クアラルンプールのチャイナタウンは中華街じゃない
中華街と聞いてなにを思い浮かべるだろう。
極彩色で手の込んだ模様の大きな中華の門や、蒸籠から湯気をあげる点心店かも知れない。
または、壁一面が引き出しになっている漢方店や、中国茶の専門店かも知れない。
しかし、KLの中華街はそれとはちょっと様子が異なる。
中国っぽいモニュメントや活気あふれる点心店はなく、いかにも中国らしさを感じるものはほとんど見当たらない。
そもそも、マレーシアはマレー系・中華系・インド系が混ざり合っているので、街中に中華系の飲食店はそこらじゅうにある。
だから、KLのチャイナタウンでは、さぞかし種類豊富な中華系レストランやお店が軒を連ねているはず、と期待して来ると高透かしを食うだろう。
チャイナタウンのメインは、「ペタリンストリート」と呼ばれるアーケードの商店街が1本と、元市場を改装した小ぶりのショッピングモール「セントラルマーケット」だ。
ペタリンストリートで主に売られているのは、偽物のブランドバッグだ。
象柄のタイパンツやワンピースなど、タイから仕入れてきたっぽい物もある。
セントラルマーケットは、マレーシアらしい雑貨やアンティークを扱う店舗が多く、中国っぽいものはほとんどない。
ペタリンストリートとセントラルマーケットをつなぐ徒歩10分圏内にいくつかの飲食店やカフェ、雑貨店があるが、どれもザ・中華ではない。
KLのチャイナタウンでまず名前が上がる由緒正しい關帝廟(かんていびょう)は、KLで最も古い道教の寺院だが、ここにはスリ マハ マリアマン寺院というKLで最も古いヒンドゥー教のお寺もある。
と言う事で、KLのチャイナタウンは特に中華に特化しているわけではないのに、なぜ、チャイナタウンと呼ぶのだろう?
旅行でKLを訪れた場合、KLのチャイナタウンは中国文化に触れるというより、マレーシアのローカル文化をコンパクトに見て回る場所として捉えたほうが良いだろう。
ブキ・ビンタンやツインタワーのあたりでは得られないローカル感を、ここチャイナタウンでは楽しむことができる。
たとえばKafeiDianでは、マレーシアならではのミックスされた食文化を、アンティークかつユニークな場所で楽しむことができる。
ほくろ取りの名店もあるので、気になるなら予約をしてみてもいいだろう。
重要なのは、世界中にある中華街をイメージしてKLのチャイナタウンへ行ってはならない、という点だ。
KLのチャイナタウンは、ひとつのローカルタウンなのだから。