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日記という名の短編エッセイたち

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取るに足らない日常の出来事、なんて思うのは本人だけかもしれませぬ。
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#遠距離介護

【日記】のようなもの、ふたたび

毎月、遠距離介護に来ている。 介護と言っても身体的な介助は必要なく、ご飯を作ったり掃除洗濯をしたりといった家政婦さん的な役割なので気は楽だ。 認知症がないので話も通じるし。 親は四捨五入すると100歳である。なんと! こうやって文字にしてみるとその事実にあらためて驚く。 本人も「なんで生きてるんだろうなあ。友人縁者もみな死んでしまった」と言う。配偶者も逝き、兄弟姉妹誰も残っていない。同期どころか10年、20年も後輩の人々が世を去って会えなくなっている。 長生きはおめでたい

【日記】また飛行機に乗って

天気の良い平日、休みを取ってまた飛行機に乗るべく電車で空港に向かった。車窓から絵本のクリスマスみたいにこんもりと雪を被った家々が見える。美しいけれど車内は混雑しており大きなトランクの観光客などでごった返していた。みんな旅行したいんだな。わたしもしたいよ。 自分も飛行機に乗るのだけれど行き先は実家。目的は遠距離介護。これを旅行とは呼びたくない。移動だ。 寝たきりだった親は空に還ったが、認知症もなく自分で歩き食べている方の親は相変わらず一人暮らしだ。時々入院しながらそれでも不死