千葉翔也のバッチリしようや Reading.94 肉(29)
誕生日を「バッチリ」でお祝い! 今年は、8月29日に29歳を迎えたことを記念して……〝スペシャル〟なケーキでパーティです!
ちば・しょうや●8月29日生まれ/東京都出身/トイズファクトリー所属/主な出演作品は、「アオのハコ」(猪股大喜)、「歴史に残る悪女になるぞ」(エバンズ・ゲイル)。1stシングル「Contrail」発売中。
撮影●福岡諒祠
ヘアメイク●寺田英美(e-mu)
文●キツカワトモ
〝スペシャル〟なケーキは甘くない!
お誕生日おめでとうございます! 華やかなバルーンの飾り付けに迎えられ、少し気恥ずかしそうなようすの千葉さん。実は今回「特別なケーキ」が用意されていることだけ伝えられており、ドキドキでその瞬間を待っています。
そこへ運ばれてきたのは、段々に折り重なった赤い……生肉のミルフィーユ!? 呆気にとられる千葉さんをよそに、卓上にはホットプレートがセッティングされました。そうです〝29〟歳をお祝いする「肉」のケーキだったのです! でも千葉さんは「肉にしか見えないケーキだよね? タレだってチョコレートソースの可能性があるし……えっ、もしかして本当に肉?」と、疑心暗鬼。パーティの定番メニューであるチーズフォンデュも用意され「絶対うまい!」と歓喜の声を上げながらも「見た目通りならね」と、何もかもが怪しく感じられてしまうよう。なにはともあれ、レッツパーティ!
「僕が肉を自力で焼けると思ってくれているのがうれしい」と、意外なところで喜びを噛みしめつつ「焼いてこうや!」と景気良く臨んだ千葉さん。肉が美しく咲き誇っていたからでしょうか? 「薔薇は、薔薇は♪」と歌いながら、最初の分厚い1枚をホットプレートの上に乗せます。「ジュ〜っ」といい音とともに立ち上がる香ばしい匂いに、ようやく確信のこもった言葉が出ました。「肉だ、これ!」。3種類のタレの中から甘口を選び、あとは焼けるのを待つのみです。「こんな贅沢なことして本当にすいません!」。
「すっかり『ケーキ』をいただけるものだという固定観念を持っていて、ホットプレートが置かれるまで疑心暗鬼でしたし、撮影をしている間も、甘い匂いがしなくておかしいなと思っていました。本当に予想外で、全部リアルな反応です!」
ひとり焼肉を楽しみ尽くす
分厚い肉がなかなか焼き上がらず、先にチーズフォンデュを楽しむことに。パン、そして野菜と、たっぷりチーズをまとわせていただきます。
「濃厚で、いくらでもつけたくなるチーズでした。主にチーズの味にはなりますが、パンの甘みや野菜の味も引き出してくれていた気がします。子供の頃は苦手だったカリフラワーも、大人になるとおいしく感じられるようになりましたね」
「パーティメニューで思い出すのは、ピザかな。でも、ひとり何ピースって決まっているのが気に入らない! 僕は目の前にあるものを全部食べたいのに、誰かが取るのを待っているうちに冷めちゃったりするんですよ(笑)。とはいえ、そんなストレスにも勝るパーティだからこその味ってありますよね。ひとりより、誰かと一緒に食べた方が絶対においしいです」
さあ、いい焼き具合になってきました。「ナイストゥ〝ミート〟ユー!」と肉に微笑みかけて、パクリ。目を閉じ、じっくり味わいます。
「分厚くておいしかったです! この夏は、サムギョプサルとか肉を食べる機会が多かったのですが、やっぱり自分で自分のために焼く肉はいいなあ。先日、ひとりで某焼き肉チェーンの食べ放題に行って、本当に幸せでした。ちょっとお腹がいっぱいになったら待てばいいし、自分のペースで食べられるのが最高です」
肉に「Nice to meet you」していたことにちなんで、最近「はじめまして」したものについて聞くと「自分で作ったオムライス」という、さまざまな料理企画を行なってきた「バッチリ」としては聞き捨てならない回答が! 「とある番組で、卵料理を作った経験を聞かれることになったので、オムライスを作ってその写真を撮っておくことにしたんです。『バッチリ』ではさんざん醜態をさらしてきましたが、意外とできるものだなって思いました(笑)。味付けには差が出るとは思いますが、それなりにうまく作れたんです。でも、ソーセージで代用したから簡単だったけど、思えば母親はちゃんとチキンでチキンライスを作ってくれていて、そのサイズに切るところから始めていたのならとてつもない手間だったろうなと気づきました」
ここで、スタッフの想定外だった千葉さんの暴挙が! なんと、肉をチーズでフォンデュしようと言うのです。「俺のパーティだ、文句は言わせねえ!」。果たしてそんなスペシャルすぎるマリアージュのお味は……?
「タンタタン♪」とリズミカルに臨むは、牛タン。とても一人焼肉とは思えない(!?)パーティピーポーな千葉さん。このあとも肉の海におぼれていました。
29歳は「最近、楽しそうだね」と言われる自分に
29歳のお誕生日を迎えた千葉さん。充実の一年を振り返ると同時に、20代ラストイヤーへ向かう思いを語ってくれました。
「今年は、アーティストデビューし、たくさんの作品にも出会えて充実した年になりました。ただ、どちらかというと『28歳』という年齢ではなく、声優のキャリアを『2024年』で見たときに、いろんなことに挑戦できたという感覚でいます。アーティストデビューによって、自分自身を0から見つめられている気がするし、気持ち的には20代前半くらいに若返っているんですよ。そのおかげで、演じる役の年齢が上のみならず下にも広がっているように思います。本当に良い相互作用です」
「日々に手応えをとても感じているので、この1年も、楽しいと思うことやかっこいいと思うものを純粋にまわりから吸収する余裕を引き続き持っていたいです。同時に、30歳になったときにロケットスタートが切れるよう、この1年でどこまでも走る力をつけたい。声優をやっていると感覚が薄れやすいですが、社会的にみたらいい歳の大人です。その自覚を持って、20代を振り返ったときに『若かった』ではなく、最初から筋が通っていたと言い切れる自分でいたいです」
「日常的なところでいうと『最近、楽しそうだね』って言われたい。内心は楽しくても、黙っていると気が付かれないことが多いから……。緊張してなくても緊張していると思われがちだし、真顔の口角を上げたいですね。あと、マイペースでいたい。やっと役柄から来るアッパーな印象もなくなってきた気がするんです。言い換えるならば、場に合わせて体力の限界まで消耗することを頑張った指標にするのではなく、マイペースな時の自分にも太鼓判を押してあげたい。そして一番は、応援してくださっている皆さんが見たときに活力を得てもらえる姿でいたいなと思います」
「+1」から広がっていく活動
「1st Single『Contrail』はいかがでしたか? 各曲のセルフライナーノーツを書かせていただいているので、ぜひ公式Xもチェックしてください! 正直『Contrail』は、伝えたいメッセージを込めましたし、完成まで向き合いすぎてもはや新鮮なリアクションがとれないくらいなのですが(笑)、本当に0から積み上げてつくったので、最初の印象として皆さんが『かっこいい』と言ってくれたのがすごくうれしかったです」
「アーティストとして活動させていただくなかで嬉しいなと思うことのひとつが、他県のラジオにボイスコメントのようなかたちで出演させていただけることです。もちろん、本当は現地に行けるのが一番なんですけどね。デビューEPのときもたくさんその機会をいただいたのですが、今回、さらに番組数が増えたんですよ。しかも、先方から声を掛けていただいたと聞いて、光栄でした。手応え……と言うのはまだ早いけど、作ったものが人に伝わって、こうして+1の活動に広がっていくんだなっていうことが実感できたのがとても嬉しかったです。以前は、あまり色をつけすぎても良くないかなと思って抑えたトークをしていました。でも、本当にいろんなリスナーに向けた番組があるし、キングレコードの先輩方を見ていても、もう少し自分なりにやってもいいのではないかと考えるようになったので、お話する内容にも成長が見られるのではないかと思います」
「10月には、初めてのソロアーティストイベント『SHOYA CHIBA 1st FAMILY SESSION』が開催されます。ライブとは銘打っていませんが何曲も歌いますので、まずはそれを楽しみにしていてほしいです。これまでアーティスト活動としてはMCをしていないに等しいので、トークも交えてメモリアルな1日にしたいですね。会場は全席指定1000人規模なので、正直、今の自分としては正直めちゃくちゃ大きいなと思っています。日々新しく楽曲に出会ってくださっている方がいることは肌で感じるので、この日に向けて千葉翔也の音楽が広がっていったらいいなと思いつつ、とにかくひとりでも多くの方に来ていただきたい気持ちです。バッチリだから言うけど……満席の会場が見たいよ! 協力してくれたらこれ以上なく心強いです」