カッコ良くもないおごってくれない男(エラ君)に惚れた話③
銀座から東京駅へ、少し迷いながら歩いた。
ついに八重洲地下街に到着。
ヤエチカのフロア案内を見て、「東京ラーメンストリートはここだ」と彼が指差し、颯爽と歩みを進める。
ここまでは良かった。
しかし、、、
歩けど歩けど辿りつかない。
「あれ?」
なんだか大丸の方まで来てしまった。
「もう一回地図をみよう」
2人で地図を見ると、あろうことかヤエチカ内で東京ラーメンストリートから一番遠い場所に来ていた。
「ねえ〜ちょっと〜ww」
私は男で理系でましてや脳科学者なら地図を読むことなんてお茶の子さいさいだろうと思っていた。
今まで付き合ってきた男たちはみんな地図を読むのが上手で、私はGoogle マップを読むことさえも難儀する方向音痴なのでいつもナビゲーションは相手に任せていた。
今度は行けるはずだろう、と歩くがやはりたどり着けない。
ヤエチカの端の喫煙所のところまで来てしまった。
再度地図を見て、3度目の正直。
やっとラーメンストリートについた。
人混みがすごくて、運良く二つ席が並んで空いていた店に決めた。
それは狭い店内に厨房を囲むようにして丸い席がいくつか並んでいる、「ザ・ラーメン屋」のような場所だった。
私はラーメン屋にはめったに入ることがなかったので、黙々と食べるスーツ姿のおじさんたちを見て、「本当にこんな場所で食べるの?」と思った覚えがある。
タッチパネルで食券を買う。
私の中で少し緊張が走っていた。
この頼りない男はおごってくれるんだろうか。
彼は自分の食券を買うと、すぐにスタスタと席へ向かってしまった。
私はその時点で2万歩近く歩いていて、あれだけ歩いて案内してあげたのにおごってくれないんだ…
と思った。
ラーメン並盛りがゆで卵を付けると一杯920円。
ラーメン一杯に千円近く出すのか…
普通の私だったら絶対に出さないが、仕方ないので食券を買った。
ラーメンが来ると2人で黙々と食べた。
私は歩きすぎで脚が悲鳴を上げていたので座れるだけでもありがたかった。
しかし彼は私の苦しみを知る様子もなく厨房でもやしを炒める料理人を見て「ヘえ〜、僕も家でああやってみようかな」などと呑気なことを言っていた。
これ食べ終わったら解散かな?と思っていたが、食べ終わると、
「東京駅でウェディングフォト撮ってるカップル見に行こうよ」と言われ、皇居付近まで歩くことになった。
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