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聞き書き甲子園卒業生にインタビュー!!(本間さん・後編)

こんにちは、共存の森ネットワーク インターンの石垣です。
今回は、聞き書き甲子園15期生の本間真生さんへのインタビューの後編をお届けします。

<前編はこちら

本間 真生(ほんま まさき)
新潟県出身。東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科卒業後、山形県金山町の地域おこし協力隊に着任。関係人口の増加をミッションとして活動している。高校3年生の時に第15回聞き書き甲子園に参加し、新潟県の狩猟(クマ猟)の名人を取材。


〇聞き書き甲子園に参加したきっかけ

本間:小学校から高校まで、部活だけしかしてこなかったんです。ある日姉から「まさきってこの後もバレー選手として生きていくの?」って聞かれたけど、それは違うって思いました。でも他にやりたいことがなくって、「私が人生でやりたいこととか、それに出会えるきっかけってないかな」と思いました。その時に姉に聞き書き甲子園があることを教えてもらって、そのときはとにかくいろんな世界を見ようと思って参加しました。自然はいいな、とは思っていたけれど、参加する前は地域や名人のような仕事にはまったく興味がなかったんです。


〇聞き書き甲子園の経験が生かされること

石垣:聞き書き甲子園での経験が今のお仕事に生かされていると感じたことはありますか?

本間:すべての活動に生きていると思います。聞き書き甲子園には当たり前だと思っていることを、もう一度聞いてみることの大切さを教えてもらったなと思います。一つのものに対しても色々な角度で聞いてみる、聞くことを恐れないということを教えてもらったし、それが今の仕事にも生きています。
私は狩猟をされている方に聞き書きをしにいって、自然と対話して仕事をするって面白いなって思ったし、物事を必死に取り組む姿ってめちゃめちゃかっこいいなと思いました。地に足つけて生きるって、こういう人のことを言うんだろうなって。

名人と本間さん


本間:聞き書きの体験はもちろん、私にとっては事前研修で聞いた澁澤さん(聞き書き甲子園実行委員長)のお話がとても印象的で記憶に残っています。初めに、なぜ高校生にとって聞き書き甲子園が必要な活動なのか教えてくれました。その中で今覚えていることは、日本の消費社会について、このまま自給率が低くて外国からの輸入に頼っていたら、それが無くなったら私たちは生きていけるのか、という話ですね。
その時は高校の部活動みたいな、小さなコミュニティでしか自分の人生を考えられていなかったけど、そうした話から、これからの日本の未来にとって森、川、海の仕事をされている方の生き方って大事になるということを教えてもらいました。当時は、自分自身が日本の未来に対して、どんな役割を果たす一員となるのか全く分からなかったけど、そういうものの見方とか、世界ってあるんだなって知ったのは自分にとって大きな影響でした。


〇現在の本間さんから見た聞き書き甲子園とは

本間:生きるとか、人間の本質を問われる活動だなと思っています。先人たちの生き方を通して、これから私たちが生きる道ってどうしたらいいんだろう?という問いを投げてくれると思いますね。私(名人)はこうやって人生を歩んでいるけど、あなた(自分)はどうしたい?ってインタビューをしながら、(自分と名人を)比較していって、私はこういう道に進みたいかもしれない、と気づかされることがあります。
高校生って自分の道を決め切れていないと思うけど、聞き書き甲子園に参加して先人たちの道とか、今まで行われてきたことを生で吸収することによって気づくことがあるかもしれません。私にとって、澁澤さんの話は「生きるって何か」ということを考えさせられたし、「これからの日本ではあなたたちが主役だよ」ってバトンタッチされたような気もします。「生きるってそもそもなんだったっけ?」っていうあまりにも当たり前すぎて考えていなかったことを、大きな問いとして投げかけられた場所でした。

聞き書き甲子園で、名人に熊の毛皮を見せてもらった本間さん


〇今後について

石垣:本間さんにとって聞き書き甲子園での経験は色々な場面で生かされていることが分かりました。最後に今後のことについてお聞きしたいのですが、最終的には協力隊の活動を通して、金山町に定住してくれる人を増やすことが目標ですか?

本間:うーん、そこまで行けたらいいなとは思っているけど、私の中では金山町を面白がれる人を増やしたいと思っています。すでに金山に住んでいる人もそうだし、外から来た人も一緒にコラボするっていうのが、(協力隊としての任期を終える)3年後に見られたらいいなと思います。基本的に、今やっている事業はやりつつ、町の人のやってみたいこととか、夢を応援できるようなコミュニティや拠点づくりもしていきたいです。私も大学でデザインを勉強したので、金山の手仕事でつくったもののパッケージをデザインしたり、ブランディングもして、広く色んな人に手に取ってもらいたいです。それらすべてを通して、金山って面白いって心の底から思って住んでくれる人を増やしたいという想いを持っていますね。

昨年の10月から11月にかけて行われた「みつける、金山展」
九州大学芸術工学部の2人の学生と、金山の美しい「あたりまえの日常」を表現した


石垣:協力隊としての任期を終えた後について、何か考えていたりしますか?

本間:協力隊のもっとバージョンアップしたお仕事をするとか、起業したり、企業で働いたりといろいろ選択肢はありますね。起業したら空き家を改修して、利益を得られるようにしようとか考えていることはあるんですけど、それよりも今の活動を一生懸命やって、3年後までにどれだけ金山町に貢献できるかっていうことを一番に考えています。

 

新しい世界を見てみようと参加した聞き書き甲子園が、現在の本間さんにとって大きな影響を与えていると知って、改めて聞き書き甲子園の活動の大切さを知ることができました。ぜひ、本間さんの今後の本間さんの活動もご覧ください!


次回は京都府京丹後市でroots(京丹後市未来チャレンジ交流センター)の相談員としてお仕事をされている稲本朱珠さんのインタビューをお届けします。お楽しみに。

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