「【春愁】という言葉が嫌いだ。」 「……それは、どうして?」 「春には心がないと言っているような気がして。」 「……なんで笑うんだ。」 「ごめんね、そんなこと気にするんだ、って可笑しくて。」 「でも【春愁】は、春の物悲しさや哀愁を指す言葉だから、味わい深くて好きだなぁ。」 「それこそ、春は悲しいけれど、秋には心があって温かいと言ってるようなものじゃないか。」 「そういうもの?」 「そういうものなの。」 「