現役ドラフトは成功するのか?
今回は昨年のオフぐらいから話が進められている現役ドラフトについて意見を述べていきたいと思います
1そもそも現役ドラフトってなんぞや
簡単に言うと
他球団で一定の年数が経っても一定基準以下の出場機会を得られてない選手を他球団が望めば制限付きで獲得できると言う制度
です
なお、今回の発案はMLBのルール5ドラフトが参考になっていると思われ内容もルール5をNPB仕様に修正したものになるかと思われます
目的は単純で選手の飼い殺し防止のためです
2ルール5ドラフトの仕組み
現役ドラフトのお手本のような存在であるルール5ドラフトですがこちらはどのようなものになってるのでしょうか
簡単に要点を述べると18歳入団の場合は入団後5年、19歳以上の場合は入団後4年間経っても40人枠に登録されてない選手を他球団が翌シーズン25人枠に置き続けることと元の所属先に10万ドルを払うことを条件に獲得できると言う制度です
なお、翌シーズンに故障者リスト以外で25人枠に置けなくなった場合強制的に元の所属先に返還され、5万ドルが帰ってきます
3ルール5ドラフトの実情
では現役ドラフトのお手本となっているとルール5ドラフトは実際どれぐらいの効果をあげてるかとか言うと結論を言うとイマイチです
今オフは14人がルール5で指名され、移籍しましたが14人中9人が返還されました
2017年に指名された選手では翌年WAR -0.7以上を記録した選手は一人もいないなど
この制度で飼い殺されてる選手の多くが救済されているとは言い難いです
一方球団側としては10万ドルという安い金額で見込みがあるかもしれない選手をお試しで獲得できる(ダメなら出費は5万ドルで済む)と言う制度なので魅力を感じているらしく積極的に獲得しようとしているチームもあります
ダメなら戻さなければならないと言うルールもダメならいつでも戻せると言う風にポジティブに解釈されています
また、ルール5は成功率自体は高くはないもののロベルトクレメンテやハックウィルソンのような殿堂入り選手が移籍した実例もあり
そうした才能の発掘の場として機能してるのも事実です
4NPBでの導入
NPBでの現役ドラフトはこうしたルール5形式に近いものが採用されると思います
ただ問題となる点が二つ個人的にあります
①獲得球団側への制約
ルール5は飼い殺しになってる選手を出場機会が得られる球団に移籍させることで出場機会を保障することが目的なので当然ながら移籍先での出場機会は保障されねばなりませんし獲得球団は出場機会を保障しなければなりません
そのため、MLBでは25人枠にlLを除いて移籍翌年のシーズンに1年間帯同すると言う制約をつけています
しかし、同様の仕組みを日本で導入するとなると恐らくはシーズン通して一軍に帯同となるんでしょうが日本にはlLが無いため、故障で帯同できなくなったら時の措置がありません
そのため、現役ドラフトを導入する際には日本でもlLの設置が必要となりますがそこら辺の議論がイマイチされていないように思えます
②対象となる選手は本当に飼い殺しにされてるのか
仮に対象選手の条件をMLBと同様のものと仮定するとMLBよりも一軍二軍の入れ替えが頻繁に行われる日本で同様の扱いを受けている選手となると飼い殺し
と言うよりは寧ろ実力不足で一軍に上がれてない選手が大半になるように思われます
MLBでさえ低い成功率なのにさらに対象選手の質が落ちるとなると殆ど形骸化してしまうリスクもあります
対象選手の基準の設定というのは一つ大きな問題になるでしょう
5対象選手の設定の難しさ
そもそも飼い殺しって曖昧な表現だと自分は思いますし選手によって飼い殺しの基準は異なると思います
スタメンでもそこそこの成績を残せるような選手と控えレベルの選手だと同じ出場数でも前者は飼い殺し、後者は妥当みたいな話になると思います
つまり飼い殺しを実力に似合った出場機会を得られてないと捉えるならここから以下は飼い殺しだという基準の設定がものすごく困難なのです
そのため、私は
現役ドラフトよりもトレードの活性化策などの方が遥かに飼い殺し対策としては効果的なように思えます
そもそも選手の飼い殺しを防ぐという目的を立てたら他の選択肢を考慮せず、すぐにルール5形式の制度の設立に進む風潮に私は疑問を覚えます
6現役ドラフトは導入するべきか否か
導入すべきかどうかという話では私の立ち位置は
導入しても良いけど飼い殺しを防ごうと思うならこれだけで満足してはいけない
というものです
効果が薄いのは確かですがなんらかの効果は流石に見込めるでしょうしリスクは殆ど無いわけですから導入自体は反対ではないです
ただ、飼い殺しを防ぐという目標を一旦立てたのなら現役ドラフトだけで満足せずもっと色々な案を検討し、導入へ持って行って欲しいです