企画と私 vol.3「視点を変えて世界を拡げる」瀬川 修平
豊かな大地からおいしい作物が生まれるように、豊かな人生からおもしろい企画も生まれるはず。そんな仮説のもと企画人が企画人たる所以を、ワークだけでなくライフ面から紐解いていく連載「企画と私」。
第2回目は、編集長の松井と一緒にこのキカクラブを立ち上げた、
誰かの右腕にさせたら右に出る物はいない(?)
コミュニケーション・プランナーの瀬川修平さんです。
自分が直面した状況をいかに面白く考えられるか
— 瀬川さんが「Life」、つまり生きていく上で大事にされている考え方があれば教えていただけますか?
瀬川さん:人生の中でこれまで色々な転機があったのですが、例えば大学入学の際、本命だった理学部に落ち、第二候補だった水産学部に入学したのもその一つです。
最初は水産と言うジャンルにそこまで興味が持てなかったのですが、実習で実際に船に乗って海に出てみると「自分の知らないことってたくさんあるんだな」と言うことを再認識して、なんか面白いなって思うようになりまして。
例えば北海道側で捕れるマグロと青森側で捕れるマグロ、同じマグロなのに価格が何倍も違うんですね。
これは”北海道のマグロはブランド化されていないから”。
じゃあどうしたらブランド化できるかって考えて、実際に僕もマグロ漁船に乗って、マグロが釣れるところとか、船上でマグロを捌く様子を撮影して、”北海道マグロのPR動画”を制作したんですね。これが結構反響を呼びまして。
こう言った活動で広告やマーケティングに興味を持ち、広告業界に絞って就職活動を行って東京の制作プロダクションに新卒で入りました。
でもここでも最初は自分のやりたいことをやれなかったんですよね。
本当はクリエーティブなことやりたかったんですが、プランニングセクションに配属されて日々悶々としていました。
でもここでも自分の中で解釈を変えていって、クリエーティブは1つの手法でしかないけど、プランニングは全てに対して範囲が及ぶことだから多くの事が考えられるのではって。そんな意識で仕事をしていくうちに、なんか面白いなと感じてるようになってきて。
そこでコミュニケーション全体を企画すると言うことが自分のアイデンティティになっていきました。
そして転職して地元である北海道に戻ってきたのですが、最初は希望ではなかったプロモーション業務だったり営業をやったりしまして。ただその都度その都度自分の中で解釈を変えていって、プロモーションであればイベントで目に見える人たちの気持ちをいかに動かせるかがすごく楽しいなとか、営業であれば対面するお客さんの気持ちを動かすみたいなことが楽しいなとか。
最初は苦手だなと思っていることでも、認識を変えることですごく面白く見えてくるみたいなことが実体験としてあります。自分が直面した状況をいかに面白く考えるかみたいなところが、僕の中で大切にしている考え方です。
育休を取ったことで広がった世界
—— ではプライベート面で具体的なエピソードはありますか?
瀬川さん:去年1年間育休を取育したのですが、やっぱり子育てってすごく大変で、目の前のことで精一杯になっちゃって。最初は辛かったんですが、それをどう楽しむかみたいなところに軸をまたずらして考えて。
自分が暮らす地域の方のとの交流を積極的にやってみようと思って、子供を連れて近所のおじいちゃん、おばあちゃんと話すようにしてみたり、雪下ろしを手伝ってあげたり、地域のお祭りに顔出してみるとか、今まで全くやってこなかったことやってみました。そうすると地域と一緒に生きるってこういうことなんだと言うことに気づけて面白かったんですね。なので今も地域との交流を楽しんで続けています。
—— では続いて「Work」面でのお話をお伺いしたいのですが、仕事において企画する上で大事にしていることはありますか?
瀬川さん:コミュニケーション・プランナーの仕事は課題を解決するために全体のプランニングをしてとか、ガツンと全体を回していくみたいなイメージがあると思うんですけど、そんな仕事ばかりじゃないのが現実で。
地域の課題を解決するために大きなプロジェクトを立ち上げるみたいな仕事もあれば、直近の売り上げを上げるためのキャンペーンをやったりみたいなこともあったりするわけなんですよね。でもどんな仕事でもあえて「全ての仕事においてブランニングは必要だ」と最初に仮定をしてしまって、普通にやったらこうだけど、 企画の力を加えるとこんなに斬新になったり面白くなったりするはずだとすごく意識しています。
こうやって仕事でも自分の視点を変えてみるとか、自分の解釈を変えてみることで、面白くできたりとか、なんかワクワクできたりするっていうようなことがあるかなという風に思います。
良い企画はエンジンになる
ー では瀬川さんにとって「企画」とはなんでしょう?
瀬川さん:ずっと思っているのは、良い企画は関わってる人全員が、そのコンセプトを聞いただけで自分の意思で動ける状態になると捉えていて。そんな仕事のエンジンになるようなものと言うか。良い企画ができると仕事が爆発的に良いものになっていくと言うことを実感しています。
ー 最後に、この北海道キカクラブをどうしていきたいでしょうか?
瀬川さん:僕はずっと広告会社や制作会社にいますので、まずクライアントやパートナーがいて、そして自分たちがハブになって動くことで社会の課題を解決したりとか世の中を面白くしていくと言うことをやってきたのですが、自分たちが主体となって動けるような「箱」が欲しいと言うことをここ数年考えていました。
誰かがいないと動けないではなく、自分たちが主体的に北海道を面白くするとか、北海道がワクワクするために動く。
北海道キカククラブと言う箱があれば、いろんなことを人に相談できたり提案できたりすることが僕はすごくいいなと思っています。今まで出会えなかった人にどんどん出会っていくとか、今までやれなかったことがどんどんできてくるようになるみたいなことができていくといいなと考えています。
―良い企画はエンジンになる。ワクワクするようなエンジンを開発し続ける瀬川さんが北海道のエンジンになる日も近いかもしれません。乞うご期待!
(ライター:松井貴彦)