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そもそもの話-シェアハウスで子育て-

2023年10月8日、私たちKiKiが運営する「KiKi北千住」の場所ができてから5周年を迎え、それにあたり、記念ZINEを制作しました。

タイトルは
「そもそもの話 -場づくり夫婦が歩んだ5年間-」
住居兼イベントスペースからはじまったKiKiが喫茶店になるまでや、そのきっかけ、子育てしながら夫婦で仕事をすることについて…などをずらずらっと書いた本です。
こちらの内容をnoteでは全文無料公開予定です。毎週水・日の夜に更新いたします。


シェアハウスで子育て

子どもを産む時、里帰り出産しないという選択した。とはいえ、妻の実家は東京だから里帰りという感覚ではないのかもしれないけれど。

交通事故と同じだけの打撃を受けると言われる出産。産後1ヶ月は安静にするべきで、里帰りを選択する人が多いのだ。
ネットで産後の夫婦のことを調べると、協力的にうまくやっている夫婦と、完全に関係がこじれる夫婦と2パターンに分かれる。後者にはなりたくない。
そのためには、2人が同じ成長スピードのレベル感で子どもと接することが大事だと2人で話し合った。

妊娠中はどうしても、母親の方が実感もあるし、自分の身体のことでもあるから知識に差がでる。そのままさらに産後1ヶ月、実家から帰ってこないとなると、より差は開いてしまう。
母親は既にハナダシティでカスミと戦い、自転車に乗っているというのに、父親はようやくマサラタウンを徒歩で出発したくらいの差だ。
コロナ真っただ中という事もあり、お互いフリーランスという事もあって、
二人三脚で頑張ってみることにした。

とはいえ、この先も2人でずっと仕事をしながら子育てするのは大変すぎる。
第三者が近くにいることで、子育ての負担を減らせるのではないかと感じていた。
その少し前に、北千住の空き家を活用するコンペに友人と応募し、築90年の古民家を使わせてもらうことが決定しており、シェアハウスの運営実績をもつ友人と建築家、そして僕たち3組でシェアハウスをつくることになっていた。
そんなタイミングだったので、僕たちは住み込み管理人をしながら子どもと一緒に暮らし、DIY可能な「暮らしをつくるシェアハウス 日日(にちにち)」を運営することになった。

シェアハウスはプライベートとパブリックが曖昧な場所。KiKiや他の街の拠点ともつなぐことで、暮らしにもレイヤーができ、さまざまな化学反応が出てくるのではないか。家に帰るだけの街ではなく、街で暮らしていきたい。その想いは、日々活動を続ける中で、僕らだけが思っていることではないということも感じていた。

このシェアハウスに住む人が、街の中で自分の生活の延長線上の活動をはじめて、地域の人たちとのつながりを感じ、そのうち自分自身も街の一員となっていく。「仕事と生活が一体となった、顔の見える暮らし」を皆で楽しめるようになれば、これからの豊かな暮らし方のひとつになるのではと思った。

ちょうどコロナの最中ということもあり、シェアハウスの住人を集めることは苦労したが、最初の住人になってくれた方はSNSで僕たちの活動を知ってくれて、自分で工夫をしながら生きていきたいと思っている人だった。人に会えない生活が続き、辛かった時期というのもあると思う。

そうしてはじまったシェアハウス生活は、僕らにとって良いことばかりだった。煮詰まった時、近くに意見を聞ける存在がすぐそばにいること。お互いのスキルを持ち寄って、工夫しながら暮らしていくこと、自分たち以外に子どもの成長を喜んでくれる人が近くにいるという事。そのどれもが、夫婦二人だけでは叶えられない尊いもののように感じた。

子どもにとって、この環境がどのような影響を与えていくか、その成果を知ることができるのはまだ先の事だとは思うけれど、現時点で娘は人見知りがなく、誰にでも愛嬌があって、好かれるような存在として成長している気がする。
3歳の誕生日には、歴代のシェアメイトが集まってくれて、総勢大人13人が娘のためだけにお祝いをしに来てくれた。本当にありがたいことだし、沢山の人から愛情を受けた分、人に愛情を与えられるような人になって欲しいなと願う。

つづく


本の購入は「KiKi北千住」店頭または、「オンラインショップ」でご購入いただけます。

目次
-5周年記念本に寄せて
- 馴れ初め
- 世田谷区民から足立区民へ
- 穴場だと思うランキング1位の街
- 消化不良からはじまるプロジェクト
- 週休0日生活
- モノとの付き合い方
- 人生の夏休み。カミーノの旅1
- 人生の夏休み。カミーノの旅2
- アイデンティティを取り戻す
- お試し地方移住
- DIYウェディング
- 好きなことを仕事にする
- お店と子ども
- シェアハウスで子育て
- 日々をあじわうお茶muica
- 夫婦で仕事をするということ
- 夫婦からチームへ
- おわりに

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