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【LAD】ドジャースがポストシーズンに弱いというのは本当なのか?
どうも、こんにちは。雨宿りです。
今回の note は去年の11月に書いたものの公開するのを忘れていたものです。さっき自分の note の下書きを整理していて気づきました。2ヶ月間眠っていた内容ですが、一応まあまあの時間をかけて書いたものだったので、このまま日の目を見ないで消えてしまうのは勿体無いと感じ、この度公開することになりました。暇潰しがてら読んでいただければ幸いです。
2022年シーズンのワールドチャンピオンになったのはドジャースの因縁の相手でもあったアストロズでした。今季のアストロズはなんとも隙のないチームだったという印象です。勝つべくして勝ったというような感じでしたね。
一方でドジャースのシーズンは早くも10月の2週目に終わっていました。今季のドジャースは、レギュラーシーズン(RS)で19年・21年にチームが樹立したシーズン最多勝記録の106勝を更新する111勝をマークし、貯金60でナショナルリーグの西地区を制覇しました。ナ・リーグのシーズン111勝は1906年のカブス以来、116年ぶりのことだったそうです。そんなこともあり、今年のドジャースはポストシーズン(PS)でも躍進が期待されていただけに、NLDS(ディビジョンシリーズ)での敗退は、チームにとってもファンにとっても大打撃でした。
ドジャースは2013年から10年連続でポストシーズンに進出していますが、2020年の短縮シーズンを除くと一度もワールドチャンピオンになっていません。2020年を除く必要があるのかは十分疑うべきところではありますが、ここ数年間のドジャースのRSでの成績を考えると、短縮シーズンでしかWS制覇をしていないことが気がかりです。というような意図をここでは伝えておきたいです。
そして今季もドジャースはRSで22ゲーム差もつけたパドレス相手に、最終戦にもつれ込むこともないまま呆気なく敗れ散ってしまったのです。ここ数年ドジャースはポストシーズンでの予想外の敗戦が多い印象ですが「本当にドジャースはポストシーズンに弱いのか?」について考察していきたいと思います。
ドジャースがPSに弱いというのは本当なのか?
ポストシーズンでのドジャースは、メジャーリーグファンの間ではある意味「ネタ」となっています。ドジャースがポストシーズンで敗退しても、「いつものことか」「ほんとPSで勝てないよな」「偽物のリングしか持っていない」のような言葉があちらこちらから聞こえてきます。実際ドジャースファンである僕自身も、RSが終わってからPSが始まるまでの数日間は、いくらRSで圧倒的な成績を収めていても、なかなかチームに自信を持てずドキドキしています。そしていざ敗退すると、悔しさよりも呆れのような感情が湧いてきます。
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もはやメジャーリーグファンやドジャースファンの間では、「ドジャースはポストシーズンでは弱い」「ロバーツ監督はポストシーズンになるとおかしくなる」というような通説が蔓延っているような気がしますが、一体この通説は正しいのでしょうか?
直近7年間のポストシーズン
そもそも「ポストシーズンに強い」とはどういうことか。まず直近7年間(ロバーツ監督就任後)のワールドシリーズの組み合わせ、そしてそれぞれの勝者を見てみます。
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これだけ見ると、ドジャースとアストロズの2チームが目立ちますが、ワールドシリーズの結果だけで「ポストシーズンの強い」チームを決めるわけにはいきません。なので今回は直近7年間のポストシーズン勝利数と勝率を見てみます。
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直近7年間のポストシーズン勝利数においては、アストロズが53勝で1位でした。これはこの7年間で2度ワールドチャンピオンになっていることのみならず、6年連続でALCSに進出していることからも容易く想像できます。そして我らがドジャースはアストロズに次ぐ2位でした。ここで注目したいのは勝率です。勝率はポストシーズンに出場した回数も関係してきます。たとえば勝利数10位のフィリーズは直近7年間では今季の1度しかポストシーズンに出場していませんが、勝率は.647とこの中ではナンバーワンです。1シーズンのサンプルだけではフィリーズが「ポストシーズンに強い」チームであるかどうかはわからないので、さらに条件を直近7年間で3回以上ポストシーズンに出場しているチームに狭めてみます。すると、30球団中14球団がこの条件に当てはまりました。そしてその14球団の中からポストシーズンの勝率が高い10球団を抜粋してランキングを作成しました。
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出場回数が1番多かったのはドジャースの7回で単独でした。ドジャースは10年連続でナ・リーグ西地区を優勝しているのもあって、直近7年間は毎年ポストシーズンに出場していたので当然の結果です。ではPS勝率はどうだったのでしょうか?結果は5位でした。これではドジャースが「ポストシーズンに強い」チームとは言えなさそうですが、逆に弱いとも言えません。
ではなぜドジャースは「ポストシーズンに弱い」と言われるのか。レギュラーシーズンが良すぎるからでしょうか?ということで、直近7年間で3回以上ポストシーズンに出場しているチームのレギュラーシーズンでの勝率を見てみましょう。するとこのようになりました。
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上位4チームはポストシーズンでの勝率の方がレギュラーシーズンの勝率よりも高いという結果になりました。PSはRSでいい結果を収めたチームしか出場できないため、強豪ぞろいのトーナメントと言えます。そんな中でRSよりもPSで高い勝率を誇るということは、「ポストシーズンに強い」チームと言えるのではないでしょうか。それに対して、5位以降のチームはどこもPSの勝率がRSの勝率よりも低いです。この中で差がもっとも大きいのは、ブリュワーズの−.124。そして、ヤンキースの−.106、ドジャースの−.076、レイズの−.074と続きます。つまりこれらのチームは「レギュラーシーズンに比べてポストシーズンに弱い」チームと言えます。
ドジャースはレギュラーシーズンではこの7年間でMLB史上もっとも高い勝率を誇ります。そのためドジャースは、ポストシーズンで格下(RSでドジャースより勝率の低い)チームに敗れることが多いような印象を持たれます。たしかにこう聞くと、ドジャースのポストシーズンでの弱さが見えてくるかもしれません。つまりレギュラーシーズンでは強さを発揮してきたチームが、ポストシーズンになるとそうでもなくなるというのが、ドジャースが「ポストシーズンに弱い」と言われる所以かもしれません。
しかし、実際にはポストシーズンで格下チームが勝つのはよくあることです。これは決してドジャースに限った話ではなく、多くのチームに共通して言えます。事実、レギュラーシーズンでの最高勝率チームがWSを毎年制覇しているわけでもありません。またワイルドカードチームがワールドチャンピオンになることもあります。
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さらに面白いことに、ドジャースは自身が優勝した2020年を除くと、2016年から2021年までポストシーズンでドジャースを直接破ったチーム(16年カブス、17年アストロズ、18年レッドソックス、19年ナショナルズ、21年ブレーブス)がワールドチャンピオンになっています。今年ドジャースを破ったパドレスがNLCSでフィリーズに負けたことで、連続記録は途絶えましたが、この記録は1998〜2004のヤンキース(このスパンで3度のWS制覇)に次いでMLB史上2番目の記録です。つまりドジャースが弱いというよりは、ドジャースを倒したチームがそれに十分値するくらい強かったということなのかもしれません。
今季でその流れは終わってしまいましたが、2016年から2021年までは、WSを制覇するためにはドジャースを負かす必要があったということです。ここまで書いてみると、ドジャースは「ポストシーズンに強い」とは言えないものの「ポストシーズンに弱い」とも決して言えないのではないかというような気がしてきます。
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たしかにレギュラーシーズンに比べれば、ドジャースはポストシーズンに弱いと言えます。ただしそれは他のチームと比べてRSで強いからであって、PS単体であれば勝率は.550を超えており、特別「ポストシーズンに弱い」というわけではありませんでした。PSでのドジャースへの期待は毎年高いだけに、その期待に応えることができないとチームは必要以上の批判を浴びます。その点ではロバーツ監督は可哀想です。
とはいえ、自分の応援するチームにはポストシーズンで勝ちまくってワールドチャンピオンになってほしいです。ドジャースがなぜRSに比べてPSで勝てないのか、どうすればRSでの強さをPSでも見せつけることができるのか、などについての考察を今後暇なときに note に書いていければと思います。
では今回はこんなところで失礼します。