漫画【推しの子】にみつけた、狂気
はじめに
もし、くりかえされる毎日に、つまらなさを感じているのであれば、漫画「推しの子(原作者:赤坂アカ)」を手に取ってみてほしい。
「推しの子(おしのこ)」とは
2020年4月に発表され、「週刊ヤングジャンプ」、「少年ジャンプ+(ウェブコミック配信)」にて連載されている、日本漫画である。
原作者の赤坂アカ氏は、「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳編〜」を手がけた作家であり、作画は、よみ切り漫画「かわいい」の横槍メンゴ氏が担当され、この2人によってタッグが組まれうまれた作品である。
出会い
「なにか、おもしろい漫画ない?」
1日1話まで無料でよむことのできる漫画アプリ“ピッコマ”を、日常的に愛用しているわたしは、その日もアプリのホーム画面をひらき、数多に並ぶコミック表紙をながめていた。そして、スマートフォンをスクロールさせるその先に退屈さをおぼえたわたしは、夫にそう声をかけました。
「“推しの子”、読んでみたら?」
夫がおすすめしてきたのは、いま海外でも話題になっている、漫画「推しの子」でした。
ネットでも、会社でも、TVでも、「推しの子」をトピックスとして耳にすることが増えてきている。Netflix、Amazonprimeでも、連日”今週のランキング10”に、「推しの子」が必ずランクインしている。
まさに、「推しの子」が、世間に推されている渦中でした。
夫の提案に、咄嗟にわたしは「読みたくない」と返答をしました。「キャラクターの目が、独特でキラキラしていて苦手」「じぶんは、“推し”がいるから、おすすめしているんでしょ?」と。
ですが、そのとき、夫が言ったのです。
「これは、ただの“アイドル”と“推し”についての話じゃないよ。」
「もっと、もっと、深い、、深いところに話があるねん。」
“ーーー深いところに話があるねんって、なんやねん。”思わずつっ込まずにはいられない、そんな夫の関西弁(彼は群馬県出身です)に興味をそそられたわたしは、「推しの子」を読んでみることにしました。
※ここから先は、少しネタバレを含みます。ご容赦ください。
ストーリーの概要
はなしの軸となる登場人物は、“1000年に1度のアイドル”といわれる偶像のアイドル「星野アイ」。そして「星野アイ」の崇拝者である“男性医師"と、おなじく「星野アイ」に猛烈な憧れをいだく、医師の患者である“女の子”。この3人によって、はなしは展開されていきます。
まだ完結がされていない漫画となるので、みちなかばではありますが、序盤の物語の中心となる人物は、“男性医師”といえるでしょう。
第1章では、彼のもとに、テレビ画面越しで見ているだけだったはずの「星野アイ」が、とつぜんやってきます。そして彼女の人生に関わったことで、彼の人生は180度かわっていく。
そして、そのまま突入される第2章では、数奇な運命をたどり、今世では交わりを終えたはずの、患者の”女の子”が再び登場します。カタチをかえた“医師と女の子”が、「星野アイ」とともに歩む人生はどんな人生なのか。
「ありそうで、ありえなかった。」
そんなストーリーに、わたしのこころは掴まれました。
おすすめしたい理由
「推しの子」の魅力は、なんといっても「原作者:赤坂アカ」の“狂気”であると思います。赤坂氏がつくり出す世界は、常軌を逸した様々な“アツい”仕掛けが“作品”にちりばめられており、各シーンのすみずみからそれらを感じ取ることができます。
それぞれの“狂気”について、おおきく3つ、まとめてみました。
1、ファンタジーの中につくられた“現実(リアル)”が生み出す「狂気」
綿密なリサーチのもと、先生独自の目線で書きあらわされている、芸能界のセンシティブな陰のさまは、オフィシャルでは決して公開されることはない、“お蔵”の中にある1つのドキュメント映画をみている感覚に陥ります。
完全なるフィクションの中に描かれた、忠実な現実(リアル)は、読み手のこころを捉え離しません。想像を超える、“没入感”が「推しの子」にはあります。
2、コンセプトの「狂気」
“アイドルと推し”という漫画としてありがちなキャラクターの設定/構成も、「推しの子」はコモンセンスを覆してきます。”もし今、死んだらどうする?”という問いに対して、返ってきた「願望」。その願望をもとにつくられた「推しの子」は、完全なるエンターテイメント作品といえるでしょう。
あなたも「推しの子」の世界の中で、もう1つの人生を歩んでみませんか。
3、描写からつくられる「狂気」
“この人なら、1000年に1度のアイドル、おれの「星野アイ」を描ける”と、赤坂氏は「推しの子」の作画を、横槍メンゴ氏にたくされました。横槍氏の描く「推しの子」の絵柄には、つやのある“熱”と、どこか引っかかりを感じさせる”毒”があります。
これまで、横槍氏はご自身の作品では、”柔らかで繊細なタッチ”の作画をされてきているのですが、「推しの子」では絵の線の太さにもこだわり、面から気迫をかんじる描写を戦略的につくられたそうです。
「推しの子」は1つ1つのページをめくるたびに、読み手にライブ感をあたえてくれます。横槍氏のペン先に宿る“狂気”を、ぜひご堪能いただきたいです。
さいごに
いまある現実に、つまらぬ退屈さを感じているひとは、ぜひ「推しの子」を読んで、“赤坂アカ/横槍メンゴ“の「狂気」にふれてみてください。
いまだかつてないエンターテイメントの世界が、そこに待っているでしょう。ぜひ、一緒に「推しの子」に溺れてみませんか。
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