんに不思議な力があるのかわからなかったんだ。
でも、そのうち、のんちゃんは、きこちゃんでなくても痛みがわかることにきがつくんだよ。例えば、会社で同僚が座っている席の後ろを通ったときに、のんちゃんに痛みが出て、試しに「痛い所ある?」って聞いてのんちゃんが感じるところをモミモミするとその人の痛みが取れるってことがあったんだって。
でもね、きこちゃんならいいんだけれど、他の人だとお医者さんでもないのにモミモミなんかできないから、のんちゃんはやらないんだけどね、きこちゃん以外でも痛みがわかるってことがわかったんだよ。それから、全ての人の痛みがわかる訳でもないこともわかったんだ。
つまりは、きこちゃんの身体が「ここ痛い」って強く主張したときに一種の電気が出て、その微量の電気をのんちゃんが受信できているような仕組みらしいことがわかったんだ。人によって、その電気の力が違うから、分かる人とわからない人がいるみたいなのね。不思議でしょう?
でもね、もっと不思議なのはね、あっちゃんにも同じような力があるようなんだな。
まだまだ弱いんだけど、ここ、ってわかるみたい。
のんちゃんとあっちゃんとは同じように身体に不具合を抱えているんだけど、身体が弱い人に備えられた生きていくための特殊な機能なのかもしれない、って最近思うのんちゃんでした。
* 2013年6月14日 記載