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最大規模の社交辞令

「また連絡するね!」と帰り際に言われて、実際に連絡がくることは少ない。

日本人特有の社交辞令だ。

あなたも何気なく使ったり、言われたことがあるかも知れない。
もちろん筆者も、このフレーズを何の意識もせずに使っていた。

海外生活を始める前までは。

外国語の習得に専念していると、言葉に敏感になる事がある。

筆者はある時期、自分が日本語で思ったり話した言葉を、英語で言い直す「ひとりワークショップ」をしていたことがある。

その時期に、この「また連絡するね」にとても違和感を感じたのだ。

この文章を直訳すると、” I will call you again. ”になるが、日本人が想定するものとは全然違う。

これは、物理的な連絡に関する話ではなく、今後の人間関係の距離感に関するものだと思う。

ここでの「また連絡するね」は、「あなたとは、この先敵対したいとは思わない。細い人間関係かも知れないけど、切れずにこの関係性は継続させたいと思っている」というものに近いのではないだろうか?

そうなると、

"I don't want to stand against you in the future. Let's maintain this friendship even if we are not very close. ” みたいな感じになるのだろうか。

こんなこと去り際にいうと、「いったい何なの?」となるだろう。
全くもって失礼だ。

一方、日本人以外の友人知人との別れ際に、多少の社交辞令感が感じられるかも知れないが、” Let's keep in touch.”がある。

将来において疎遠にならず、お互い能動的に関係を継続させましょうね、と双方の希望がイーブンでシンプルで良い。

そこには、「また連絡するね」に含まれる、どちらかが相手からの連絡を待たねばならない状況は含まれない。

失念したが、どこかの市町村がそこに暮らす外国人のかたへ、「日本人から「また連絡します」と言われて、連絡がなくても普通なので悩まないで下さい」というような生活Tipsを発信していた。

いやいや、こんなの難しすぎでしょ…。ハイコンテクストにもほどがある。

連絡を待ってらした外国人の方が、約束を反故にされた、という理由で外交問題に発展しないか心配だ。

そんなこんなで、筆者はこのフレーズを使わないことにしている。

しかし、在住邦人との会話で、時々コレを聞くことはやっぱりある。

先日は、「またお茶とかしたいのでLINE交換しませんか?」と言われて、筆者はよろこんで自分のQRコードを提示した。

相手の方は、母子留学中のお母さん。

LINE操作にあまり慣れていないようだったので、面前で筆者のQRを読み込んでもらった。
その後、「また連絡しますね!」と言った彼女からのLINEは、4ヶ月経った今でもない。

いままで経験したなかで、最大規模の社交辞令だった。

Let's keep in touch !



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