#2 本気で社会を変えるにはー投票の意味
私達はあまり努力もせず、それでいて望ましい結果ばかりをついつい期待してしまいます。複雑になる社会において、全力で何もかもをしなければ、危機に気づくことも、何が正しいかを知ることも、抗って自らが望む未来を勝ち取ることができないにも関わらず・・・
政府は2021年4月、2030年までに2013年比46%二酸化炭素を削減するという目標を立てました。46%が不十分という声もあるでしょう。十分に高くチャレンジングな目標だと感じる人もいるでしょう。忘れてはいけないのは、人類が排出する二酸化炭素の量が、地球環境が吸収する二酸化炭素の量を大幅に超過している今、2030年に46%削減できたからと言って許される状況下ではないのです。それは勝手に今の時代を生きる我々が1.5℃の目標を立てて決めたに過ぎません。厳しい話、1.5℃の気温上昇なら大丈夫という保証などありません。『最大の危機は、目標が高すぎて失敗することではない。低すぎる目標を達成することだ』という ミケランジェロの格言が強くのしかかります。
一方で日本の二酸化炭素排出量は世界全体で見ると3%に過ぎず、批判的な人からすると、いくら日本で削減できたところで意味がないと一蹴するかもしれません。ただ、日本が世界に輸出できるものはモノだけではありません。良くも悪くも、生き方や社会の在り方を世界に発信し、リーダーシップを発揮することはできます。
課題先進国と呼ばれる日本において、様々な問題——低炭素社会の実現や社会問題をスマートに解決できたとしたら、それは世界にとって大きな希望になるでしょう。次世代のために、私達はこんなに頑張ったのだと胸を張って誇れる、世界に誇れる国だと言えるのです。
残念ながら既存の政党を見ても、それだけのビジョンを持ったところがないのが現状です。政治が果たす役割は極めて大きい状況にも関わらず、その担い手が見当たりません。
願いを込めて一票を投じますが、一票はしょせん一票に過ぎず、現実的にはまず全く選挙結果に影響しません。また、投票率を上げれば済むという話でもないのです。変革の第一歩として、私達はその事実を冷静に受け止めることから始めなければなりません。
一方で私達は日常生活を送る中で、知らず知らず社会に影響を与えています。買い物をすることで、その企業に賛成票を入れています。普段の会話の中で、SNS上で、無意識に周囲の人に自身の考えや信念を伝えています。
日常会話の中に、政治や環境の話を入れてみる、あるいはその観点から日々の行動を見直してみる。それだけでも世の中の空気を少し変えられるかもしれません。常日頃から「必ず投票に行く」という姿勢を周囲に示せば、身の回りの人の投票率に影響し、選挙結果にも作用することでしょう。政治団体に所属したり、選挙運動に参加したりすれば、直接的にもっと影響が与えられます。
一票を入れるのは、ごくわずかな時間でできます。だからこそ、そのわずかな努力では社会は変えられません。しかしながら、投票以外のあらゆる時間を使って、あなたは社会に影響を与えることができる存在であるし、現に与えているのです。
投票先に迷ったら、頑張って社会のことを調べてみる。人に相談してみてみる。任せられる候補者がないのであれば、立候補を考えてみる。自らの立候補が難しいなら、任せられる人や団体を探して支援したり、気持ちだけでも沿道から応援したりすることもできます。考えること、行動することで選択肢は驚くほど広がります。
私自身何も力がありません。何をすればいいのかもわからず、常に悩んでいます。ただ何を考え、どう行動しているかを配信することは、きっと同じように悩んでいる人に意味があることだろうと思って活動を続けています。
(#3へ続きます)