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「小さいけど、いい病院」に
獣医師の水越です
僕は2009年から2022年までの13年間、動物病院の 経営者 兼 院長 でした
その動物病院はどんどん大きくなって、地域の中核病院、南大阪エリアの救急病院として今も貢献しています
僕はその病院を大きくしたくて、無理して大きくさせました
スタッフが大勢いないと病院が回らないのでとにかくスタッフを急いで増やす、お金は借りられるだけ借りるなど、色々な面で無理をしました
一番無理があったのは、自分の気持ちが大きくなっていく病院についていっていないことでした
病院を大きくすることは、地域貢献につながりましたが、そんな病院を作った自分の価値を証明したかったというか、注目を集めたかったというか、そういうエゴもありました
病院が大きくなるにつれて、経営やマネジメントなどの悩みもそれに比例して増えていきました
苦労しましたが、いっぱい勉強して、色々な体験をして、色々なことを感じることで内面の変化が起こっていいきました
だんだんとエゴが薄れていき、周りの目が気にならなくなっていき、本当に自分のやりたいことをやりたいと思うようになっていきました
気付くのが遅かったのですが、僕が本当にやりたかったのは、大きな病院の経営やマネジメントではなかったのです
心の中と現実に起こっていることがねじれた状態なので、心身ともにコンディションが不安定になり、悩みに悩んで病院を売却し、やってみたいと思っていた活動にチャレンジしてみました
でも、しっくり来なかったので、やっぱり獣医師に戻ることになりました
今は ミモザ動物病院 という小さな病院で働いていますが、小さい病院の良さを実感しています
すべての患者さんを自分が診察するということは、獣医師にとっても患者さんにとってもメリットがあります
通院の患者さんに体調の変化があっても、その患者さんのことを分かっているので、これまでの経過を踏まえた対応ができます
スタッフが少ないことにもメリットを感じます
役割分担があまり出来ないので非効率な面もありますが、一人のスタッフが色々な仕事をやらざるを得ないことによって、幅広く仕事を覚え、色々なことに対応できるようになります
僕は一つの分野を追求する専門医タイプではなく、どんな症状でも対応ができる獣医師、浅く広く何でもできる一般臨床医でありたいと思っています
昔の動物病院では、獣医師は院長先生一人だけで、スタッフも一人か二人しかいませんでした
でも、浅く広く何でも診てくれました
ペットに何かあった時にとりあえず診てもらう病院としては理想的だと思います
僕はそんな昔の動物病院のような診察がしたい、浅く広く何でも対応できる獣医師でありたいと考えています
それが僕のやりたかったことだったと今は思っています
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でも、小さい病院にはデメリットもあって、自分の体調不良で病院を閉めるということを経験し、実感しました
せめて、臨時休診を事前にお伝えできるように、飼い主様への連絡手段としてLINEを活用するようにしました
僕以外のスタッフ(看護師2名、受付1名)も体調不良等で欠勤することがあります
その場合、少人数で、なおかつ3名ともパートタイムなので、欠勤を補い合うことが難しく、最悪僕一人で診察するということもあるかもしれません
そういうことは避けたいので、もう1名、スタッフを増員することに決めました
*2025年1月10日現在、求人募集中です
興味のある方はお電話ください 072-289-6573
小さい病院の良さを活かしつつ、弱点を最小限にとどめられるように運営していきたいと思います
いい面も悪い面もありますが、僕はそんな古き良き動物病院のようなミモザ動物病院で頑張っていきます
そんな昔スタイルの動物病院が日本中の小さな町に一つずつあれば、ペットの健康を守り、飼い主様も安心できると僕は考えています
今の動物病院業界の大きな流れは資本力のある会社による吸収合併です
特に獣医師が3名以上の中規模の病院が買収されています
資本力がある大きな動物病院グループが日本にもいくつかあって、それらが買収しているのですが、新卒の獣医師たちの多くがそんなグループ病院に就職するようになりました
その理由は労働条件がいいからです
残業が少なく、週休二日+夏と冬に長期休みがとれ、給料もいいのです
新卒の獣医師が一番吸収力が高く、成長できるので、最初の3年くらいは、修行だと思って休みや給料よりも得られる経験を重視した方がいいと僕は思います(古い人間の戯言かもしれないですが)
僕が勤務医の頃は自分の足で病院に実習に行って、院長先生やスタッフと話をして、勤務する動物病院を決めました
実習に行く病院は大学の先生に紹介してもらうなど、知人の紹介が主でした
でも今は、仲介業者が獣医学生を登録を募り、動物病院とのマッチングで決まることが主流となっています
紹介料が高額(獣医師1名採用するのに150〜250万円!)なので、個人経営の病院では紹介業者に依頼することは難しいです
小さな動物病院としては、大手に人材を持っていかれ、外様に仲介料という無駄なお金を中抜きされることが腹立たしいです
このような動物病院業界の現状に対して、「これでいいのか?」と思います
各地にショッピングモールができたことで、商店街がシャッター街になってしまいました
本はアマゾンで買うようになり、町の本屋さんが潰れました
動物病院も似たような流れがきているように感じます
便利なのはいいことですが、世の中が効率化、標準化されることで、地域というコミュニティが消えていくという危機感も感じます
そんな流れに抗うように、ミモザ動物病院は竹城台センターという古くて小さな商店街のテナントで開業しました
商店街の数軒隣の喫茶店に週2〜3日は日替わりのランチを食べに行きます
その店のおばちゃんと仲良くなったことから、地域の人々との交流が広がりました
昨年のクリスマスには、近くの保育園の子供たちが讃美歌を歌いに来てくれました
そんな職場での生活は暖かな気持ちにになれる体験ができます
それは効率化、標準化、グローバル化が進む世の中から消えていってしまいそうな、でも、残したい大切なものだと僕は思います
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勤務獣医師だけでなく、院長先生が何年かごとに変わるということもグループ化した病院のデメリットだと思います
小さなコミュニティの中で、動物病院は地域のペットと人間(飼い主)をつなぐ存在であってほしいとも思っています
そんな動物病院のトップである院長は長い間、ドシっと座っていてほしいと思います
僕は地域に根ざした、すべての患者さんの顔を覚えられるくらいの小さな動物病院が好きですし、ミモザ動物病院をそんな病院にしたいです
そういう病院が横につながり、助け合いながらやっていくことが理想だと思います
そんな小さな病院が手に追えない難しい手術、夜間や年末年始などの救急対応などを、大きなグループ病院が担ってもらえると共存できると思っています
そいう大きな病院はそんなに沢山なくてもいいと思います
堺市に2病院
泉北、泉南、河内エリアに1病院ずつ
それくらいが丁度いい
そして、僕が理想とする「町の小さい動物病院」が各町に一つ(中学校と同じくらいの数)あればいいのです
そんな「町の小さい動物病院」の一つとして、ミモザ動物病院はこの泉ヶ丘、竹城台で地域貢献していきたいと思います
この記事で書いたことは僕の個人的な考えです
色々な考えがあっていいと思います
非効率だし、高度な医療は提供できなくても、地域に根ざし、患者さんの顔がわかる小さい病院で僕は獣医師として働きたいです
本年もよろしくお願いします
ミモザ動物病院
獣医師 水越健之
自己紹介として、少年時代から獣医師になるまでの生い立ちを綴りました
いわゆる、自己紹介の記事です