かたぬき_この街の夜から02
列島ききがきノートが運営する音声メディア「この街の夜から」。こちらの記事では、配信内容を記事にしてお届けします。(#01はこちら)
今回は、第2回収録のかたぬきです。
中嶋:今日も「ききがきノート」に寄せられた高校生の詩を入り口にいろいろ話せたらと思います。「ききがきノート」では、stayhomeが続いた4月から5月にかけて、全国の高校生を対象に、自宅での時間をテーマに詩を書いてもらう企画を実施しました。届いた詩は詩集にまとめて高校生のもとへお返しします。
工藤:今回は早速、僕たちが選んだ詩をご紹介していきたいと思います。
僕が紹介するのは、三重県/えのすけさんの「窓の向こう」という詩です。
〜詩の朗読〜
えのすけさんの詩を読みながら、高校時代を思い出していたんですけど。僕は高校時代、毎日の繰り返しのなかで「ここじゃないどこかに行きたい」ということをすごく強く思っていて。今回、コロナで家にいる時間が増えたから、僕が高校時代に感じていたような「この狭い世界ではない、どこか遠くへ行きたい」と思う機会が増えた 10代も多かったのかな、と考えていました。
僕は実際、冬の北海道で民泊みたいなものをさせてもらったり、高校を卒業する時にウズベキスタンに一週間くらい旅行に行ったり、「ここじゃないどこかに行く」っていう経験をしたんですけど、それがすごくよかったなあ、と。
中嶋:(ちょっと質問)
工藤:北海道やウズベキスタンに行った経験がもとになって、「生きていない時間を旅したい」っていうことを最近強く思っていて。それってどういうことかというと、北海道でお世話になったおじいちゃんは当時70歳過ぎだったんですけど、きこりの人だったんですね。僕も一緒に雪山に行って木を切るところを見せてもらったり。
その人は、僕が生きてこなかった北海道の冬とか雪山とか、すごく厳しい時間というのを50年くらいずっと生きてきた方で。自分が全く接することがないであろう時間を追体験できたことがとても楽しかった。
ウズベキスタンには現地の子どもに日本語を教えるっていうプログラムで行ったんですけど。その子たちは、僕とは違う宗教観を持っていたり、お風呂とかもないような場所で暮らしていたり。
でも、僕とは違う人生の楽しみ方みたいなものを見出していて、めちゃくちゃ明るく過ごしていた。今、僕は28歳なので、28年分の人生しか生きられないけど、自分とは違う環境とか経験を持つ人と旅先で出会うと、その人たちの時間も旅させてもらえる。
中嶋:その感覚、素敵だなと思います。これから、そういう目でいろいろ見ていけたらいいなと思います。あと、全く違う人生の楽しみ方を見出しているっていう考え方、大事だな、と。
私も何回か海外に行ったことがあるんですけど、そのなかで物乞いをして生きているような人を見たことがあって。でも、初めてその光景を見た時に、その人たちのことを「かわいそう」って思っていいのかなって思っちゃって。私たちは先入観で、お金もなくて、そういうところで暮らしている人たちにエゴに近いような気持ちを抱いている気がしたから。
だから、工藤さんの「違う人生の楽しみ方を持っているんだ」っていう考え方は、もっといろんな人が持つべきだなって思いました。
工藤:結局、みんな自分の尺度でしか相手を見れないっていう一面はあると思うんですけど…。それぞれの人が違う楽しみ方を人生のなかでしている、ということを感じられるのが旅なのかな、って思いますよね。
>第2回収録のかたぬきはここまで<
収録完全版はいつでも下記からお聴き頂けます。
ありがとうございます。 列島ききがきノートの取材エリアは北海道から沖縄まで。聞きたい、伝えたい、残したいコトバはたくさんあります。各地での取材にかかる交通費、宿泊費などに使わせて頂きます。そして、またその足跡をnoteで書いていければ。