去年作った雪だるまに会いたい
5歳アオは夜になるとよく泣く。悲しいことを思い出したり、不安が膨らんだり、急に寂しい気持ちになったり、悪い妄想が止まらなくなったりして。
妄想話には定番の2つがある。
ひとつめは、3歳の頃無くしてしまった帽子の話。1歳のころから気に入っていた魚の刺繍の白い帽子。3歳の春、公園で無くした。これがすごくショックだったようで、今でも時々思い出して泣いてる。
もう2年も前のことなので、思い出すたびにどんどん妄想が広がる。「お魚さんどこにいるかな、アオのこと探してるかも」「お魚さんお外の夜は暗くて怖くて泣いてるかも」「お魚さんがアオに会えなくて寂しくて泣いてるかも」「川に落ちて流れて海まで行っちゃったかも」「川から水の工場(上下水道の処理工場のこと)に行っちゃって捨てられちゃうかも」
そんな妄想を広げてはシクシク時にはワンワン泣く。
ふたつめは、ゆきだるまの話。
去年の冬日光に旅行に行った。雪がたっぷり積もっていて雪だるまを作った。葉っぱや枝や石で顔もつけて大喜び。彼にとっては新しいお友達のように可愛い存在だった。でもやっぱり溶けてしまうのが悲しくてそのときもワンワン泣いた。そのことを夏になっても秋になっても思い出して泣く。
「アオが作った雪だるまに会いたい」「大好きだったのに悲しい」「溶けていなくなっちゃった」
私は、「雪は溶けて川から海に流れて、雲になって雨になる。いろんなところからアオのこと見てるはず。雨になって降ってるときはアオのすぐそばにいるし、雲になって冬に雪が降ったらまた遊べるって楽しみにしてるかも」と言うけどそれでも、「冬になって雪が降るまで一緒に遊べないのは悲しい、お空を探してもわからない、雪だるまさん海からアオのこと見えないかも、どこにいるの〜〜」という感じ。
その想像力と感情の豊かさに感心してしまう。本人は本当に悲しそうだから笑っちゃいけないんだろうけど可愛くてつい顔が緩む。
ネガティブの天才だなといつも思う。性格なんだろうし根本的には治らないのかもしれない。こういうネガティブな気持ちを乗り越えられるようになってほしい。今は弱虫泣き虫だけど、乗り越えられるようになると、すごくつよくなれるよ。