【IGCSE】試験の舞台裏:ケンブリッジのちょっとクレージーな取り組み
少し視点を変えて、IGCSE試験を運営するケンブリッジの裏側を探ってみませんか?
学校のオフィススタッフや娘たちからのエピソードを元に、壮大でちょっと面白い舞台裏をシェアします。
別途費用がかかる
これは、裏側の話でも何でもないんですが、ICGSEを受けるには学費とは別にお金がかかります。
当初私は、IGCSEを日本の高校で受けるテストと同じように考えていたので、試験は無料、てっきり学費に含まれていると思ってました。
しかし、IGCSEはケンブリッジが提供する資格試験なので有料です。
2021年に長女が受験した際は、1科目RM400でしたが、2023年の次女の時には、1科目RM430に値上がりしていました。
試験費用の合計は、ざっくりRM3000オーバーになります。
これ、高いと思います?それとも安い?
初めは、そんなにかかるの?!と驚きましたが、今では適正価格かも..と思っています。
というのもIGCSEの試験は、提供側のケンブリッジに相当なコストと時間、人手がかかっているんです。
会場は厳戒態勢
まずは会場関連。
IGCSEの試験会場は、IGCSEカリキュラムを提供しているインターナショナルスクールですが、試験会場の設営にはかなり厳しいルールが課せられます。
受験者の机と机の距離や、会場に対する定員数、また試験会場と控室の設置など多くのルールがあります。
受験生は指定の時間になるまで試験会場への入室は許可されないので、いくつかの控室も必要。
限られた教員しか触れられない試験用紙
また、ケンブリッジから送付される試験問題は、何重もの封筒に入れ厳封されて届きます。
それを複数のスタッフと教員の立ち会いのもと、セキュリティが厳しいお部屋、例えば校長室などにある鍵のついた金庫に保管します。
そしてその鍵は、責任者が試験当日まで保管することが求められます。
ケンブリッジから発送された試験用紙が学校へ到着して、それを金庫に入れ施錠するまでの時間も決まっているそう。なんと細かい…。
その試験用紙は、試験本番を迎えるまで、金庫の中で誰にも触れられず厳重に保管されることになります。
「開封の儀」と「厳封の儀」
試験前に、試験監督教員と無作為に選ばれた生徒がペアになって、試験用紙が厳封されたままの状態であることを全受験者の前で確認します。
その後、教員が開封し、中身を確認した上で各受験者に問題用紙が配布されます。
事前に問題を盗み見みて、ネットに上げることなど到底不可能な鉄壁の守り。
あまりに重々しい儀式ぶりに、長女たちはそれを「開封の儀」と呼んでいました。
また、試験終了後は同じように「厳封の儀」と呼びたくなるほど、回答用紙を厳しく回収・保管します。
さて、話を戻しましょう。
厳しいのはこれだけはありません。
まるでミシュラン?抜き打ち検査
IGCSEの試験本番がはじまる数週間から数日前には、ケンブリッジから派遣された調査員が「抜き打ち」検査のために学校へやってきます。
まるで、ミシュランの調査員のようですが、彼らケンブリッジ調査員は、試験用紙の保管方法や、試験会場のレイアウトがケンブリッジの基準を満たしているかを厳しくチェックをします。
そして、基準に満たない場合は、非情にも「実施不可」を通告をするそう。
世界規模のスケジューリング
IGCSEは150超の国で実施されるので、ケンブリッジは、これらの国の時差を加味し、スケジュールを調整し、同じタイミングで、同じ難易度の試験を実施すなくてはなりません。
特に大切なのが、問題流出を防ぐこと。
時差を利用して出題内容が漏れないよう、地球規模でエリアを細かく分けて、細心の注意を払って試験日時を組んでいます。
スケジューリング、めちゃくちゃ大変そうですよね。
かなり手間のかかる採点
続いては、試験終了後について。
IGCSEの解答方法は、マークシートはほんの一部でほとんどが記述式。
したがって、採点にとにかく人手が必要なんです。
採点は、解答内容はもちろんのこと、文法やスペルミスも厳しくチェックされます。
記述式の問題や、理系科目の文章題では単純にマルバツで採点はしません。
仮に解答が間違えていたとしても、内容が理解できていると判断された場合は、部分点が加算されます。
つまり、隅から隅まで解答を読まなくてはならないのです。
また、英語などの語学スピーキングテストでは、受験者のスピーキングを録音した音声データをチェックして採点します。
体育や芸術系は、スポーツをしているビデオや作品を全て見て評価。
とにかく、かかる手間が途方もないんです。
とんでもなく多い答案用紙
2023年現在、IGCSEで選択できる科目は約70種類。
さらに、IGCSEは、150を超える国の5000校超で実施されています。
解答用紙はいったい何枚になると思いますか?
なんと、返送される解答用紙は全科目合計で70万枚を超えるそう。
ケンブリッジは返送された手書きの回答用紙、音声データ、作品をすべてチェックし評価して、受験者一人一人にCertificationを作成し返送する、という荒業を毎年春と秋の2回実施しています。
ちなみに、2023年に実施された日本の共通テストは、6教科30科目で構成され、47万人が受験したそうですが、回答は全てマークシート方式です。
それと比較すると、ケンブリッジは受験者数こそ公表していませんが、とにかく膨大な数ですよね。
だから世界で認識される
このように、試験が始まる前から、終わった後までずっと手がかかるIGCSE。
しかし、この厳格なプロセスにより、公正な環境が担保され、IGCSEの成績は高い信頼性を持って評価されています。
この信頼性こそが、国際的に認知されている理由の一つと言えるでしょう。
また、IGCSEの試験結果は世界中で通用します。
1科目1万数千円の受験料は高額に感じるかもしれませんが、世界で使えるとなると適正価格と言えるかも知れませんね。
ちなみに他のメジャー資格の受験料は、漢検1級6000円、英検2級9700円、TOEFL US$245です。(22年4月現在)
最後にIGCSEクイズ
では最後に、気分を変えてIGCSEに関するクイズを2問出題します。
やってみてくださいね!
答えは、1864年。
1864年といえば、日本は江戸時代で篤姫が徳川家へ嫁いだ年です。
そんな頃に、ケンブリッジは国際的な試験の必要性を考えていたとは驚きます。
答えは、トリニダード・トバゴ
ちなみに、受験者は6人だったそうです。
さて、ここまで読まれて、あなたはIGCSEの試験費用は高いと思いますか?適正?それとも安すぎるでしょうか。