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不整脈は突然に⑵
検査のため、車椅子で移動中ふと目に入ったのは、検査の依頼書に書かれた文字...
「〇〇(循環器専門)センターへ行くかも。」
受診した病院は、循環器医師は出張医であるため、緊急で治療を要する場合は100kmほど離れた病院まで行かねばならない。
小さな町は大変だ。
「ツレテイカレルノカー」
検査後。
先生から、
「まずは脈を落ち着かせましょう。大丈夫ですよ」
救急搬送はなんとか免れた。(安堵)
「先生、不整脈ってほんとこんなにも突然出るものなんですね」
「僕も同じ状況になったら、同じこと言ってると思います。」
「ただ、時間をおかずにアブレーションは早めにした方がいいですね」
「...そうですね、お願いします」
私は医療者である。
これから行われる治療やリスクなど、一気に頭の中をぐるぐると駆け巡る。
※高周波カテーテル焼灼術(アブレーション)とは電極カテーテルという太さ2 mmほどの管(くだ)を使って、脈が早くなっている原因となる個所を探し出し、治してしまう治療方法のこと。右足の付け根にある大腿動脈から管を入れて治療していく。
「よろしくお願いします。」
カテーテル治療は2週間後に決まった。
受診後すぐに脈を落ち着かせる薬を飲み始めた。すぐに脈は落ち着いた。
まさか自分がこのような状況になるなんて。
未来は誰にもわからない。予測はつかない。
不整脈治療か。“死”がものすごく近くに感じる。
入院する日が来た。
子どもたちは心配そうな顔をしている。
「ママ、大丈夫だよ。待ってるね。」
一生懸命の笑顔で、優しく私の背中をさすりながら言う。
カテーテル治療前日に入院し、CTや採血いろいろ術前検査を受けた。
治療中必要な点滴針を留置するのに看護師がやってきた。
が、うまく入ってくれない。がーん。
私ってそんなに血管もろいのか。こんなんでカテーテルうまくいくのか。そんな不安がよぎる。
「検査は一通り問題ありませんでした。予定通り明日やっていきましょう」
「よろしくお願いします」
部屋に戻ると、80代くらいのおばあちゃんが入院していた。
何やらずっと室内をウロウロしている。何度も看護師に声をかけたりしている。
(そりゃ、家とは環境違うし落ち着かないよねー)
いろいろ考えてしまいそうな不安な夜は、おばあちゃんのおかげで全然考える暇はなかった。
いよいよ明日はカテーテルアブレーション。
⑶へ続く