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実際治療費ってどのくらい?ー不妊治療とお金の話ー
こんにちは、きりんです🦒
TwitterなどSNSで皆さんがどんなことに興味があるのかを募ってみた所、沢山のご意見を頂き、とても嬉しく思っております🙌
さて、今回は前回の「卵子凍結のお話」番外編?
知っておきたい不妊治療のお金の話💰をしたいと思います👓
最初の方は、不妊治療の種類を知ることで、計算がしやすくなるかなぁと思ったので簡単にイントロで書きました。
お金の話は後半にありますので、適当に目次で飛んでください!
(目次の使い方を学習した🤩)
1.不妊治療って高いって聞くけど実際どのくらいお金がかかるの?🤔
ここ!いざ治療!と思って不安に思う人も多いですよね~
しかも、不妊治療って自費なので言ってしまえば
「いくらでも病院側が値段設定ができてしまう😎」
…勿論、専門医をお持ちの先生達の集まりなのでトンデモクリニックでなければ、相場はある程度変わらないかな~と個人的には思います。
2.治療の中身を知ると大体概算出来る。
不妊治療とひとくくりにされまずが、大きく分けて
【一般不妊治療】と【高度生殖補助医療】の2つに分けることが出来ます。
【一般不妊治療】
回数に制限はあるものの、医療保険がきく場合があります。
・不妊のスクリーニング: これも個人的には不妊治療だと思います🦒
ー超音波検査で子宮や卵巣に病気がないか調べる
ー月経周期に合わせてホルモン採血をしてホルモン異常がないか確認する
ー卵管に異常がないか検査する、頸管に問題がないか調べるなど
ー男性は精液検査!(これ、本当に必須ですよ)、ホルモン検査等
ー感染症の確認やAMH(卵巣予備機能)、甲状腺機能や血液型の確認
(こちらについては別記事で、ポイントを押さえつつお話しますね!)
・タイミング療法: 妊娠しやすい時期をお知らせする
ー性交渉のタイミング(卵胞の大きさ)をエコーで計って、チャンスを知る
ー必要な方は、排卵誘発剤を使って卵を育てる
タイミング法はお薬もエコーも保険適応の範囲の事が多いです。(医師と回数、使う薬剤による)。
・人工授精: ちょっとだけ、精子のお手伝いする
ーチャンス!のタイミングで、元気な精子を集めてチューブで子宮の入り口に送り込んであげること。
人工授精は、保険適応ではありません。ですが、これ一般不妊治療の区域です。妊娠率はタイミングとあんまり変わりません💦
【高度生殖補助医療:ART】
基本的に全て自費診療。
・体外受精: 通常、卵管で等で起きていることを体の外で代わりにやる
ー卵を回収して、体の外で精子と出会うお手伝いをし、無事に受精(出会う)したものを、育てる。ここぞのタイミングで冷凍保管または、フレッシュなまま子宮にお返しすること。
料金で見るところは、採卵費用、培養費用、移植費用かと思います。クリニックによって差が出ます。
また、オプションも数多くあるので、自分にあったオーダーメードにより価格が大きく変わります。(フルコースにすると、50~100万位かわることも💦)
では、治療の超大まかな内容を知ったところで、計算してみましょう。
3.超概算、不妊治療に掛かるお金(2021.2:東京価格)
日本生殖医学会認定生殖医療専門医をもつ医師が開業しているCLの相場をチェックしてみました!
早速【一般不妊治療】から(正直ここは、あんまり差がないかな、、、)
必要な検査を全て足すと
(1)不妊スクリーニング ⇒ 4~6万円(フルコース)
(2)タイミング法(1周期) ⇒ 1~2万円 ※なるべく保険で計算
(3)人工授精(1周期) ⇒ 2~3万円
一般不妊治療でかかるトータルは10~20万円位!
(大体、タイミング3~6周期⇒人工授精3周期の流れが基本なのでそれで計算)
次に【高度生殖補助医療】は(こればっかりは、本当に超概算)
(1)体外受精(受精卵の凍結まで) ⇒30~80万円
また、これとは別に卵巣刺激(前回お話した、お薬や注射代)2~10万円程度
※採卵出来た卵子の個数でかなり異なります。また、採卵出来なかった場合には、一部を返金する病院もあります(成功報酬制度)。
(2)胚移植 ⇒1周期あたり15~30万円 (使用する薬品代含む)
トータルは50~120万円程度でしょうか…
※ただし、採卵で卵が沢山取れ、保存している受精卵が沢山あれば暫く採卵しなくてよいので、移植に関する費用しか発生しません。
体外受精は1回で妊娠する確率は大体30%(年齢にもよるので、またこれも別記事にします)。
何回か繰り返すのが基本です。
ちなみに、顕微授精は体外受精の際に卵子と精子を人の手で合わせる方法でオプションです!(精子所見により医師が判断する場合が殆ど)
オプションだけで本当にびっくりするくらい価格が異なります。
なんとなくのイメージはわきましたか?
やっぱ高いなぁと思う方、意外と安いなと思う方これも結構分かれるところではないかなぁ~と思います。
下記に公式ではないものの、現場的に割といい線かなという調査結果を載せてみます。
4.実際に治療を受けた人のお金ってどのくらいだったの?
妊活中のすべての女性を応援するWebメディア「妊活ボイス」2017年10月「妊活・不妊治療」に関するインターネット調査HPより引用
【調査概要】
調査対象:10年以内に妊活経験のある20~49歳までの女性
有効回答数:300名(妊活時の平均世帯年収約500万円)
調査期間:2017年10月11日(水)~10月30日(月)
調査方法:インターネット調査
【調査詳細】
〈1〉高度不妊治療(体外受精・顕微授精)にかかった費用は平均で約193万円
今回の調査では「妊活全般にかかった費用」は平均で約35万円という結果でした。人工授精・体外受精・顕微授精のいずれかを経験した方に限ると、平均費用は約134万円まで上昇します。
不妊治療の中でも高額となる高度不妊治療(体外受精・顕微授精)の経験者となると、その治療費の平均は193万円まで上昇(資料1)し、300万円以上かかった方も約6人に1人(16.1%)となりました。治療が高度化することによって、治療単価・回数が増加していくことが窺い知れます。
5.知っておきたい助成金の話!
(2021.4.1~改訂版に修正しております)
※2021.4.1~「特定不妊治療費助成事業」の助成対象が大幅に拡充しました。
2021.1.1以降に終了した治療までさかのぼり、助成の対象となります。
該当の方は、確認してみて下さい!
【厚生労働省:特定不妊治療費助成事業のHP】
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/kosodate/josei/funin/
では、、、参ります🦒
よく、助成金の対象外だった😨という話を聞きますよね。
助成金のポイントを少しまとめてみましたのでご参考までに~
(東京都HPと中央区HPより一部引用)
※本当に申し訳ないのですが、東京都で記載しております地域によって異なるかと思いますので、宜しければ、各都道府県のHPをご確認下しいませ。
【東京都での例:都道府県単位】
注意:大前提で、助成金を受け取るには、【指定医療機関】での治療でないと受けられません!また、医師が、体外受精が必要な患者であることが前提なので、なんでもかんでも助成金が貰えるわけではありません。
詳しくはクリニックに確認してください。
では、どんな治療を受ける何歳までの人が対象なのでしょうか?
①対象の治療 ⇒ 体外受精及び顕微授精
(タイミング法、排卵誘発法、人工授精などは「特定不妊治療費助成事業」の対象外)
➁治療のステージ分け
1回の治療(1周期)でステージ(治療内容)により区分が分かれ、区分ごとに補助される料金が異なる。
(細かいので気になる方は東京都特定不妊治療助成の概要をチェック🔍!)
③年齢制限と回数
初めてこの助成を受けた時の治療開始日時点で、
妻の年齢が39歳までの夫婦 通算6回まで
妻の年齢が40歳以上の夫婦 通算3回まで
ただし、1回の治療期間の初日における妻の年令が43歳以上で開始した治療は全て対象外。
要するに、39歳までに治療を開始した場合は6回まで、40歳を超えて治療を開始した場合は3回まで、43歳以上で治療を開始した場合は対象外となります。
※2021.4.1~下記のように助成の対象がやや拡充しました。
(非常にややこしいのですが、前提となる考え方は同じです)
【助成金の対象年齢と回数:再確認用】
・39歳以下…1子ごとに6回まで
・40歳以上~42歳以下…1子ごとに3回まで
・43歳以上…もらえません
助成金を受け取れる回数は、拡充前は妻が生涯で受けることができる回数でした。
拡充後は、助成を受けたのちに出産した場合と妊娠12週以降に死産になった場合は、これまでに受けた助成回数をリセットすることができます。
※助成回数のリセットは希望する人のみが申請できます。
(逆に申請をしないとできないので、しっかり医療機関の方と方法を確認してください)
リセット後に受ける治療の開始時点の年齢によって、残りの助成回数が減ってしまうこともあるのでそちらも確認を!
④助成の金額
こちらに関しては、ステージ(治療の内容)で助成される金額が細かく設定してあります。
医師に確認し、ご自身の治療ステージに合った金額の助成を受けることになります。
⑤男性不妊に関する助成金(精巣内精子生検採取法等)
特定不妊治療(体外受精及び顕微授精)に至る過程の一環として行われる、精巣内精子生検採取法(TESE)、精巣上体内精子吸引採取法(MESA)、経皮的精巣上体内精子吸引採取法(PESA)、又は精巣内精子吸引採取法(TESA)の費用の一部を助成。
※別記事で男性不妊は詳しく書かせて下さい!
⑥助成を受けられるカップル
要件を満たせば、事実婚のご夫婦でも助成金を受け取ることが出来ます。
細かい要件に関しては、上に記載しております、厚生労働省のページで確認してみて下さい。
東京都では、上記のように都の助成以外に区単位でも様々な助成金の仕組みがあります。
以下は、会社のある中央区(資金が潤沢であんまり参考にならないかな(笑))の助成金を調べてみました。
【対象者】
①東京都の特定不妊治療費助成事業の交付決定を受けていること
➁中央区内に住所があること
③同年度で上限額(10万円)を超える助成を受けていないこと
【内容】
特定不妊治療(体外受精及び顕微授精)にかかった保険適用外の治療費から東京都から受けた助成金を除いた額に対し、東京都の交付決定対象年度に対して1年度あたり10万円を限度に、最大で通算5年度助成します。
なお、治療費が東京都から受けた助成金額以下の場合は、東京都から全額助成を受けているため、対象外。
市区町村で結構違っていて、品川区などは人工授精の費用負担の軽減をしていたりしますが、世田谷区は特に自治体では助成金はなさそうです✍
ご自身の活動の場の助成金調べてみてはいかがでしょうか?
【所得の制限】
拡充前は、助成を受けられるのは夫婦の合算所得額が730万円未満。
拡充後は所得制限がなくなりました。
今まで対象外であった方は是非、医療機関で問い合わせて下さい!
治療を受ける皆さんの負担が、少しでも軽減されることは大変嬉しいですね。
6.最後に、、、、
不妊治療やっぱりお金かかりますよねぇ~。
保険適応にするにも、本当に問題が多くて(これはまた別記事にまとめたい)ぶっちゃけ現場的には自費がの方がありがたいという言葉はよく聞きます。
※知り合いの医師たちのコメントなのであまり気にしないで下さいね。
可能なら、治療の助成金の予算をしっかり立てた方が患者さん的にも、医療者もWinWinだというのが私の考えです。
真剣に治療をする人のスクリーニング的側面や現場のより良い医療の競争意識も込めて。(ここまで高度生殖補助医療が発展したのは競争があったからと言っても私は過言ではないかと思っています)
さて、今回はお金のお話でした。
何もしなくても妊娠する人がいる中で、お金をたくさん使っても妊娠しない苦しさ…私も経験して、ただただ虚しさを感じることばかりでした。
不妊治療はお金がなくて継続できず子どもを諦める、夫婦の離婚への発展まで結構色々あります。
日々の業務で生かすというよりは、自分の為に知っておくことや、知っていて寄り添ってお話ができる事(基本は傾聴)、助成金の仕組みを説明することが産業保健的にはできるかなと私は考えます。
皆様からのご意見募集中!
noteに対する感想等ありましたら、お伝え下さい!
調べる事で、とっても勉強になってます!
次回は、、、、卵子の話かな。