あのね・・・
膝の上に頭をのせる。
ゆったりと沈み込んでいく感触。
そっと髪を撫でる手が気持ちいい。
ふんわりと行ったり来たりする感触。
ふとお互いの手があたり、指が交差する。
細くてすべすべした感触。
◇
膝枕をしたまんま、ポツポツ言葉を交わす。
たまに噛み合わなくても、ほんわかする気持ち。
「重くない?」「大丈夫」
顔を合わせずとも伝わる気持ち。
昔はあんなに小さかったのにな。
生まれたばかりの君を懐かしむ気持ち。
◇
一日中パソコンばかりしてるって、怒っちゃってごめんね。
きっとそれは、こっちを向いてよってサイン。
ただくっついて、話をするのが楽しいね。
きっとそれは、大好きだよってサイン。
外から帰ってきて、君の顔を見られるのがうれしいね。
きっとそれは、家族だよってサイン。
◇
寝息をたてて眠る君の小さな顔を覗き込む。
あの頃の面影を探そうとする。
薄い唇のすき間から、生え変わった白い歯が顔を出している。
キリッとした鼻筋に、少年へと羽化していく君の成長を感じる。
母さんの頭、本当に重くなかった?
足、痺れてない?
◇
あのね、母さん、もっとお話したかったんだ。
あのね、母さん、こうして一緒にいたかったんだ。
あのね、母さん、7年前に君に会えて嬉しかったんだ。(ちょっと大変だったけどね)
ありがとう。
生まれてきてくれて、ありがとう。
◇◆◇
夜、あとは寝るだけになって「あ〜、疲れた」って、ソファーに沈み込んだら、上の子が横に座ってきた時のこと。
ちょっとふざけて、息子の膝を枕に横になった。なんだか平気そうだから少しの間、膝を貸してもらったら、なーんか心が揺れた。
そうか、寂しかったんだ。一緒に色んなことしたかったんだ。息子からの愛情が不足がちだったんだ。ずっと感じていたモヤモヤが氷解した。
だからまずは、こんなふうにして大好きだよって伝えていきたい。そして「いいよ」って言ってくれる間は、膝枕をお願いしてみようかな。